今回、山小屋用に筆者が購入した薪ストーブは、とてもシンプルでオーソドックスなタイプ。燃焼効率を高めてきれいな煙を排出するクリーンバーン機能を採用し、よく燃えるという評判の薪ストーブです。実際に設置して使用するまでをくわしくレビューします。

山小屋への薪ストーブの設置から使用方法

今回購入したのは「コメリ オリジナル薪ストーブ 306A」です。コメリのネット通販で購入しました。

購入の決め手となったのは、同じタイプの薪ストーブを30年間使用している近所の方に、耐久性にすぐれていて使いやすいという評判を聞いたからです。

ここからは、薪ストーブ設置の手順を説明します。

薪ストーブ設置①炉台・炉壁の設置

薪ストーブ

薪ストーブを設置する台のことを炉台といいます。火の粉などが落ちて火災の要因になるため、炉台だけは必ず設置しなくてはなりません。

今回は、薪ストーブの先輩でもある友人が大理石の板をくれるというのでそれを炉台にしました。

また、炉壁は必ず設置しなくてはいけないということではなく、壁から1m以上間隔をあけて設置できる場合には必要ないようです。炉壁は様子をみながら必要であれば後から設ける予定にしています。

薪ストーブ設置②煙突の設置

薪ストーブ

薪ストーブの性能を大きく左右するのが煙突。煙突の設置は、薪ストーブから垂直に伸ばして天井と屋根を突き抜ける方法が理想的です。

垂直にすることでより大きなドラフト効果が得られるようになります。

※ドラフト効果〜煙突内の空気が外気よりも暖かいとき、煙突内で上昇気流が発生して、薪ストーブの空気取り入れ口から空気を吸い込みながら、煙を外へスムーズに排出する現象

薪ストーブ

建物の構造上、垂直に伸ばすことができない場合は、途中で横方向に伸ばす設置方法もあります。横に伸ばすときには垂直に伸びる室内煙突の3分の1以下、長さは1m以内が理想的です。

筆者は、斜め方向45度の角度で一直線に伸ばすように煙突を設置しました。

2カ月に1度(または1シーズンに1度)のペースで煙突掃除を行う必要があるので、煙突の設置は、メンテナンスのことを考えながら行うようにしましょう。

今回、煙突と壁穴のすきまを耐火石膏で埋める予定でしたが、ちょうど良い換気口になるので、しばらくこのままにしておくことにしました。

薪ストーブ設置③慣らし運転

薪ストーブ

鋳物製の薪ストーブの場合、強い火力でいきなり高温にしてしまうと破損することがあるので、使い始めは弱めの火力で慣らし運転をします。自動車やバイクのエンジンを慣らすのと同じです。

慣らし運転は、ストーブ内を約200℃前後の温度で持続しながら3時間ほど燃焼させます。3時間後にいったん冷まし、再度約200℃前後の温度で3時間ほど燃焼させるということを3回ほど繰り返したら慣らし運転の完了です。

はじめのうちはストーブ表面の塗料が燃えて煙が室内に充満するので、窓をあけて換気をしながら慣らし運転をおこないましょう。

薪ストーブ設置④本格始動

慣らし運転が完了したらいよいよ薪ストーブの本格始動です。できるだけ薪ストーブの適正温度である200℃から300℃の間をキープするようにして燃焼させます。

 

薪ストーブを利用する際の注意点

薪ストーブ

薪ストーブを使用するときに注意しなくてはいけない点をまとめました。

注意点①周囲に燃えやすいものを置かない

薪ストーブの周囲は高温になるため、燃えやすいものなどを置かないようにしましょう。燃えやすいものがある場合には、炉壁を設けて熱を遮断してください。

薪などを周囲に置いて乾かす場合は、ストーブから離れないようにしましょう。

注意点②火傷に注意

薪ストーブ本体や煙突は高温になるので火傷しないように注意する必要があります。小さいお子さんがいる場合には、防護柵などを設けて火傷しないように対策しましょう。

また、溶接用の革手袋などがあると便利です。

注意点③適正温度を守る

薪ストーブの適正温度は、200℃から300℃です。200℃以下の低温だと煙やタール、煤(すす)が発生しやすくなります。

また、300℃以上の高温で燃焼させると鋳物を傷める原因になるので注意が必要です。

注意点④定期的に煙突掃除をする

煙突に煤やタールなどが付着すると、空気の流れが悪くなるため薪ストーブが燃えにくくなります。

また、煙突内に煤やタールがたまると煙道火災を起こす恐れがあるので、2カ月に1度のペースで煙突掃除をするようにしてください。

注意点⑤水をかけて消化しない

高温になった鋳物に水をかけることは、ひび割れなどの破損につながるのでやめましょう。消火は、ストーブ内への空気供給量を減らしておこないます。

注意点⑥薪ストーブに適した薪を燃やす

薪は薪ストーブに適したものを使用してください。

木材には

  • 軟木(杉、松、ポプラなど主に針葉樹)
  • 堅木(クヌギ、コナラ、サクラ、樫、ブナなど主に広葉樹)

と大きくわけて2つのタイプがあります。

薪ストーブに適している木材は堅木と呼ばれる硬いタイプです。

薪ストーブの「薪」の調達は?

薪ストーブライフを楽しむためには、良質な薪が欠かせません。薪の調達方法には大きくわけて「購入」と「譲り受ける」の2つがあります。

調達方法①購入する

薪を手っ取り早く入手する方法は購入することです。ホームセンターやネットで購入することができます。

メリットは良質な薪を選ぶことができ、購入したらすぐに使うことができる点です。薪割りなどの必要もありません。

デメリットはやはりコスト面になります。すぐ使用できる反面、冬のあいだ薪ストーブを使うとなると薪の購入費用も高くなります。

調達方法②譲り受ける

公共の公園などで剪定や伐採した木材をもらったり、造園業者とつながりを持ったりして譲り受ける方法があります。

公園や通りの街路樹は毎年剪定しています。大型ゴミとして処分しなくてはいけないため、業者さんに譲っていただけるか聞いてみてください。

地方自治体の建設課や緑地管理課または近所の造園業者をネットなどで調べて問い合わせてみましょう。

薪を譲り受けるメリットは、購入費用がかからないことです(ほとんどのケースが無料)。デメリットとしては、薪を玉切り(同じ長さに切ること)や薪割りに手間がかかることが挙げられます。

また、玉切りした薪は2年ほど乾燥させなくてはならないためすぐには使えません。

筆者が薪ストーブを設置して3日経ちました。実際に使ってみて改めて薪ストーブの温かさを実感している日々です。ストーブ内の灰はそっと捨てるようにしましょう。部屋中に灰が舞い散ってお掃除が大変になるのでその点だけご注意ください。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。