2026年4月より導入された自転車の「青切符」制度に、窮屈さを感じていませんか?そんな今だからこそもちたいのが「なぜ私たちは、自転車に乗るのか?」をポジティブに捉える価値観です。自転車は、自分の食事をエネルギーに変え、人間というエンジンを活かせる、エコであり、自分自身を整えるスマートなツール。今回は、ガソリン代の節約や運動不足の解消、自転車による「地球と自分へのメリット」について考えてみましょう。

エネルギー効率が高い!自転車が「エコ」な物理的理由

自転車がエコだといわれる最大の理由は、化石燃料を使わずに移動できるツールである点です。

自分の「食事」が燃料になる究極のサイクル

自動車がガソリンを燃やし、電気自動車は電力を消費する一方で、自転車の燃料は私たちの「食事」です。

私たち人間が摂取したエネルギーと自分の身体を使って進む自転車は、CO2を排出しないだけでなく、製造から廃棄までの環境負荷もほかの乗り物に比べて極めて低いのが特徴です。

ガソリンスタンドに立ち寄る代わりに、しっかりごはんを食べる。

自分のエネルギーでどこまでも行ける自由さは、移動そのものを「生きている実感」に変えてくれる自転車ならではの贅沢です。

「点」の移動を「線」の体験に変える

車での移動は目的地から目的地への「点」の移動になりがちですが、自転車は道中のすべてが「線」の体験になります。

町の風景や季節の変化を五感で楽しむ。この「豊かな時間」こそが、日常に自転車を取り入れる最大のメリットといえるのではないでしょうか。

また、ガソリン代の高騰が続く昨今、車での移動を自転車に置き換えれば、お金の節約にもつながり、地球とお財布にやさしいツールです。

【実践】今日から始める「エコサイクリング」

「エコサイクリング」とは、単に自転車に乗るだけの行為ではありません。走行中のマナーからメンテナンスまで、アウトドア好きとして知っておきたい楽しみ方を紹介します。

LNT(Leave No Trace)をスタンダードにする

LNT(Leave No Trace)とは、自然環境への影響を最小限にしながらアウトドアを楽しむための7つの原則です。アウトドアの基本である「足跡以外は残さない」という精神は、サイクリングにも通じます。

排気ガスを出さないのはもちろん、ポイ捨てをしない、植物を傷つけないなど、スマートな振る舞いが、サイクリストにとってもこれからのスタンダードです。

筆者も、補給食はゴミをなるべく出さない、あるいはもち帰りやすいものを選択しています。

参照:LNT7原則

一台を長く使う「愛着」というメンテナンス

一台の自転車を丁寧にメンテナンスして長く乗り続ける。これこそが最もサステナブルな楽しみ方です。

最新モデルを次々と乗り換えるのもよいですが、チェーンを磨き、注油する。そんな、自分の自転車に愛着をもって行うメンテナンスも、立派な趣味の時間になりますよ。

初めはわからないことだらけで難しくても、すこしづつメンテンス方法を学びながら自身の自転車についても詳しくなるのは、魅力的な楽しみ方ですね。

ディスクブレーキのメンテナンス方法について以下の記事で紹介しています。

ディスクブレーキのメンテナンス方法は?パッド交換の頻度や正しい洗浄方法も
ディスクブレーキのメンテナンス方法は?パッド交換の頻度や正しい洗浄方法も

スポーツバイク以外でもOK!健康へのメリット

通勤や街乗りに、スポーツバイクは使いづらい、手が出しづらいという人もいるでしょう。そんなときはスポーツバイク以外の自転車も選択肢になります。

サイクリングのエコなメリットはママチャリや電動アシスト自転車にもあり、スポーツバイクの限りではありません。

スポーツバイクのようにトレーニングとして乗らなくても、心理的メリットがあり、さらには環境への配慮がエコにつながります。

電動アシスト自転車が日本よりも日常の移動手段として定着しているスイスについては、以下の記事を参考にしてください。

日本は送迎、スイスは移動革命?電動アシスト自転車から見えた年代別暮らしのヒント
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「アシスト=楽」ではなく「距離を伸ばす装置」

電動アシストは漕ぎ出しや坂道を助けてくれますが、足を動かし続けなければ進みません。心拍数が上がりすぎない程度の「軽微な運動」を長時間続けることは、実は脂肪燃焼に最適な有酸素運動のゴールデンゾーンを維持しやすいのです。

また、「あの坂がつらいから車で行こう」という心理的障壁を電動が取り払ってくれるため、結果として自転車に乗る頻度と走行距離(=総消費カロリー)が増えるというメリットも。

心理的ハードルの低下が「総運動量」を増やす

「ハローサイクリング」などのシェアサイクルを活用するのは、所有しないことで将来的に廃棄も減らせて、1台を長く使えるとてもエコな選択のひとつです。

また、混雑した電車を避け、シェアサイクルで風を感じながら移動するのは心の健康にもつながります。さらに電動アシストがあれば、目的地に着いて汗だくになる心配も少なく、日常に無理なく取り入れられますね。

サイクリングでの消費カロリーについては、以下の記事も参考にしてください。

自転車は効果的なエクササイズ?片道30分通勤でどれだけカロリー消費できるか検証
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100kmロングライドを自分事にするためのガイド

自転車に慣れてくると、一度は挑戦したくなるのが「100km」という長距離ライド。

車でも長く感じる距離ですが、自転車を使って自分の体力と食事から得たエネルギーで走り切る体験は、格別な達成感をもたらしてくれますよ。

100km走るのに何時間かかる?

初心者の場合、まずは「時速15〜20km」を基準に計画を立てるのが安心です。

  • 走行時間の目安: 約5〜7時間
  • 休憩を含めた所要時間: 約8〜9時間

朝8時に出発すれば、途中でゆっくりランチを楽しんでも、夕方には帰宅できる計算です。春から初夏にかけての日照時間が長いシーズンは、無理のないペースで挑戦するのに最適。

とくに初めての場合は、無理なく安全に走行できるルートか事前に把握しておきましょう。

以下の記事では、自転車の交通ルールに関して紹介しています。

自転車に「青切符」導入。GW前に家族で再確認したい並走の新常識
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ロードバイクで走ったらどのくらいの運動になる?

ここで、普段からロードバイクトレーニングを習慣としている私が、実際に約115km(獲得標高約1400mを含む)を走行した際のデータを参考に見てみましょう。

  • 総消費エネルギー:2201 kcal
  • 平均出力(パワー):118W
  • 走行時間:約4時間半(移動時間のみ)

この「2201kcal」という数字は、牛丼なら約3杯分、おおよそ成人女性が1日に必要とするエネルギー量(年齢や活動量によってエネルギー量増減します)に相当します。これだけの運動を、膝や腰への負担を抑えながら(ランニング等に比べて)長時間続けられるのが、自転車の大きなメリットです。

もちろん、いきなり100kmを目指す必要はありません。まずは30km、次は50km、80kmと段階を踏み、自分の消費エネルギー(お腹の減り具合)と筋力疲労を把握することから始めてみてくださいね。

また、ロングライドには機材トラブルなどがつきものです。事前に欠かさずメンテナンスし、トラブル時の保険や迎えなど、もしものときの対処法も考えておきましょう。まずは家から遠いところまでいかずに、帰りやすい距離を周回するのもおすすめです。

ガソリンを消費して急ぐよりも、自らの力で風を切るサイクリング。それこそが、現代において私たちが求める「豊かさ」ではないかと感じています。青切符制度によって自転車の道路使用ルールが示された今こそ、地球にも自分にも優しいこの「新しいライフスタイル」を、ぜひ家族の新しいエコ習慣として取り入れてみてください。

yomec(よめしー)

ライター

yomec(よめしー)

自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。