古くから肌のお手入れに用いられ、「美人水」の名で親しまれてきたヘチマ水。植物の茎から採れる天然の化粧水は、自然の恵みを暮らしに取り入れる、昔ながらのスキンケアのひとつです。ヘチマを育て、ヘチマ水100%の化粧水を日々愛用している筆者が、その歴史や特徴、暮らしへの取り入れ方を紹介します。
400年以上愛され続ける、ヘチマ水の魅力

ヘチマと聞いて、まず思い浮かぶのは、ヘチマたわしやグリーンカーテンではないでしょうか。「ヘチマ水」という名前は聞いたことがあっても、実際にどのようなものなのかは、意外と知られていません。
ここではまず、400年以上にわたって受け継がれてきた歴史を紐解きながら、ヘチマ水の魅力や特徴を紹介します。
ヘチマ水の歴史ー江戸時代から現代までー
ヘチマ水が化粧水として広く使われるようになったのは、江戸時代といわれています。身近な植物から採ることができるヘチマ水は、庶民の暮らしにも取り入れられ、親しまれてきました。
その一方で、江戸城の大奥でも、白粉をのせる前の下地としてヘチマ水が使われていたという記録が残っています。
ヘチマ水の歴史をたどると、およそ400年もの間、時代が移り変わっても人々の暮らしに寄り添い、現代まで受け継がれてきたことがわかります。
ヘチマ水に含まれる成分
ヘチマ水の成分のほとんどは水ですが、ペクチンやサポニン、アミノ酸、ミネラルなど、植物由来の成分もわずかに含まれています。なかでも注目したいのが、ペクチンとサポニンです。
ペクチンは、水分を抱え込む性質をもつ多糖類の一種。肌にうるおいを与え、乾燥を防ぎながら、しっとりとした状態を保つ働きが期待されています。
一方、サポニンはヘチマをはじめ、朝鮮人参などさまざまな植物に含まれる成分です。ヘチマ由来のサポニンについては、抗炎症作用などに着目した研究も行われています。
ヘチマ水は、ヘチマの茎から採れる水をそのまま活用したシンプルなものですが、そのなかには、肌のうるおいやコンディションを整える成分も含まれています。
毎日の暮らしに。ヘチマ水の使い方

ヘチマ水は、顔だけでなく全身の保湿ケアにも取り入れやすく、季節を問わず活躍してくれます。
ここでは、筆者が実践している「ヘチマ水の使い方」をシーン別に紹介します。
顔のスキンケアに
わが家では、洗顔後の化粧水としてヘチマ水を使うのが定番になっています。
コットンに含ませて顔になじませたり、そのまま手のひらでハンドプレスしたりと、使い方はいつもの化粧水と同じ感覚で取り入れられます。
とろみの少ないさらりとした質感なので、肌のベタつきが気になる夏場でも、心地よく使えるのがうれしいポイントです。
ボディケアに
顔だけでなく、体にもたっぷり使えるのがヘチマ水のいいところ。私は、お風呂上がりに全身になじませるようにしています。
肌なじみがよく、すっと伸びるので、全身のケアにも使いやすいのが魅力です。
摘んだばかりの青葉のような、すがすがしい香りも心地よく、お風呂上がりの楽しみのひとつになっています。
日焼け後や乾燥が気になるときに
ヘチマ水は、昔から日焼けやほてりを感じたときのケアにも使われてきました。冷蔵庫で冷やしておいたヘチマ水を、火照った肌にそっとあてるだけでも、ひんやりと心地よく感じられます。
紫外線の影響が気になる季節や、エアコンで乾燥しがちな季節にも、こまめな保湿ケアの感覚で取り入れてみると良いでしょう。
私は、アウトドアに出かける際は小瓶に入れて持ち歩き、日焼けで肌がヒリヒリするようなときのケアにも使っています。
自然からの一滴。ヘチマ水はどうやって採れる?

ヘチマ水の化粧水は、市販だけでなく、栽培したヘチマの茎からも採取できます。
ヘチマを育てている人は、実の収穫だけでなく、ヘチマ水の採取にも挑戦してみませんか。ここでは、ヘチマ水が採れる時期や採取方法について紹介します。
採取できる時期は?
ヘチマ水は、古くから「中秋の名月に採ると良い」と伝えられてきました。これは、実をつけ終えたヘチマが根に蓄えた水分を茎へ送り続ける時期と重なるためといわれています。
ヘチマの生育や気候によって前後しますが、採取時期の目安は8月下旬から10月頃です。実の収穫を終え、葉が少しずつ役目を終え始めた頃が、ヘチマ水を採るタイミングとしておすすめです。
ヘチマ水が採れるまでの流れ
ヘチマ水の採取方法は、以下の通りです。
- 実を収穫し終えたヘチマの茎を、地面から30〜50cmほど残して切ります。切り口はできるだけ清潔にし、よく切れるハサミやナイフを使うのがおすすめです。
- 茎の切り口が容器の中に入るよう、清潔なビンやペットボトルの口に差し込みます。虫や雨水、ほこりなどが入らないよう、ビニール袋などで覆っておくと衛生的に採取できます。
- 数時間から一晩ほど待つと、ヘチマ水が少しずつ容器にたまっていきます。
- 採取したヘチマ水は、清潔な布やキッチンペーパーなどでろ過し、不純物を取り除いて保存します。
一株から採れる量は、生育状況や天候によって異なりますが、数百mLから、多い場合には1L以上になることもあります。
保存するときのポイント
自家製のヘチマ水には防腐剤が入っていないため、日持ちしにくいのが特徴。採取したらできるだけ早く冷蔵庫で保存し、なるべく早めに使い切りましょう。
衛生的に使うためには、煮沸消毒などをした清潔な小瓶に小分けして保存するのがおすすめです。
一度に使う分だけ取り出すことで、容器を開閉する回数が減り、雑菌が入り込むリスクを抑えられます。
育てる?買う?あなたに合ったヘチマ水の始め方

ヘチマ水を暮らしに取り入れる方法は、一つではありません。
家庭でヘチマを育てて自分で採取する楽しみもあれば、市販品を選んで気軽に使い始める方法もあります。ここでは、ヘチマ水を暮らしにどう取り入れればよいのか、それぞれの始め方と楽しみ方を紹介します。
自分で育てて採取する、ヘチマ水の楽しみ
ヘチマは、プランターひとつでも育てられる植物です。初夏に苗を植えれば、夏には黄色い花を咲かせ、やがて大きな実をつけます。若い実は食用に、完熟した実はヘチマたわしに、そして秋には茎からヘチマ水を採取することもできます。
ひとつの植物から、季節を通してさまざまな恵みを受け取れることも、ヘチマを育てる醍醐味です。自分で育てたヘチマから採ったヘチマ水には、市販品とはまた違った特別な愛着が生まれるでしょう。
プランターを置くスペースがある人や、ヘチマたわし作りなども楽しみたい人、季節の手仕事が好きな人は、自分で育てるところから始めてみてはいかがでしょうか。
ヘチマの育て方はこちら
ヘチマたわしの作り方はこちら
市販のヘチマ水から、気軽に始める
「まずは気軽に試してみたい」という人には、市販のヘチマ水がおすすめです。
商品によって、ヘチマ水100%のものや、防腐剤・保湿成分などを配合したものがあります。購入する際は、成分表示を確認し、自分の肌質や好みに合ったものを選びましょう。
また、無農薬栽培や国産ヘチマを使用している商品など、生産方法にこだわった製品も販売されています。背景にあるストーリーに目を向けながら選ぶのも、ヘチマ水の楽しみ方の一つです。
比較的手に取りやすい価格の商品も多いため、ヘチマ水を初めて使う人や、まずは使い心地を試してみたい人にもおすすめです。
自家採取と市販品は、どちらがよいというものではありません。私自身も、自分で採取したヘチマ水と市販品の両方を暮らしに取り入れています。まずは市販品から試してみたり、育てるところから楽しんでみたり。自分に合った方法で、無理なく始めてみるとよいでしょう。
ライター
AYA
静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。