今回は自然観察指導員について、どういう活動をしているのか、どうしたら自然観察指導員の資格がとれるのか、自然観察指導員の資格があるとどんなメリットがあるのか、探ってみました。
自然観察指導員って何?
自然観察指導員は、地域の人たちに自然の大切さをわかってもらうための自然観察会の開催や、自然保護活動などを行うボランティアリーダーです。
自然観察会などを通して、地域のみなさまに自然の素晴らしさを理解してもらうことや、自然保護の重要性を認識してもらうためのさまざまな活動をしています。
自然を愛し自然保護をしたいと思う人たちが、全国各地で自然観察指導員として活動しています。
活動するのは主に休日で、野鳥などの観察会をはじめ、河川の魚や野生動物を観察して数の変化を調べるボランティア活動なども行っています。
自然観察指導員としての実績が認められたら、幼稚園や小学校で園児や生徒を対象にした自然観察会が開催できます。また、野生動物や自然についての講演を依頼されることもあります。
自然観察指導員は、自然保護協会が自然保護教育の必要性を考えて創設した資格制度です。自然保護協会は1977年に「自然観察指導員ハンドブック」を発行し、このテキストの巻末に自然観察指導員認定制度が掲載されました。
1978年から自然観察指導員の養成講習会がはじまり、全国で延べ3万人近くの自然観察指導員が誕生しています。
どうしたら自然観察指導員になれる?
自然観察指導員になるためには、公益財団法人日本自然保護協会が主宰する自然観察指導員講習会に参加する必要があります。
講習会に参加して登録申請を行ったら、自然観察指導員を示す腕章やネームプレートが発行されます。自然観察指導員になるための講習会は、年間12回ほど実施されています。
講習会では人と自然のかかわりや自然保護の大切さなどを学びます。また、自然の楽しさや面白さ、不思議さなどを広く一般の人たちに伝える指導員としての知識も学びます。
自然観察指導員の講習会に参加できるのは18歳からで、1泊2日のスケジュールで野外実習と室内講義が行われます。
自然観察指導員はどのような活動をしているの?
自然観察指導員は全国各地で、自然保護に関するさまざまな観察会を開催しています。
特徴的な活動としては、イヌワシやクマタカが生息する群馬県みなかみ町の取り組み「赤谷プロジェクト」などがあります。
イヌワシやクマタカの生息環境の調査や観察会のほか、住みやすい環境づくりの提案などを行っています。
また、全国の里山から野うさぎが減少していることから、モニタリング調査や野うさぎ以外の生態系の調査などを実施する活動も行っています。
沖縄県では、辺野古沖の埋め立て作業による貴重なサンゴ礁の減少やサンゴ礁の減少が生物の多様性におよぼす影響などを調査する活動を行っています。
このほか、沖縄県「やんばる国立公園」における自然観察会なども実施しています。
京都では、冬の桂川で水鳥の観察会や里山に咲く草花の観察会、釈迦堂までの観察ハイキング、湿地でのトンボや水生昆虫の観察会、セミの羽化観察会、紅葉の渓流沿いをハイキングする観察会などを実施しています。
自然観察指導員が中心になってこれまで行ってきた観察会には、冬の空からやってくるメッセンジャー雪を読み取る観察会(東京)、四国のツキノワグマについて知ろう(徳島)、南硫黄島の自然観察会(南硫黄島)、阿蘇の草原の魅力観察会(熊本)などがあります。
自然観察指導員が開催する自然観察会は、自然とのかかわりを持つことで人生を豊かにすることをコンセプトにしており、直接的に生業に結びつくことはなくても、自然観察会で得ることが多く日常生活に活かすことができます。
自然観察指導員のメリット
自然観察指導員の資格は、自然保護活動や多様性のある生態系の保護活動などを企画する公共団体や企業などで役立ちます。また、エコツアーガイドやフィールドワークなど、さまざまな分野での活躍が可能です。
自然観察指導員は、さらに知識を深めてスキルアップできる制度が設けられています。その一つに「スキルアップ研修会」があります。
「スキルアップ研修会」では、ネイチャア・フィーリング自然観察会やリスクマネジメント研修会、ネイチャア・フィーリング研修会、こどもとの自然観察など、各分野を深く掘り下げた研修会に参加できます。
さらに、隔月で自然にまつわるテーマや観察会のネタになる会報「自然保護」を自然観察指導員にお届けしています。会報「自然保護」は自然保護についての最新の情報が得られる冊子です。
日本自然保護協会が発行する書籍などが会員価格で購入でき、さまざまなセミナーに会員価格で参加できます。
全国の自然観察指導員がネットワークでつながっており、観察会や研修会、会報、メーリングリストなどを通じて自然保護に関する情報交換が行えます。
まとめ
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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