スピードクライミングとは?
ボルダリングは、ここ数年人気ですし、ジムのCMなどもよく見かけるので、クライミングという言葉も含めて、よく知られるようになってきました。
しかし「スピードクライミング」は、新しいスポーツということもあり、まだあまり知られていないスポーツです。
この競技は、名前のとおり決まった高さのコースを、どれだけ速く登れるかを競う競技です。
これはスポーツクライミングの一種で、ほかにボルダリング、リードがあります。
ボルダリングとリードの2種目は、基本的に制限時間内にどれだけたくさん登れるかや、どれだけ高く登れるかということを競うのに対して、スピードは瞬発力が問われる競技。
どのように競技にまで発展したのかというと、きっかけは1940年から1980年にかけて、ロシア(当時はソビエト連邦)にて、山岳部の岩場など自然の中のルートにて、速さを競う競技会を開催したことといわれています。
これが、イタリアやフランスなど、ヨーロッパに伝わり、競技会が盛んに行われるようになりました。
2020東京オリンピックでも注目の競技であるスピードクライミング
スピードクライミングは、2020東京オリンピックから追加される競技のひとつです。
通常は単独で行われるのですが、東京オリンピックでは、ボルダリング、リード、スピードの3種目の複合競技となっています。
基本的なルールとは
競技は、2選手ずつ行われるため、同じホールド位置のコースが2つ、隣同士で用意されています。
予選は2回ずつ行われ、タイムが速い順番に16名選ばれますが、ファイナルはタイム差ではなく、トーナメント方式。
競技は、15mの壁で2人同時にスタートして、最初にトップにあるゴールのスイッチを押した選手が勝ちとなります。
またファイナルのマッチングは、予選タイムの1位と16位と言うように、順位の高い人と低い人があたるように組まれています。
このようなマッチングだと、予選タイムが早い人が勝ちそうですが、ファイナルに進む選手のタイムの差は、コンマ2、3秒など差が少ないので、最下位でファイナルに進んだとしても、その後に勝ち進む可能性は、十分にあるというところも魅力です。
ルートは特別むずかしいわけではない
ボルダリングやリードは、ホールドの位置などを含むルート(課題)は、オブザベーションと呼ばれる観察の時間になってはじめて明かされますが、スピードは、あらかじめ配置などが周知されています。
そのため各選手は、そのコースの練習をかさね、どれだけ速く登れるかということに、集中できるところが、ほかの競技とは大きく異なった部分といえます。
安全確保のために、ハーネスを装着していますが、登るときは自分の力とテクニックのみをつかいます。
そして登る姿は15mもの壁を登っているとは思えないような軽やかさで、まるで映画のスパイダーマンのようです。
スピードクライミングの見どころはなんといっても登る速さ
https://youtu.be/uo15ZAKFIos
見どころを紹介しましょう。
登りきるまで6、7秒という驚異の速さ
この競技の見どころは、やはり驚異的な速さでしょう。
ボルダリングやリードの場合は、4〜6分という制限時間が設定されていますが、スピード競技は、登るまでたった6秒か7秒。
とても短い時間で、トップまで登ってしまうので、競技中は瞬きをしているあいだに終わってしまうなんてこともあります。
参考のために、今現在の世界記録をお知らせすると、男性は5.48秒、女性は7.32秒です。
ルールが単純なところも人気の秘密
競技はあまりむずかしいルールもないですし、すぐに終わってしまうので、集中して見ることができます。
そういう単純なところも、多くの人を魅了するポイントかもしれません。
コンマなん秒といった、ほんのわずかな差で勝敗が決まるので、スタートでフライングすることもあります。
フライングは1回で失格となりますし、わずかなミスがタイムに関わってくるので、そういった点もスリルがあります。
オリンピックは複合競技
2020東京オリンピックでは、ボルダリング、リード、スピードの3種目の複合競技ということで、どの選手もこの3つの競技をします。
そしてそれぞれの、順位をかけることで点数を出します。
たとえば、それぞれの順位が、1位、5位、3位だったとして、これをかけると、1×5×3=15点。
点数が少ない人が勝ちになります。
通常は単独競技で、選手もそれぞれの得意分野があるもの。
オリンピックは、複合競技ですから、波乱がおこる可能性も高く、単独競技よりも楽しめるはずです。