大きく変わり続けるボードデザイン
1968年にウィンドサーフィンが誕生してから約50年。
ボードデザインはこのスポーツの著しい進化とともに激変を重ねてきました。
カテゴリー別に求められるボードの性能は不変ですが、外観の特徴はその都度大きく変化しています。
その変化の歴史をボードの全長を軸にご紹介しましょう。
1968〜2000年
もっとも大きく変化したのは全長です。
1982年ごろまでの全長は350cm超でのロングボードで、ダガーボードというボードの中央部から水中に突き出たパーツが必ず装備されたものでした。
ダガーボードは横流れを防ぎ、風上にも進むためのパーツです。
その後、300cmを切るボードが登場すると、一気にボードのショート化が始まり、1985年ごろには260〜290cmのボードの方が主流となりました。
2000年ごろまで、ロングボードとショートボードは、それぞれが適しているカテゴリーにおいて共存を続けましたが、ボードデザインのショート化という進化は止らず、一方、ロングボードはエントリーやワンデザインという一部のカテゴリーだけとなり、ダガーボードの存在も表舞台から消えていきました。
2001〜2019年
21世紀に入ると主役は完全にショートボードとなりました。
それもショート化はゆっくりと、しかし確実に進み、20世紀終盤に250〜280cmだった全長のコアサイズは、21世紀に入ると少しずつ短くなり、2010年代終盤には230〜260cmまで短くコンパクトになりました。
そのぶん、大きくなったのが最大幅です。
ボードはショートになると同時に、必要な浮力を確保するために幅が広がり、ほぼすべてのボードがローアスペクトのアウトラインとなりました。
この時期のボードデザインの特徴を表すキーワードは“ワイド&ショート”です。
そして2020年、これから先は?
ここまでボードにおいても大きな変化を続けてきたウィンドサーフィン。
親しんできた人には2010年代までの変化で、ほぼ打ち止めといった感がありますが、最新事情とこの先はどのようになるのでしょうか?
最新デザインは20年前よりも40〜50cmもショートに
最新のデザインはさらにワイド&ショートとなり、ほぼ全てカテゴリーのボードが長さ210〜240cm(エントリー/スクール用は除く)となっています。
コアとなるサイズはウェイブが210〜230cm、フリースタイルが220〜230cm、レーシングが220〜230cm、フリーライドが225〜240cmとなり、2000年ころと比べても40〜50cm程度も短くなっています。
また、短くなったことによって、カテゴリーごとボードの長さにほとんど差がなくなりました。
それまでは一目でどのカテゴリーのボードかすぐに分かりましたが、最新のデザインはベテランの人でも見分けるのが難しくなっています。
とはいえ、前記したカテゴリー別のデザインの特徴は活きているので、わずかな幅の差やディテールの違いで見分けます。
進行中だった史上最大級の革命が、2020年ついに定着
じつはウィンドサーフィンには、2年前ぐらいから“フォイル”と“インフレータブル”という、このスポーツ史上最大級の革命が進行中でした。
フォイルは水中翼のことで、これによってウィンドサーフィンのボードは水面から浮上してセーリングするようになりました。
また、フォイルはプロワールドツアーのレーシング2種目での使用と、2024年パリオリンピックでの使用が決定。
水面を滑走するスポーツから、滑走と浮上して走るスポーツという、スポーツの概念そのものが変わったのです。
当然フォイル用ボードは滑走用とは異なります。
主力は全長が205〜220cm、最大幅は70〜100cmと、さらにワイド&ショート化され、ついに180cm代のものまで発表されました。
ちなみに次期オリンピック艇種となったスターボード社のiQFOIL100は、全長220 x 最大幅100cm、ボリュームは208ℓです。
一方、インフレータブルは空気注入式ボードのことです。
SUPでのインフレータブルボードの進化によって、SUPよりも強度と剛性が求められるウィンドサーフィンでも、のんびり楽しむスタイルでの使用が可能になったのです。
2020モデルも各社から発表されました。
ウィンドサーフィンにとって、2020年は2つの革命が定着する年となるでしょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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