自然の中で子どもと遊んでいると、「自然を荒らしていないかな?」「どこまでなら許容されるかな?」と迷う場面はありませんか。そんなときに知っておきたいのが、自然を楽しみながら未来へつなぐ考え方「Leave No Trace(リーブノートレイス)」です。本記事では、リーブノートレイスとは何か、7原則の考え方やワークショップに参加して得た気づきを交えながら、親子で今日から実践できる自然との向き合い方を紹介します。

リーブノートレイスとは?体験ワークショップで分かった「自然を楽しむため」の考え方

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リーブノートレイス(Leave No Trace=LNT)は、「自然を守るために我慢する」のではなく、「明日もこのフィールドを楽しめるように行動を考える」ための環境倫理です。

今回参加した体験ワークショップは、TOKYOサステナブルツーリズム連絡協議会の事業として、2026年6月13日に東京都青梅市御岳交流センターにて無料で開催されたもの。対象者は、青梅市・あきる野市・奥多摩町に居住、または活動拠点がある人でした。

その考え方を座学で学ぶだけでなく、実際に体を動かしながら理解を深めるプログラムが組まれていました。

午前はLNTの基本理念や歴史を学び、午後はフィールドで体験。体験内容は、ゴミの処理を実践する「キャットホール」、野生動物との距離を体感する「サムズアップ」や、焚き火の跡を残さない「マウンドファイヤー」でした。

講師が一方的に説明するスタイルではなく、参加者が主体的に意見を出し合い、実践形式で発表し、フィードバックし合う機会が多く設定されていたのが印象的でした。

取り入れられていたのは、受け身の学習より体験を重視する「学習ピラミッド(※1)」と「SPECモデル(※2)」の考え方です。参加者同士で話し合い、最後に振り返ることで、「自分ならどう行動するか」という視点が自然と身につく内容でした。

実際に仲間と話し合い、体を動かして最後に振り返ることで、「知識」として理解するだけでなく、実践的な視点につながります。参加者は地域のアウトドア愛好家だけではなく、自然体験活動の指導者や民泊経営者などさまざまで、それぞれの経験を共有しながら学べたことも魅力でした。

※1 学習ピラミッド…学習方法と学習定着率の関係を示したモデル。
※2 SPECモデル…参加者主体型の指導・学習メソッド。

リーブノートレイスとは

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リーブノートレイスとは、人と自然がこれからも良い関係を築いていくための「行動を考えるフレームワーク」です。自然環境への影響(インパクト)をできるだけ小さくすることを目的としていますが、「〜してはいけない」と禁止する考え方ではありません。

「すべての人が自然を楽しむ権利がある」という前提に立ち、その楽しみを未来へつなぐために、一人ひとりがより良い方法を考えることを大切にしています。

ワークショップで特に印象に残ったのは、「Don’tからLet’sへ」という言葉。考えを押し付けたり、誰かを注意したりするのではなく、「もっと自然への影響を減らせないか」と一緒に考える姿勢こそがLNTの本質なのだと感じました。

この考え方は1960年代、米国でアウトドアブームによる自然環境への負荷が増えたことをきっかけに生まれました。規制するだけでは、規制のない場所へ問題が移ってしまうだけという反省から、利用者一人ひとりの倫理観を育てる教育へと方向転換したのです。

その後、米国森林局や野外教育機関が教育プログラムを発展させ、1994年には普及を担う非営利団体「Leave No Trace」が設立されました。現在では100か国以上に広がり、アウトドアを楽しむための国際的な行動指針として活用されています。

ワークショップで印象が変わったこと

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ワークショップに参加する前は、LNTは登山やバックカントリーなど、本格的なアウトドアを楽しむ人のためのルールという印象でした。

実際に学んでみると、LNTはルールではなく「自然への影響をより小さくするにはどうすればよいか」を考えるための指標だと分かり、イメージが大きく変わりました。

その場の環境や状況に応じて、より良い行動を選ぼうとする姿勢そのものがLNTの実践だったのです。

私が参加したのは、現場で子どもたちと自然に触れる機会が多く、「自然へのインパクトについても子どもと一緒に考える」必要性を感じていたから。

子どもの直接体験を大切にしながら、「自然はみんなの財産であり、未来へ受け継ぐもの」と伝えるには、LNTが役立つのではないか?と考え、参加を決めました。

ワークショップに参加して、すぐに実践できそうだと感じたのは、「明日もこのフィールドを楽しめるか」という視点です。遠い未来ではなく「明日のこと」であれば、子どもたちにも想像しやすいはず。

そんな小さな問いかけの積み重ねが、自然との向き合い方を育んでいくきっかけになると感じました。

親子で自然を楽しむなら知っておきたいリーブノートレイスの7原則

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LNTの7原則は、ルール集ではありません。環境や利用する人の状況に合わせて、環境への影響を小さくする方法を考えるための道しるべです。

ワークショップでも、一つひとつの原則を暗記することより、考えを分かち合う時間が大切にされていました。ここでは7原則の考え方を簡単に振り返りながら、身近な遊びのなかで生かせる視点をお伝えします。

7原則は「禁止事項」ではなく、自然を楽しみ続けるための知恵

ワークショップで紹介されたのは、「Don’t be a LNT Police!!(LNT警察にならない)」という言葉。誰かに注意したり正解を押し付けたりするのではなく、その場の環境や安全性、ほかの利用者への配慮を踏まえて、より良い方法を考えることが目的です。

7原則
①事前の計画と準備
②影響の少ない場所での活動
③ゴミの適切な処理
④見たものはそのままに
⑤最小限の焚き火の影響
⑥野生生物の尊重
⑦他のビジターへの配慮

それぞれの内容や親子での実践例については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

リーブノートレイスとは?7原則と子どもと実践できる自然遊び
リーブノートレイスとは?7原則と子どもと実践できる自然遊び

一歩外に出たら実践できる身近な例

LNTは、野山やキャンプ場だけで役立つ考え方ではなく、家を出た瞬間から実践できます。

例えば、「見たものはそのままに」は、生きものを持ち帰らないことはもちろん、虫を探すために動かした石や倒木を元の位置へ戻すことも大切です。これが、生きもののすみかや餌を守ることにつながります。

また、「野生生物の尊重」は、シカやクマだけを対象にした原則ではありません。身近な虫もむやみに触れず、そっと観察して最後は元の場所へ返すという関わり方なら、子どもの直接体験を尊重しながら自然への影響も小さくできます。

さらに、「他のビジターへの配慮」は、遊びに来る人だけを想像しがちですが、そこに住んでいる人への配慮も含まれます。また、公園や里山を整備している人の存在を子どもたちに伝えることで、「この場所はみんなで守っている」という視点も育まれるでしょう。

リーブノートレイスはいつでも始められる|まずは親子で一歩踏み出そう

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LNTは、特別な経験がなくても実践できるツールです。興味を持ったら、さらに学びを深める機会も用意されています。

リーブノートレイスジャパンではどんな活動をしている?

リーブノートレイスジャパン(LNTJ)は、日本でLeave No Traceの普及と教育を担う公式ブランチです。2021年に設立され、「環境へのインパクトを最小限にしながら、誰もが自然を楽しみ続けられる社会」を目指して活動しています。

「すべての子どもにLNTを」「すべてのアウトドアを楽しむ人がLNTを行動に」という目標を掲げ、子どもから大人までそれぞれの立場でLNTを学べる機会を提供しています。

また、2025年には東京都青梅市、あきる野市、奥多摩町と連携し、TOKYOサステナブルツーリズム連絡協議会が発足。地域の自然を守りながら楽しむ仕組みづくりにも取り組んでいます。

資格は必要?興味が湧いたら学びを深める方法

LNTを実践するために、資格は必要ありません。家族で公園や里山へ出かけ楽しむ場面でも、一つの「ものさし」として使えます。

一方で、「もっと深く学びたい」「子どもたちや地域で伝える立場になりたい」と思った場合には、学習プログラムが提供されています。

一般向けワークショップや、指導者向けインストラクターコースなど、目的に応じた学習プログラムも用意され、興味が深まったら、段階的に学びを広げられるでしょう。

詳しく知りたい場合は、LNTJのトレーニングコースをご覧ください。

ワークショップや講座の様子は、こちらからもご覧いただけます。
Instagram:https://www.instagram.com/tokyo_sustinable_tour/
FB:https://www.facebook.com/profile.php?id=61587774947147

また、次の記事もぜひ参考にしてください。

スキルアップで自然がもっと楽しくなる!アウトドアの資格、取得するメリット紹介
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LNTは、「どうすれば明日もこの場所を楽しめるだろう」と考えるための道しるべ。今回のワークショップを通して、その考え方は公園や里山、生きもの探しなど、親子で自然に親しむあらゆる場面で生かせると実感しました。正解を探すのではなく、その場に合ったより良い行動を親子で考えてみることが、身近な自然環境を未来につないでいくための小さな一歩になるのではないでしょうか。

曽我部倫子

ライター

曽我部倫子

東京都在住。1級子ども環境管理士と保育士の資格をもち、小さなお子さんや保護者を対象に、自然に直接触れる体験を提供している。

子ども × 環境教育の活動経歴は20年ほど。谷津田の保全に関わり、生きもの探しが大好き。また、Webライターとして環境問題やSDGs、GXなどをテーマに執筆している。三姉妹の母。