サイクリストの間では「エマージェンシーカード(緊急連絡先カード)」が緊急時に役立つアイテムとして、重要視されるようになってきました。この記事では、サイクリストにとってなぜ必要か、なにを書いてどこに備えておけばいいのか、具体的にお伝えします。

エマージェンシーカードとは

もしもの事故や体調不良時に備えて、緊急連絡先や持病・アレルギーなどの情報を記載するカードが「エマージェンシーカード」です。

カードがあれば、一人のときに意識を失った場合でも救助者が必要な情報をすぐに把握できるため、適切な対応を受けやすくなります。筆者は単独走行や長距離ライドの機会が多くなり、緊急時に備えてカードをもつようになりました。

サイクリストに限らず、登山者やランナーなどアウトドアスポーツを楽しむ人にも有効です。

身分証明として運転免許証や保険証を持つ人もいますが、緊急連絡先や健康情報が記載されていないため、対応が遅れる可能性があります。一方で、エマージェンシーカードは緊急対応を行うため必要な本人情報がコンパクトにまとめられてるので、もしもの事態に命を守る重要なアイテムとなります。

サイクリストに必要な理由

ロードバイクは楽しいスポーツである一方で、事故や体調不良などのリスクも伴います。実際に、筆者の周りにも単独事故を経験したサイクリストは少なくありません。

幸い大事には至らず、カードを使うケースは今のところ聞きませんが、備えあれば憂なしと感じざるをえません。また、以下の点からエマージェンシーカードの必要性を強く感じます。

救助者が適切に対応しやすくなる

事故や急な体調不良で意思表示ができない状況の場合、医療スタッフは限られた情報のなかで判断を迫られます。

そのため、氏名・血液型・持病・アレルギー・服用中の薬などの情報がすぐに確認できるカードを持っていれば、適切な治療を受けやすくなる可能性が高まるでしょう。

単独時の身元確認・家族への連絡がスムーズになる

単独でロングライドを楽しむサイクリストは、もしもの事故で意識を失った場合、身元確認や家族への連絡に時間がかかるケースがあります。

エマージェンシーカードで緊急連絡先がわかれば、救助者がすぐに家族や仲間に連絡でき、早期対応が可能になるのは大きなメリット。

海外ライドやツーリングで役立つ

海外でのサイクリングでは、言葉の壁や医療システムの違いがあります。

エマージェンシーカードを準備しておけば、緊急時に適切な対応を受けやすくなり、スムーズな治療や手続きを進める助けになるでしょう。ただし海外で使用する際は、現地の言語で記入しておのがポイントになります。

主な記入内容やポイントをチェック

【表面】

【裏面】

筆者が実際に用意しているエマージェンシーカードを元に、主な記入ポイントを紹介します。

必須事項 あると便利な情報
・フルネーム
・生年月日
・血液型
・電話番号(緊急連絡先)
・持病やアレルギー
・かかりつけの病院名
・保険情報
・緊急連絡先の人の名前

内容は、なるべく簡潔に記入しましょう。場合によって、フリガナをふったり言語を変えたりすると、より救助者に伝わりやすくなりますよ。

カードはどこに入れておくのがベスト?

エマージェンシーカードを有効活用するためには、緊急時にすぐ発見できる場所への収納が大切。以下に、サイクリストにおすすめのカード収納場所を紹介します。

サイクルポーチ(ウォレット)のなか

サイクリング中のサイクリストの多くは、サイクルポーチを持っています。救助者が最初に身分確認アイテムを探すのもサイクルポーチが多いため、一つ忍ばせておくのがおすすめです。ちなみに、筆者もサイクルポーチにカードを入れて携帯しています。

以下の記事では、サイクルポーチについて紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

貴重品はサイクルポーチへ!ロードバイクに適したポーチ選びのコツとは
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ヘルメット内部

ヘルメット内部に貼り付けているサイクリストを見かけます。事故の具合によっては、ポケットなどにいれているアイテムは飛び出してしまうかもしれませんが、ヘルメットは身につけているままのケースが多く、カードを無くしにくい場所です。

ただし、雨や汗で濡れやすいため、防水の工夫が必要になります。

複数箇所にもっておく

意識を失うような事故や病気では、どのような状況になるかわかりません。そのため、複数の場所に分散させておくのもよいでしょう。

カードをたくさんもつのが大変な場合は、シールに緊急連絡先などを記入して貼っておく方法も便利ですよ。

カードの入手方法

エマージェンシーカードは、既製品を購入、または自作する方法があります。

ネット通販で購入する

Amazonや楽天などの通販サイトでは、防水加工やネックストラップ付きのエマージェンシーカードが販売されています。筆者も現在はサイトで購入したカードを使用していますが、手軽に入手できて耐久性にも優れていると感じています。

自転車チームが配布する

一部のサイクリングチームでは、メンバー向けに統一デザインのカードを作成している場合があります。チーム名や連絡先が記載されているため、緊急時に仲間へスムーズに連絡できるメリットがあります。

自作する

購入しなくても、自身でカードを作成する方法もあります。

自分でカードを作成する場合は、必要情報を記載し、ラミネート加工することで耐久性を向上させるのがおすすめ。おしゃれなデザインにしたいと考えがちですが、視認性の高いデザインがマストです。裏面にQRコードをのせてもいいかもしれませんね。

エマージェンシーカードは、できれば使う場面に遭遇したくない緊急時のアイテムです。しかし、単独走行の機会があるロードバイクでは、もしものときに素早い対応を受けられるかどうかで、生死を左右する可能性があります。「自分は大丈夫」と思っていても、サイクリングを楽しむお守りとして備えてみてはいかがでしょうか。

yomec(よめしー)

ライター

yomec(よめしー)

自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。