フリーライドスキー&スノーボード
フリーライドスキー、フリーライドスノーボードとは、競技や技、ライディングスタイルの総称です。
オリンピックなどでよく聞くフリースタイル同様、オリジナリティや自由度を追求したスタイルですが、フリーライドではバックカントリーを中心に自然地形を生かしたロケーションで行われるスリリングなスタイルと言えます。
フリーライドの魅力は、人口的に設計されたコースを滑るのではなく、自然の地形を舞台にトリックやエアを繰り出す迫力です。
また、FIS(国際スキー連盟)主催のモーグルなどのフリースタイル競技と比べ、より危険なエクストリームスポーツとしての側面を持ちます。
フリーライドスキーでは、ツインチップスキーやファットスキーという名称の板を使用します。
これは、スキー板のテールも丸く反っている形状であったり、板の前後が同じような形、板幅の中心がワイドな設定など通常のスキーとは大きく異なる形状をしています。そのため、新雪の雪の上を安定して滑走出来たり、後ろ向きに滑降することが容易になり、エアやトリックも繰り出しやすくなります。
フリーライドワールドツアー(FWT)とは
フリーライドワールドツアー(FWT)は、スイスのローザンヌに本部を置く『FWT Management SA』が主管する世界最高峰のフリーライドイベントです。
1996年に第1回スイス大会が開催され、以降世界中でその人気とともに参加国、参加人数を拡大していきました。
2017シーズンには、4,000人以上のライダーが世界を転戦し、その会場もヨーロッパにとどまらず、南米、北米、アジア、オセアニアの各大陸で全カテゴリ133回の大会が開かれています。
2018シーズンFWT最高カテゴリ「Freeride World Tour 2018」大会開幕戦は、1月、日本で初めての開催となる長野県白馬の予定でしたが、残念ながら気象条件や会場状態の悪化により一部のイベントを除き中止になってしまいました。
大量に良質なパウダースノーを体験できる日本は、「Japow」(Japan + Powder Snow)と呼ばれ世界的にも人気が高く、とくに白馬は、最高水準の雪山と認知されるほどです。
次回白馬開催は日程の調整、検討がされているようなので、今度こそ、ベストな状態で大会が開催されることが待ち望まれます。
ワールドツアーサマリー
FWTは4つのカテゴリでピラミッド形式に構成されています。
最底辺は「The FWT Club」と呼ばれ、世界各国のスキースクールなどと協賛しフリーライドの安全性や専門知識を提供しています。
日本でも導入または導入検討をしているスキーリゾートが増えてきました。
次に18歳以下のアスリートを対象にフリーライドの安全教育に重点を置いたカテゴリが「The Freeride Junior Tour (FJT)」と「Freeride Junior World Championships (FJWC)」です。
世界中で年間約70回のイベントが開催され、その成績で年間チャンピオンを決定します。
続いて世界予選サーキットと位置づけられるのが「The Freeride World Qualifier (FWQ)」です。
世界中で約60回のイベントで争われ、「1スター」から「4スター」にランク付けされたポイントの累積合計でトップカテゴリを目指します。
FWQ年間ポイントのトップ50しか参加できない最高峰のカテゴリが「The Freeride World Tour (FWT)」です。
開催地は、平均40度以上の斜度、400m以上の標高差など、さまざまな条件があり、ステージもライダーも世界最高峰のフリーライドイベントとなります。
活躍が期待される日本人ライダー
2018年FWT開幕戦の白馬は残念ながら中止となってしまいましたが、日本でもFWTの人気は急上昇しています。
そんな中、世界各国を転戦する日本人ライダーを紹介します。
※この記事の情報は、2018年3月現在の情報となります。
・楠泰輔(Taisuke Kusunoki)
2017年の白馬で行われた『Freeride Hakuba』では、スキー男子FWQカテゴリ2スターで2位、FWQカテゴリ4スターで優勝。一気に世界から注目を浴びた日本人ライダーの第一人者です。
2017シーズン最終獲得ポイントは2,095ptsで全体13位に入り、2018シーズン日本人唯一のスキー男子FWTライダーとなりました。
・布施忠(Tadashi Huse)

出典 布施忠FACEBOOK
日本スノーボード界の草分け的存在にして、アジア人唯一のバートン契約ライダー最高位「グローバルチーム」に所属するプロボーダー。
スノーボード男子で日本人初のFWTライダーです。
・浜 和加奈 (Wakana Hama)
2018シーズン開幕の「FWQ Freeride Hakuba 3スター」で、スノーボード女子として日本人初の優勝を飾り、ワイルドカード枠を獲得。
今シーズン3月現在、全体5位につけるなど、今後の活躍が期待される日本人女性ライダーです。
※この記事の情報は、2018年3月現在の情報となります。
ツアーが提唱する山の安全性
バックカントリーを中心にしたスリリングな展開が魅力のFWTですが、ライダーの第一優先事項は山の安全性と提唱しています。
各ライダーは必ずISTA(International Snow Training Academy)の安全講習を受けることを義務付け、レース中も救助装備や安全装備を備えるよう条件付けをしています。
最近の雪山では、バックカントリーが人気を呼び、とくに海外からの観光客がスキー場のコース外に無断侵入する事態が問題視されています。
世界最高峰のFWTを通じて自然の雪山の楽しさと、安全性、身を守るためのルールなどを伝えていくことも、FWTライダーの使命なのです。