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毎年8月末、フレンチアルプスのベルドンヌ山脈で開催されるトレイルランニングのレース「レシャペベル」に参加しました。このレースでは、全長144km、累積標高11,000mを走ります。今回は、レースの様子や、レースに参加して分かったことなどをレポートします。

レース前半

レシャペベル(L’échappée belle)トレイルランニング

出典:Refuge de la Pra(REFUGES et CHALETS de la FFCAM)

 

レース序盤のアクシデント

朝6時、まだ薄暗い中、いよいよレースがスタート !

気持ちが高ぶって、ついついペースがあがります。

1時間ほど経過して、「さてジェルでも食べようかな」と思ったら、なんと、あるはずのジェルが1つもありません!

スタート後に、ポールをザックから取り出す時、気付かないうちに、補給食を全部落としてしまったようです…

しばらく頭が真っ白になりました。

「でも最初のエイドまでは、そう遠くなかったはず。そこまでたどりつけば、補給できる!」と切り替えて、息をいっぱいすって深呼吸。

とにかく最初のエイドを目指しました。

幸いにも、エイドはとても充実していて、ボランティアの人たちにもたくさん力をもらえたので、私はここ(スタート地点から16kmのFoyer ski de fond Arselle)でしっかり充電できたのです。

 

悪天候によるコース変更

Refuge de la Praという山小屋周辺は、開けた景色でとても綺麗な、私の大好きなところです。

そこからしばらく進み、2889m の地点にあるCroix de Belledonneが見えてきたところで、ボランティアの人が何か言っています。

どうやら、今回は霧が濃いため、そこをのぼらず、直進することになったようです。

残念!

 

雨と寒さ、2つ目のアクシデントとおせんべい

Refuge Jean Collet 、Habert Aiguebelle(47km)までは結構あっという間でしたが、Col de Vacheという峠を越えて、Les 7 Laux(56km)という湖に着くまでは長くて、だんだんとあたりも暗くなりはじめるし、雨も降り寒くなってくるし、弱い心がでてきました。

すべりそうで怖いのでゆっくり進んでいたら、ふとした拍子に置いたポールに全体重をかけてしまい、ボキッと音がして、あ、やばっ!と思ったときには、ポールが折れていました。

うーん…でも、仕方ない。

とりあえず、次のエイドまでがんばろう!

約64kmのPleynetに着いた時は、スタートからほぼ12時間半経過していて、あたりは真っ暗。

ここは、バース・ド・ビとよばれる大きなエイドで、スタート前に預けた自分の荷物を受け取ることがでるので、荷物に入れておいた日本のおせんべいを食べました。

バリバリバリバリバリバリと音をたてて食べていたら、どんどん元気が戻ってきました。

 

海外トレイルランニング: UTMBほか世界の絶景を走るRUN+TOURISM体験ブック/チーム100マイル&その仲間たち (著),鏑木 毅 (監修)
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レース後半

 

寒さに強いランナーたち

Pleynetをでたあとは、Grand Valloire 、Petite Valloireとアップダウンを繰り返し、Gleyzin へ下ります。

本来ならこのあと、Col de Moretan という峠まで急な上りがありますが、どうやらちょっと違う方向へ向かっているようです。

霧の影響で、コースが変わったのかな?

Super Collet(99km)を出たあとも、相変わらず霧が出ています。

私は寒がりなので、手袋をして、ジャケットの下にフリースも着ていましたが、風がふくととても寒くて、胸がキューっとなります。

でもまわりを見ると、半そでのままだったり、半そでにアームカバーをしただけ、という恰好で走り続けている人がいます。

欧米人は、基本的に日本人に比べて、寒さに強い人たちが多いのかなぁ。

最後から2つ目のエイドVal Pelouseに着くと、あともう少しという感じでしたが、体じゅうに疲労がたまっています。

そんな時、後ろから男性が近づいてきたので、「あー疲れた、私もう走れない」と言うと、「僕も疲れてるよー、走れるのは下りだけ。こんな風にちょっと小走りしてるよー」と言いつつ、トコトコと走っています。

彼にちょっとついて行ってみようと思い、後についていくと、「日本人?日本はすごいいい国だよね。どこ行っても、すっごい清潔だし。それに、レストランの前にある、あのショーケース。食べ物の見本がたくさん飾ってあってすごいよね。本当最高だよ、日本は!また行きたいなー。日本大好き!」など、ペラペラと楽しそうに話しています。

日本が大好きな彼と話していたら、何だか嬉しくなって疲れていることを忘れてしまいました。

しばらくすると、私はついていけなくなりましたが、「続きもがんばってねー、君はすごいよ!」と嬉しい言葉を残して、彼は去っていきました。

 

ようやくゴール

レシャペベル(L’échappée belle)トレイルランニング

 

最後のエイドLe Pontetを出る頃は19時半を過ぎて、暗くなり始めていました。

ゴールは、ロシェット公園というとても感じのいい公園で、完走者はゴールにあるカウベルを鳴らすことになっています。

ゴールする自分の姿を想像すると嬉しさがこみあげてくる半面、体や脚は疲れていて、思うよう速く進めず、ゴールまでが遠かったです。

私が公園にたどり着いたのは、23時頃でしたが、近くで友人が待っていてくれました。

嬉しい!

ゴール後に鳴らすカウベルは最高!

喉がからからになるほどだった昨年の猛暑と、今年の悪天候は、とても対照的でどちらも大変でした。

以下に、昨年と今年のオフィシャルビデオのリンクがありますので、興味のある方は見比べてみてください。

 

参考:

Échappée Belle 2018 (Film officiel – short version)
Échappée Belle édition 2017 (film officiel)

 

ウルトラ&トレイルランニング コンプリートガイド/ブライアン・パウエル (著), 篠原美穂 (翻訳)
ウルトラ&トレイルランニング コンプリートガイド/ブライアン・パウエル (著), 篠原美穂 (翻訳)

レースを終えてから

 

翌日、ゴールの余韻にひたりつつ会場の公園でのんびりしていると、子ども達のレースが始まりました。

元気に走ってゴールした子ども達は、全員舞台の上に上がって、1人1人メダルをかけてもらっていました。

レシャペベルの完走者は、カウベルを鳴らすのが恒例になっていますが、走った子どもたちのメダルは、小さなカウベルの形をしていました。

とってもかわいいアイデアです!

このレースに参加して感じたことは、登山やランニング、仕事など、山との関わり方は違っても、山好きな仲間として、お互いを尊敬して大切にしていて、みんな仲が良いんだなぁ、ということ。

レース中は、ボランティアの人のほか、登山者や山で働く人たちが、とてもあたたかく応援をしてくれました。

彼らのおかげで最後まで走り続けることができたと思います。

 

 

RUN + TRAIL Vol.9 (SAN-EI MOOK)
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今回は、フレンチアルプスのベルドンヌ山脈で開催されるトレイルランニングのレース、レシャペベルに参加した様子をレポートしました。大会の雰囲気を感じてもらえたでしょうか?コースはとてもハードですが、大会の雰囲気はとても温かく、ぜひまた参加したいなと思わせてくれる大会です。私は今回で2回目の参加でしたが、いつか3回目の挑戦もしたいと思います。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。