ヨーロッパでのオフピステ・バックカントリー
ヨーロッパには3600箇所以上のスキー場があるといわれていますが、そのほとんどがヨーロッパアルプスに集中しています。
そしてそれらのスキー場には、最新のゴンドラリフトやチェアリフトが標高4000メートル近くまでかけられ、ゲレンデ内を滑るスキーヤー&ボーダーはもちろん、オフピステを滑ったり、ゲレンデの裏山から別の谷や村に滑り込むバックカントリースキーヤーも見かけます。
オフピステやバックカントリースキーは特別なものではなく、子供のスキーレッスンや初心者のレッスンでも、コンディションさえよければコース脇のパウダースノーを滑り、いずれはいろいろな雪質に対応できるようになることもスキー上達のカリキュラムに含まれています。
どんな雪質や斜面でも、気持ちよく安全に下山できるスキーヤーになることが、ヨーロッパのスキーヤー達の目標でもあるのです。
ヨーロッパ最高峰モンブラン周辺、シャモニーをベースに絶景バックカントリースキー
今回は、ヨーロッパアルプス山脈最高峰のモンブラン(4810m)山群の麓シャモニーを基点に、リフトを駆使し、登るのは少なめ、でもたくさん滑れる絶景バックカントリーをご紹介します。
赤い針峰群のクラシック、クロッシュ・ベラール
シャモニー谷の南側はモンブラン山群と北側は赤い針峰群にはさまれた地形にあります。
通称クロッシュ、ベラールというルートは、その赤い針峰群のクラシックともいわれる人気のあるルートです。
モンブラン本峰(4810m)はもちろん、シャモニー針峰群、メールドグラス氷河、アルプス3大北壁のひとつグランドジョラス北壁を眺望できる赤い針峰群側の北斜面を、スイスとの国境の村ヴァロルシンまですべり降りることができます。
フレジェールスキー場最高地点からスタートしますが、上りは約350m、下りは1100mのコスパ的にも5つ星のコースと言えるでしょう。
スキー場を離れるとすぐに赤い針峰群自然保護区に入るので、レストラン等はありません。
麓でバゲットと乾燥肉、アルプスチーズなどを仕入れて、途中の陽だまりでピクニックなんていうのも楽しみのひとつですね。
世界的に有名なバレーブランシュ氷河滑降
総合滑走距離約20キロ、滑走標高差2000メートル以上、世界でも最も長いオフピステ・バックカントリーのひとつと言われ、毎冬約8万人ものスキーヤーがこの現実離れした氷河滑走に挑戦しています。
ロープウェイで登るミディ展望台(3842メートル)から、360度のアルプスの展望を楽しんだ後、氷河滑走はミディ針峰の細い稜線を歩いて下ることから始まります。
バレーブランシュは4つのルートがあり、スキーヤーの技術レベル、積雪コンディションによってガイドがコースを選びます。
一番オーソドックスなクラシックルートが、ヴァレーブランシュデビュー滑走にはお勧めです。
一番外回りのコースで、スキーを移動手段として景色を満喫するには最高のルートと言えるでしょう。
滑走中にはダンデュジェアン、グランドジョラス等の名峰に囲まれ、ルートは大きな弧を描きジュアン氷河に滑り込んでいきます。
雪がよければふわふわの新雪、風があればぼこぼこのクラスト、しばらく雪が降っていなければ、スキーヤーによって圧雪されたゲレンデのような状態のため、雪質にあったすべりを自分の持っている技術の中から引っ張り出し使い分けるのです。
ハードな核心部ジュアン氷河のセラック帯をクリアーすると、今度は永遠に続くメールドグラスの直滑降です。
モンタンヴェール登山電車の駅も見え、ほっとしているまもなく今度は目の前に鉄の階段が延びています。
雪不足のためシャモニーまで下山滑走不可能の場合は、400段強の階段を登り、登山電車でシャモニーへ、スキー下山できる時もやはり30分程稜線までハイクアップし、シャモニーまでスキーダウンすることになります。
私にもできるかな・・・?
自然相手の遊びですので、その時のコンディションが決め手になります。
エスケープルートのない未圧雪の中上級コースやトラバース、時には圧雪されていない緩やかなくだりのクロスカントリーのコースが続くイメージです。
技術的レベルではオフピステ中級以上、どんな雪質でも(新雪、クラスト、もなか、パック、アイスバーン)でも確実にスキーコントロール&スピードコントロールができること。
圧雪されたゲレンデコース上での技術や美しさより、未圧雪上での横滑り等を含めたスキー操作、シュテムターン、新雪滑走の技術等が重要となります。
1時間前後のシールをはいた登りがあり、高所での滞在時間が長いので、体力的にも十分余裕があると楽しめるでしょう。
何しろ途中で疲れてしまったから…とレストハウスに入ったり、圧雪されたスキーコースに戻ることができないバックカントリースキーです。
一日の終わりに自分の体力の3割くらいは残っているコース選択が理想だと思います。
せっかくの大絶景バックカントリースキー、苦しみの一日にならぬよう体力と技術に余裕を持って挑むことをおすすめします。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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