仙丈ケ岳はどんな山?
長野県と山梨県にまたがる仙丈ケ岳は、標高3,033m。緩やかで雄大な山容から「南アルプスの女王」と呼ばれています。仙丈ヶ岳の魅力とコースの種類、アクセス方法を見てみましょう。
仙丈ケ岳の魅力
仙丈ケ岳の魅力は、そこでしか見られない数々の美しい景色にあります。お天気がよければ、アルプスが360度見渡せますよ。日本の標高1位から3位までの富士山・北岳・間ノ岳(あいのだけ)が並ぶ姿や、隣にそびえる甲斐駒ヶ岳も見どころです。
また、氷河の侵食でできた3つのカールの美しさも、訪れた登山者を魅了します。小仙丈沢カール・藪沢カール・大仙丈沢カールとありますよ。さまざまな高山植物を見られるのも魅力で、花の百名山に選ばれています。貴重な特別天然記念物の雷鳥の生息地でもあり、運がよければ出会えるでしょう。
このように、仙丈ケ岳の魅力は挙げれば尽きません。比較的登りやすい山ということもあり、リピーターが多いとされるのもうなずけますね。
日帰り登山コースの種類
仙丈ヶ岳の登山で日帰りする場合は、北沢峠の往復または周回コースになります。以下のルートやコースタイムを参考にしてください。
往復コース① | ルート | 北沢峠ー小仙丈ヶ岳ー仙丈ケ岳ー仙丈小屋ー小仙丈ケ岳ー北沢峠 |
コースタイム | 約6時間 | |
往復コース② | ルート | 北沢峠ー小仙丈ヶ岳ー仙丈ケ岳ー仙丈小屋ー馬の背ヒュッテー藪沢・小仙丈ケ岳分岐ー北沢峠 |
コースタイム | 約7時間 | |
周回コース | ルート | 北沢峠ー小仙丈ヶ岳ー仙丈ケ岳ー仙丈小屋ー馬の背ヒュッテー藪沢大滝ー大平山荘ー北沢峠 |
コースタイム | 約7時間15分 |
※コースタイムは休憩時間を含んでいません。
登山口までのアクセス
仙丈ケ岳の登山口がある北沢峠には、マイカー規制があります。「南アルプス林道バス利用者駐車場」に車を停め、仙流荘前のバス停から「南アルプス林道バス」に乗り換えましょう。
わたしはバスの始発時刻の30分前に着きましたが、すでに長蛇の列!同行者がいるときは、切符売り場と乗り場と手分けして並ぶのが効率的です。北沢峠までは1時間弱かかるので、日帰り登山の場合は、始発に乗ると余裕がもてるでしょう。
「北沢峠〜藪沢重幸新道コース」の登山行程
藪沢重幸新道(やぶさわしげゆきしんどう)が開通したので、7月下旬に「北沢峠〜藪沢重幸新道コース」を日帰り登山してきました。前述の「周回コース」です。「往復コース」のほうが整備されていて歩きやすいため、初心者の方にはそちらをおすすめします。
なお、藪沢重幸新道は7月中旬くらいまで通行止めになっているため、注意してください。事前に「南アルプス登山道情報」をチェックしておきましょう。
今回は、実際に登った「北沢峠〜藪沢重幸新道コース」のポイントを順に説明します。
北沢峠登山口~小仙丈ケ岳/約3時間
北沢峠に着いたらトイレを済ませて出発です。登山道には〇合目と標識があるので、目安にして進みます。登った日は一合目から五合目までの樹林帯で風がなく、暑さでのぼせてバテ気味に。熱中症にならないよう、こまめに水分と塩分をとりながらゆっくり登りました。
また、のぼせた症状が出たら、凍らせた水筒を首や脇の下に当てて冷やすのも効果的です。下記の記事も、熱中症対策の参考になりますよ。
「夏山の熱中症対策は先を見据えた行動をとれるかが予防のカギ」
「登山用水筒はプラスチックがおすすめ!プラスチック水筒をおすすめする理由とは?」
五合目の大滝ノ頭の分岐で、小仙丈ヶ岳方面へと進みました。六合目からは森林限界をこえ、視界が一気に開けてきます。
小仙丈ケ岳~仙丈ケ岳/約1時間
小仙丈ヶ岳は眺望のよい小ピークです。快晴の日は、気高くそびえる甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山(ほうおうさんざん)、北岳などの迫力ある姿が一望できます。小仙丈沢カールのなだらかな地形は、優美な女王の風格がありますね。
ここからは気持ちのよい稜線がつづき、藪沢カールが見えると間もなく山頂です。傾斜が急な箇所や、段差のある岩場も出てくるので注意して歩きましょう。
仙丈ケ岳~仙丈小屋/約20分
山頂からは名峰が連なる大パノラマが見渡せます。天候がよければ、絶景を眺めながらのランチが最高です。頂上は広くないので、人が多いときは仙丈小屋前のベンチでも食べられますよ。小屋には、トイレやオリジナルTシャツ、アイスキャンディなどがあります。
仙丈小屋~馬の背ヒュッテ〜大平山荘~北沢峠/約3時間
仙丈小屋から少し下ったところで、雷鳥の親子に出会い、遠くからそっと見守りました。そのまま進むと鹿避けの保護柵があり、なかには多種多様の高山植物が見られます。馬の背ヒュッテの分岐で「藪沢」方面へ。
藪沢重幸新道は沢沿いを歩くので涼しく歩けます。途中、ザレ場や急斜面の下りがあるため、スリップや転倒に気をつけましょう。ハクサイチンゲの群生や苔がきれいな登山道ですが、この日は誰ともすれ違うことはありませんでした。
大平山荘から少し登り返せば北沢峠に到着。バス乗り場のベンチには番号がついていて、番号順に乗車するシステムです。帰りのバスも混むので、まずはベンチを確保しましょう。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。