食品ロスとは
食品ロスとは、食べられるのに捨てられてしまう食品のことをいいます。
家庭から出る食品ロスの原因は、調理くずや食べ残しだけではありません。腐ったり賞味期限が切れたりした食べ物を、捨ててしまうことでもロスが生まれます。厚くむき過ぎた野菜の皮や、セールなどで大量に購入して食べきれなかった食品も、すべて食品ロスになりますよ。
食品ロスは資源の無駄づかいになるだけでなく、環境にも悪影響を与える原因のひとつです。人口の増加による食料不足が懸念されるなか、食品ロスの削減は世界中で取り組む必要がある課題といえます。
日本の食品ロスの現状
2022年に農林水産省が公表した資料によると、日本の食品ロス量は年間約522万トン。そのうち、約半分(247万トン)が一般家庭から排出されています。
1人あたりの食品ロス量は年間約41kg。1日あたり、お茶碗1杯分の食品ロスを排出していることになります。
出典:農林水産省「食品ロス量(令和2年度推計値)を公表」「食品ロスの現状を知る」
食品ロスとSDGsの関係
世界中の人々が、豊かに暮らせる社会の実現を目指すSDGs。17あるゴールのうち、食品ロスと関係が深い目標を紹介します。
SDGsの目標2「飢餓をゼロに」
世界中で大量の食品ロスが発生している一方で、たくさんの人々が貧困や飢えに苦しんでいます。日本も、この問題とは無関係ではありません。たとえば、平成21年の厚生省の調査によると、日本の子どもの約6人に1人が貧困状態だとされています。
食品ロスとして捨てられてしまう食品のうち、まだ食べられるものは、十分な食事ができない人々にも行き渡るようにする必要があります。
出典:厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査の概要」
SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」
「つくる責任つかう責任」も、食品ロスに大きく関係します。
これまで、私たちは地球上の資源をつかうことで、大量生産・大量消費をしてきました。その結果、生活が豊かになった一方で、地球環境に負担をかけすぎてしまい、多くの問題が発生しています。
資源を守りながら豊かな暮らしを続けていくためには、生産者である「つくる側」と消費者である「つかう側」が、それぞれの責任を果たしていくことが必要です。
出典:消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律」
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」
食品ロスは、エネルギーの無駄づかいにもつながります。
食品の製造や、輸送・保管には多くのエネルギーが必要です。ほかにも、家畜からの糞尿の処理や、農場でもエネルギーが使われています。食べ物が捨てられてしまうと、それらすべてのエネルギーが無駄になってしまいますよね。
世界資源研究所によると、食品ロスによる温室効果ガスの排出量は、道路輸送とほぼ同じだと発表されています。食品ロスが地球温暖化に与えている影響は、私たちが思っている以上に大きいことがわかりますね。
出典:世界資源研究所「What’s Food Loss and Waste Got to Do with Climate Change? A Lot, Actually」
食品ロスを減らすために家庭でできること
家庭でできる、食品ロスを減らすための取り組みを紹介します。
①必要な分だけ買う
食品を購入する際は、食べきれるかよく考えてから買うようにしましょう。「おいしそうだから」「お買い得だから」と衝動的に買ったものは、あまらせてしまいがちですよね。
食べ物をあまらせてしまわないためには、買いものの前に献立を考えておくのも方法。冷蔵庫の中身とかぶらないように買うことが重要です。
②保存方法を工夫する
食品は保存方法を工夫すると長もちします。すぐに食べきれない食材は、新鮮なうちに冷凍するのがおすすめ。たとえば、野菜はよくつかう形に切り分け、茹でるなどの下処理をして冷凍しておくと便利です。
肉や魚は、ラップや密閉できる保存袋を使用して、できるだけ空気に触れないように保存すると長もちします。トレーのまま冷凍すると、食材の表面や切り口が空気に触れて、酸化や乾燥の原因になるので注意しましょう。
また、食品に保存方法の指示のあるものはよく読むことも大切。食品は正しい方法で保存して、おいしく食べきりましょう。
③無駄なくつかい切る
無意識に捨ててしまいがちな野菜の皮や切れ端などは、調理方法や食べ方を工夫すれば、おいしく食べられます。
たとえば、野菜の芯や皮、切れ端を煮だすとおいしい出汁がとれます。少し固いキャベツの芯やブロッコリーの茎は、きんぴらやピクルスに。捨ててしまっていた部分の栄養素も摂取できるので、一石二鳥です。
また、つくり過ぎて残った料理は、リメイクレシピなどで食べきってしまいましょう。ネット上ではさまざまな、リメイクやアレンジレシピが紹介されていますよ。
④余った食品を寄付する
食べきれない食品をフードドライブなどに寄付する方法もあります。
フードドライブとは、家庭であまっている食品を、必要としている人に届けるシステムです。自治体や農業協同組合、スーパーといった窓口で食品が集められ、支援団体などによって食べものに困っている人や福祉施設に届けられます。
買いすぎなどで開封せずにあまっている食品があれば、賞味期限が切れないうちに、フードドライブを利用して寄付するのもよい方法ですね。
出典:環境省「フードドライブの手引き」
⑤地産地消をこころがける
日々の食事に地産地消のものを取り入れるのも、食品ロスの削減につながります。
地域のなかで生産・消費・廃棄をおこなうことで、食品ロスによるエネルギーの無駄が削減できるでしょう。また、規格外になった地元農産物を購入すれば、食品の廃棄も減りますね。
以下の記事で、SDGsと地産地消の関係について詳しく説明しているので参考にしてみてください。
SDGsと地産地消のつながりとは?私たちが未来のためにできること
⑥メーカーの取り組みを応援する
食品ロスの削減に取り組んでいる企業やメーカーの製品を選ぶのも、食品ロスを減らす方法のひとつです。自分がよく買う食品のメーカーが、食品ロスの削減に対して、どのような取り組みを行っているのかを調べてみましょう。
どこで、なにを購入するかによって、消費者としてのメッセージが伝えられますよ。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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