いつどこで遭遇するかわからない事態のために習得したいとは思っていても、「救命に関する言葉はたくさんあって難しい」「違いがよくわからず覚えられない」という方もいるのでは?
今回はそんな方のために、一次救命処置の重要性と、BLSやCPRなどの救命に関する用語をわかりやすく解説します。
一次救命処置の重要性
もしもあなたのそばで誰かが突然倒れたら、どうしますか?まずは救急車を呼びますよね。
ここまでは落ち着けば誰でもできるはずですが、問題はその後。救急車を要請してから、到着するまでの平均時間は約6分です。
一方、カーラーの救命曲線によると、心肺停止後約3分間放置された場合、助かる確率は50%。呼吸が停止した場合も同様で、約10分間放置されると50%が助からないとされています。
つまり、救急車が来るまでの間に私たちが何をするかによって、その後の生死が大きく左右するというわけです。
カーラーの救命曲線とは
心臓停止、呼吸停止、大量出血の経過時間と死亡率の関係をグラフで表したもの。1981年にフランスのカーラー教授が作成したもので、一般向けの救命講習などによく用いられます。
ただし、あまり厳密なデータに基づいたものではなく、あくまで大まかな目安として使われています。
BLS 一次救命処置
BLSとは、Basic Life Supportの略で、日本語では一次救命処置といいます。一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人への救命の可能性を維持するための処置の方法です。
心臓が止まってから短時間で低酸素に陥ってしまう脳への酸素供給維持を目的とし、胸骨圧迫と人工呼吸、またAEDを使用により、心肺蘇生を行います。
これに対し、病院など設備が整った環境で医師や救急救命士が行う救命処置をALS(Advanced Life Support)=二次救命処置といい、その代表格がACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)=二次心肺蘇生法です。
まずは現場に居合わせた人(バイスタンダーまたは市民救助者と呼ぶ)が救急車が来るまでにBLSを行い、駆けつけた救命救急士に引き継いだ後の救急車内や病院内でも、BLSがまず行われます。
BLSだけでは心拍が再開しない場合に、気管挿入や高濃度酸素など医療機器や薬剤を用いてALSを行うという流れです。
いくつかの心肺蘇生協会が各々のガイドラインを定めていますが、アメリカ心臓協会(AHA)のガイドラインが国際的にスタンダードとなっています。
3分間で半分まで下がってしまう救命率ですが、2分以内に心肺蘇生が開始された場合、90%が助かるといわれており、いかに早く、適切に対処すべきかが重要とされています。
年齢における救命処置の違い
BLSとは、中学生以上の大人に対して行う救命処置で、子どもの場合は処置方法が異なります。
1歳以上中学生までの小児、1歳未満の乳児に対する蘇生は、PBLS(Pediatric Basic Life Support)と呼び、生まれたばかりの新生児の蘇生は、NCPR(Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation)と呼ばれています。
FA(ファーストエイド)との違い
BLSは心肺停止状態の人の救命を指すことに対し、ファーストエイドは急なケガや病気になった人への最初の行動と位置づけられています。
つまり、ファーストエイドの中にはBLSが含まれ、さらにケガや熱傷などに対する対応も合わせて入っているということになります。
ただし、一般的にはBLS以外の傷病への対応という意味で使われることも多く、言葉の定義はあいまいです。
CPR 心肺蘇生法
CPRとは、cardio pulmonary resuscitationの略で、心肺蘇生法の総称です。つまり、医療器具を使わないBLSと器具や薬品を使うALSはどちらもCPRに含まれています。
同じBLSでも、救急車が来るまでに市民救助者が行うCPRと、救急車や病院内で行われるCPRは方法が異なります。
また、訓練を受けている市民救助者と、受けていない市民救助者でも一部内容が異なります。
訓練を受けている救助者は、一般的に心臓マッサージと呼ばれる胸骨圧迫と人工呼吸を行いますが、訓練を受けていない救助者は、人工呼吸はしなくてよいとされています。
AED 自動体外式除細動器
AEDとは、Automated External Defibrillatorの略で、日本語では自動体外式除細動器といいます。AEDは、心停止した際に、電気ショックを与え心臓の動きをもとのリズムに戻すための医療機器です。
心臓の状態を自動的にAEDが判断し、電気ショックが必要かどうかを教えてくれるため、一般市民でも使用できます。
使用したことがない方は、AEDの使用に踏み切るのは不安かと思いますが、AEDが電気ショックが必要ないと判断した場合は、電流が流れることはありませんし、音声ガイダンスで知らせてくれます。
心臓が止まっているか分からないときでも、呼吸が止まり意識が無い場合はAEDを使うべきでしょう。
やはり、訓練を受けていない人は方法が分からないため、CPRを躊躇してしまう傾向があるようです。会社や駅、デパートなどいたるところで見かけるAEDも、いざという時に使わなければ何の意味もありません。もしもの時に、そばにいる人の命を救えるのはあなただけです。
ファーストエイド講習やBLS講習は全国でさまざまな団体や協会が行っているので、一度参加してみてください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。