環境先進地カリフォルニアでは、なぜレジ袋規制が何度も見直されてきたのでしょうか?10年にわたる挑戦で見えてきた課題と、2026年から始まる「すべてのプラ袋禁止」という新ルールを現地からレポート。日本との違いや、ファッション好き必見のマイバッグ活用術も紹介します。

なぜ?カリフォルニアで「レジ袋禁止」がアップデートされ続ける理由

カリフォルニア 袋

カリフォルニア州がレジ袋規制を繰り返し改定してきたのは、より実効性を高めるためです。2014年に一部禁止(SB270 ※)から始まり、2026年にはすべてのプラ袋が対象(SB1053※)に。課題を見直し、改善を重ねてきた州の強い姿勢がうかがえます。

一方、日本では有料化にとどまっているため、マイバックを持ち歩くなどの個人の工夫が重要。お気に入りのマイバッグを楽しむなど、カリフォルニアの事例は日本人にとっても“自分らしいエコ習慣”を見つけるヒントになりそうです。

※SB270:大規模小売店での使い捨てプラスチック製レジ袋の無料配布を禁止し、代わりに再利用可能バッグや再生紙バッグを有料(最低10セント)で提供する法律
※SB1053:2026年1月1日以降、従来「再利用可能」として例外的に認められていた厚手プラスチック製レジ袋の配布を全面禁止し、小売店では100%再生紙バッグのみを有料(最低10セント)で提供する法改正

10年前に始まった挑戦と「思わぬ落とし穴」

2014年の最初のレジ袋禁止(SB270)は画期的でしたが、「抜け穴」がありました。有料で提供された厚手の再利用可能なプラスチック製レジ袋を、多くの人が一度だけ使って捨ててしまっていたのです。その結果、袋の枚数は減ったものの、プラごみの総重量は逆に増えてしまうという事態に。

この皮肉な結果は、ルールだけでなく意識や行動を変えることの難しさを物語っています。日本の取り組みにとっても大切な教訓となるでしょう。

 2026年、ついに「すべてのプラ袋」が禁止へ

こうした課題を受け、カリフォルニア州は2026年からすべてのプラスチック製の買い物袋を禁止します。新しい法律(SB1053)では、買い物客の選択肢は「マイバッグ持参」か「有料の紙袋購入」のみ。

単なる義務ではなく、お気に入りのバッグで買い物を楽しむ習慣へ。この変化は、日本に住む消費者にとってポジティブなアクションを始める絶好のきっかけになるかもしれません。

 2025年は袋の素材変更、2026年はいよいよ「プラ袋ゼロ」へ

カリフォルニアのレジ袋規制は2段階で強化されます。まず2025年からは、スーパーの野菜売り場などで使う薄いフィルム袋が対象。紙製か堆肥化できる素材に限られるようになります。(SB1046)

そして2026年からは、会計時に配られるプラスチック製レジ袋が全面的に禁止に。在住者だけでなく旅行者もマイバッグを持参するか、最低10セントの有料紙袋を買う必要があります。州の“本気度”が伝わるルールです。

 スーパーのレジで何が変わるの?

レジ袋がなくなることで、環境への負荷は大きく減ります。これまで海や自然に流れ出ていた大量のプラスチックごみを抑え、ウミガメなどが袋を誤って食べてしまう事故も防げます。さらに、袋の製造や焼却に伴う温室効果ガスの排出削減にもつながります。

レジでの小さな変化が、未来の美しい景色を守る大きな一歩になるのです。

うっかり忘れたらどうなる?

マイバッグを忘れた場合、お店は袋を無料で配らないため、最低10セントを払って紙袋を購入することになります。これは罰則ではなく代替品の対価。「忘れるとお金がかかる」仕組みが、自然とマイバッグ持参を習慣化させるインセンティブになっています。旅行中や急な買い物のときも、このルールを知っておけば、現地で戸惑うことなく対応しやすくなるので安心です。

一方で、店舗側には厳しい罰則があります。レジ袋禁止条例に違反した店舗には、初回違反で1日あたり最大1,000ドル、2回目で2,000ドル、3回目以降は5,000ドルの民事責任が課される可能性があります。

どうせなら楽しみたい!ファッション目線で選ぶ「マイバッグ」のすすめ

カリフォルニア 袋

マイバッグは、もはや“買い物袋”というだけの存在ではありません。自分のスタイルを映し出すファッションアイテムのひとつです。まずは用途に合わせて、素材や形を使い分けるのが上手な選び方。

・スーパーでの食材の買い物には、保冷機能があり、水や汚れに強いポリエステル製
・アパレルショップなら、服がシワになりにくい大きめのトートバッグ
・雑貨屋さん巡りには、中身をしっかり守ってくれる厚手のキャンバス生地

こんなふうにシーンごとにバッグを選べば、使い勝手も抜群です。さらに、自分の好きな色やデザインを選べば、毎日の買い物がちょっとしたおしゃれの時間に変わります。

「つい忘れちゃう…」を解決!マイバッグ習慣を続ける3つのコツ

マイバッグを持つ習慣は、ちょっとした工夫で無理なく続けられます。大事なのは、生活の流れの中に「思い出すきっかけ」を作ること。完璧を目指す必要はなく、自分に合った方法を見つけるのが長続きの秘訣です。ここでは、筆者自身が取り入れている、すぐに試せる3つの工夫を紹介します。

1. 玄関の「定位置」で忘れない

カリフォルニア 袋

マイバッグを忘れる一番の原因は、帰宅後に元のカバンへ戻し忘れること。そこでおすすめなのが、玄関に置く場所を決めておく方法です。ドアノブやフックに掛けておけば、外出のとき必ず目に入ります。

鍵やマスクと同じように、玄関を「持ち物チェックの場所」にすると習慣化しやすくなりますよ。

2. カバンに忍ばせる“お守りバッグ”

カリフォルニア 袋

急な買い物や予定外の荷物に備えて、コンパクトにたためるエコバッグをカバンに1つ入れておきましょう。キーホルダー型なら邪魔にならず、普段使いのバッグにつけておけます。「メインのマイバッグを忘れた!」というときでも安心です。

3. 「買うものリスト」にプラス

カリフォルニア 袋

スマホや紙に買い物リストを作るときは、一番上に「マイバッグ」と書き加えてみましょう。「牛乳、卵、そしてマイバッグ!」とリスト化することで、自然と習慣になります。

カリフォルニア州のレジ袋禁止は、地球と暮らしを守る強いメッセージです。マイバッグを持つという小さな一歩が、環境を守り、持続可能な社会をつくる力になります。義務感ではなく、楽しみながら。あなたらしいアクションを、今日から始めてみませんか。ちなみに筆者は、その日の気分や洋服に合わせてマイバッグを選んでいます。コーディネートの一部として楽しむことで、毎日の買い物も少し特別に感じられるんです。

参考資料:
カリフォルニア州 CalRecycle「Single-Use Carryout Bag Ban」
https://calrecycle.ca.gov/plastics/carryoutbags/
カリフォルニア州 CalRecycle「New Bag Requirements」
https://calrecycle.ca.gov/plastics/bagrequirements/?utm_source=chatgpt.com

Kazumi Kawagoshi

ライター

Kazumi Kawagoshi

大学で国際文化・環境を学び、卒業後、小笠原父島で5年間の島暮らしを経験。現在、世界一高いレッドウッドの森と太平洋を望む米カリフォルニア州で21年目の生活を送る。休日は家族とサーフィンやキャンプを楽しんでいる。一児の母。ライター活動を通じ持続可能なくらしや地域文化の魅力を発信中。