秋から冬の小笠原のダイビング事情
秋から冬にかけて、小笠原のダイビングではウシバナトビエイとシロワニ(サンドタイガーシャーク)が見どころです。
トビエイは「閂ロック(かんぬきろっく)」というポイントで待ち伏せるスタイルで、当たり外れはあるものの、他のポイントでは見ることのできないウシバナトビエイの壮大な編隊飛行が期待できます。
そして、小笠原を代表するシロワニはケータ列島の「サメ穴」と呼ばれるポイントに根付くことが知られていますが、冬になると繁殖のため父島の「鹿浜」「マルベリ」でも見られるようになります。
これほど間近にシロワニに接近できる海はそうそうありません。
冬も元気な小笠原の魚群
冬でも元気な小笠原のアイドル達も見どころのひとつです。
まず、小笠原周辺の海にはウミガメが非常に多く、北太平洋ではトップクラスの一大繁殖地になっています。
もちろん小笠原なら年間を通してウミガメを見ることができます。
また、潮通しが良いポイントで見られるのがウメイロモドキです。
カメラの被写体としても人気が高く、とくに秋から冬にかけては群れの規模も大きくなり色も冴えてきます。
そして、父島の周囲ではバンドウイルカやハシナガイルカが1年中見られます。
冬でも野生のイルカとドルフィンスイムができるのは日本では小笠原だけなのです。
小笠原のダイビングスタイル
小笠原のダイビングは100%ボートダイビングで、ほとんどがドリフトで流すスタイルです。
ガイドロープがないダイビングスポットもあり、エントリーしたらすぐに潜降しなければいけません。
もちろんビギナー向けのスポットもありますが、小笠原の海を安全に思う存分に楽しむなら中性浮力は必須のテクニックになります。
冬はザトウクジラもやってくる
冬になると小笠原に子育てのためにザトウクジラがやってきます。
小笠原では早くからウォッチングルールをつくり、きちんと尊守しているので、小笠原のザトウクジラたちはボートをほとんど恐れません。
ダイビングポイントへの移動中でも、クジラたちのブリーチングやスパイホップなど様々なパフォーマンスを見ることもできます。
ホエールウォッチング専用ボートも多く出航するようになり、ダイビングサービスによっては「冬はクジラ半分、ダイビング半分」というところもあります。
その他の冬の楽しみ方
冬は不思議な姿をした浮遊生物も増えてきます。
浮遊生物といえばクラゲを思い出す人も多いと思いますが、巻貝の幼生やエビ・カニの幼生などさまざまです。
また、二見港を出てすぐの「洲崎」というポイントでは、ナイトダイビングで「ライトトラップ」を開催しているダイビングサービスもあり、日中とは違った生物たちが見られるかもしれません。
冬の小笠原を楽しむ6日間モデルスケジュール
小笠原への唯一のアクセス手段は、東京竹芝桟橋から出航する「おがさわら丸」です。
そのため、小笠原に行くなら船の運行に合わせて最低でも6日間となります。
1~2日の延泊も不可能で、それ以上の滞在を希望するなら日程は2週間近く必要になります。
6日間の日程で小笠原のダイビングツアーを存分に楽しむためのモデルスケジュールを見てみましょう。
小笠原ツアー1日目
3代目となる「おがさわら丸」の出航時間は東京竹芝桟橋AM11:00です。
出航から2~3時間は、お台場やレインボーブリッジを眺めながら東京湾クルーズを楽しみ、太平洋に出たら天気の良い日は船上デッキでのんびり昼寝、夕方には三宅・八丈付近を通過します。
また、船内では昼・夜・朝と食事が3回必要になりますが、食料品を買って乗船しても大丈夫ですし、船内の「レストランChichi-jima」やスナック類の自販機コーナーも利用できます。
ちなみに、酒類は乗船前に買っておくことをおすすめします。
小笠原ツアー2日目
竹芝桟橋を出港して太平洋約1000kmを走破した「おがさわら丸」は、翌日のAM11:00に小笠原父島の二見港に到着します。
ここから宿泊先の送迎を利用すれば、宿に行って昼食をとって午後からのダイビングにも十分に間に合います。
1本目はチェックダイブとなりますが、体力があれば初日から2ダイブもOKです。
小笠原ツアー3~4日目
小笠原ツアーの中日となる3日目・4日目は、2日間まるまるゆったりフリータイムになります。
ダイビングでガンガン攻めるのも良いでしょうし、半日か1日はエコツアーや史跡巡りのドライブに充てるもよしと、使い方は自由自在です。
エコツアーでは、オカヤドカリを探したりグリーンペペをウォッチしたり、昼間はもちろん夜のナイトツアーにも参加したいところです。
また、ウェザーステーションからの夕焼けや、巨大な電波望遠鏡VERAのライトアップなども一見の価値があります。
小笠原ツアー5~6日目
小笠原ツアーの5日目は父島最終日です。
帰路の「おがさわら丸」の出航は15時30分ですし、飛行機ではないので早朝や午前中ならダイビングも可能です。
二見港前のメインストリートにはお店がずらりと並んでいますので、出航までは最後のお買い物も楽しめます。
お土産なら潮や亀カレー、島とうがらし、ジャムなどが人気です。
「おがさわら丸」が出港すると、別れを惜しむようにダイビングサービスや観光ボートが追いかけてきてくれて、最後は見送る人たちが海に飛び込むのが恒例行事になっています。
あとは東京まで24時間、のんびりと太平洋の船旅をエンジョイしましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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