九州最西端に浮かぶ五島列島は、豊かな海洋生物と海流が織りなすダイビングスポットが点在している島々。「上五島」「下五島」と大きく二つのエリアに分かれ、日本最大級の沈船やオオスリバチサンゴなど、他では見られない海中景観が広がっています。知る人ぞ知るダイビングのオアシスでもある五島列島の魅力と、初心者から上級者まで楽しめる多様なダイビングスポットを紹介します。
五島列島の魅力
2024年にテレビドラマが放送され、注目を集めたのが記憶に新しい長崎の無人島・端島(軍艦島)をはじめ、九州には魅力的な島々が数多く存在しています。その中でも特に注目したいのが五島列島です。
この地域には美しいビーチが点在し、「日本の美しい渚100選」に選ばれた海水浴場もあります。沖縄に負けない美しい海は、訪れる人々を魅了し続けています。釣りの聖地としても知られ、多くの釣り愛好家たちがこぞって足を運ぶ場所でもあります。キャンプ場も整備されているため、自然の中で多様な楽しみ方が可能です。
五島列島は約150の島々から構成され、遣唐使ゆかりの地も点在。潜伏キリシタンの歴史を持つ場所であり、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成遺産として世界遺産に登録されました。自然の美しさだけでなく、深い歴史と文化を感じられる島々なのです。
五島列島ダイビングの特徴
五島列島のダイビングは、下五島と上五島に分かれています。特筆すべきは全長約130mにも及ぶ日本最大級の沈船。水深36mの海底に横たわり、最も浅い右舷部分は水深20mに位置。上級者ダイバーにとって格別の冒険スポットです。
世界最大級のオオスリバチサンゴやウミエラの群生も見どころの一つ。湾内は比較的穏やかで初心者向けの場所が多い一方、潮の流れを利用したドリフトダイビングができる上級者向けのスポットも充実しています。
五島列島の海中では、美しいテーブルサンゴやカラフルなソフトコーラルが広がる絶景に出合えます。魚影が濃く、ダイナミックなクレバス(岩の避け目)の地形も特徴的。黒潮の恩恵で南方系生物と日本海の生物が共有する独自の水中世界が広がっています。
おすすめのダイビングスポット
上五島、下五島それぞれのエリアのおすすめダイビングスポットを紹介します。
上五島
どんたく
海中が豊富な生物で溢れかえるにぎやかな様子から、博多の伝統的お祭り「博多どんたく」にちなんで名付けられたスポット。水深3〜30mと、幅広いレベルのダイバーが楽しめます。ソフトコーラルからテーブルサンゴまで多様なサンゴと、サンゴに棲みつく無数のマクロ生物が群れあう、幻想的な世界は圧巻。水中撮影を愛するダイバーには外せないスポットです。
三ツ瀬
ダイナミックな地形とソフトコーラルが魅力的なワイドスポットです。夏には大型のヒラメやシイラ、カツオを高確率で観察できます。水中で繰り広げられるタカサゴやイサキの大群追いかけっこは、思わず声を出してしまうほどの迫力。中級者以上のスポットなので、ダイビングスキルに不安がある人は、事前にダイビングサービスに参加条件を確認するとよいでしょう。
壺ヶ瀬
40mほど垂直に落ち込むドロップオフと水深22mにある美しいアーチが特徴的。地形を楽しみたいダイバーの心をつかむ人気スポットです。アーチの付近ではイサキの群れや、ブリ、ヒラマサなどの回遊魚も。夏場にはマダイやトビエイの群れに高確率で遭遇できます。初心者でも潜れるため、ダイナミックな地形と回遊魚の両方を体験したい人にピッタリです。
下五島
沈船
五島列島の人気No.1スポット。最も浅い部分が水深20m、最も深い場所が36mと深いため、上級者向けです。船は巨大な魚礁となり、イサキ、メジナ、スカシテンジクダイなどの群れやソフトコーラルの群生がびっしり。船底には大型のクエやオオモンハタが、まるで船の主のように漂う姿も見られられます。
多々良
日本最大級のオオスリバチサンゴが生息する貴重なスポットです。水深が浅く穏やかなため、シュノーケリングや体験ダイビングでも楽しめる初心者むけの場所です。浅場に生息する多様なサンゴと無数のチョウチョウウオが色彩豊かな水中世界を創り出しています。
屋根尾
オオモンカエルアンコウに高確率で出合える内湾スポットです。ドリフトダイブも楽しめ、豊富な魚影と鮮やかなソフトコーラルがダイバーを迎えてくれます。ダイビングサービスによっては参加条件があるため、事前確認をおすすめします。
ベストシーズン
五島列島でのダイビングは6〜11月がベストシーズン。マダラトビエイやカンパチ、ヒラマサの大群といったワイドな景観を満喫できるだけでなく、シンデレラウミウシやムラサキウミコチョウなどのカラフルなウミウシも数多く観察できます。水中撮影を好むダイバーたちからは、「ワイド撮影にするかマクロ撮影にするか」毎回うれしい悲鳴が飛び交います。
とはいえ、人気のクマノミや美しいイサキ、キンメモドキの群れ等、通年観察が可能です。一方、絶大なる人気を誇るウデフリツノザヤウミウシ(通称:ピカチュウ)に出合えるのは冬限定。このように四季折々で五島列島の海中を楽しむことができます。
アクセス方法
五島列島のアクセス方法は空路と海路の2通り。経由地によってダイビング可能な本数も変わります。初めて訪れる場合は事前にダイビングサービスに確認しましょう。
空路
福岡空港と長崎空港の2箇所から、五島つばき空港(福江空港)へ1日3本、30〜40分で到着します。
海路
高速船、フェリー、ジェットフォイルの3通りがあり、博多港、長崎港、佐世保港からそれぞれ運航しています。
港 | 所要時間 |
博多港↔︎青方港 | フェリー:510分 |
長崎港↔︎鯛ノ浦港/奈良港/有川港 | 高速船:約100分 フェリー:約150分 ジェットフォイル:約75分 |
佐世保港↔︎有川港/友住港 | 高速船:約80分 フェリー:約200分
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ダイビング以外の楽しみ方
五島列島ではクルージングを楽しんだり、季節によってはクジラウォッチングができるエリアがあります。
グルメも五島列島の大きな魅力の一つ。「かんころもち」は五島列島の伝統的なお菓子で、サツマイモを原料としたもっちりとした食感と自然な甘みが特徴です。「五島うどん」は島の名物で、手延べ技法で作られる細くコシのある麺は格別の味わい。筆者のダイバー仲間は初めて五島うどんを食べて以来、定期的に取り寄せるほど虜になっています。
歴史好きの人は、島内に点在する教会を巡るのもおすすめです。世界遺産に登録された教会もあり、歴史の深さを感じられますよ。移動中に岩陰にひっそりと佇むマリア像を発見することもあるため、五島の旅をきっかけに歴史や文化への関心が高まるかもしれません。
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。