サンゴは植物のように見えますが、実は生き物で、四季折々に表情を変えます。比較的浅瀬に生息しているため、シュノーケリングやダイビングを通して親子で生命の神秘を体験できますよ。安全に配慮しながら、美しい海の世界へ冒険に出かけましょう。

春~サンゴの繁殖期~

サンゴ 楽しみ方

春の海では、サンゴの神秘的な営みが始まります。満月の夜、サンゴは一斉に「バンドル」と呼ばれる数ミリ程度しかないカプセル状の卵と精子を放出する「産卵」を行うのです。

暗い海の中に、ピンク色をしたたくさんのカプセルがふわふわと漂う光景は、まさに生命の神秘。この瞬間を観察できれば、子どもの心に深く刻まれる思い出となることでしょう。

夜間の行動になるので、ツアーに申し込むなどして、経験者と一緒に観察をします。

ナイトダイビングという夜に行うスキューバダイビングは10歳以上が基本ですが、各指導団体によって規定が異なりますので、予約時に必ず確認しましょう。

指導団体について詳しい記事はこちらを参考にしてください。

ダイビングライセンスのCカードの種類や違いを紹介
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親子ともにシュノーケリングやダイビングに慣れていない場合は、日中の観察がおすすめです。夜間特有の幻想的な光景を見ることはできませんが、春に日差しから見ることができる水中とサンゴの光景だけでも大変貴重で、心が癒される経験になります。

初夏~サンゴの成長期~

サンゴ 楽しみ方

初夏になると、サンゴは急速な成長期を迎えます。この時期は水温も快適になり、シュノーケリングにおいては長時間の観察に適しています。水中撮影を練習したい人にはおすすめな時季です。

浅瀬のサンゴ礁には日光がさんさんと降り注ぎ、水面からでも鮮やかなサンゴを観察できます。

子どもと一緒に、サンゴの形や色の違いを見つけるゲームを行うと、より一層サンゴの観察が楽しめておすすめです。学びと遊びを両方味わうことで、サンゴや海のことに目を向けるきっかけになります。

ダイビングでは、異なる水深でのサンゴの生態系の違いを観察できます。ただし、中性浮力(水中でのバランス)には特に注意が必要です。サンゴに当たったり、触れたりは厳禁のため、適切な距離を保つことを心がけましょう。

夏~活動のピーク~

サンゴ

夏は、サンゴの活動が最も活発になる季節。色とりどりの魚たちもサンゴ礁に集まり、まさに海中の楽園となります。この時季は、写真撮影にも最適な条件がそろいます。

子どもとシュノーケリングを楽しむ際は、日差しが強いため、ラッシュガードや日焼け止め、ビーチハットは必須。また、浅瀬でも思わぬ潮の流れがあるため、ライフジャケットの着用は忘れないようにしてください。

ダイビングでは、サンゴと共生する小さな生き物たちの観察がおすすめ。クマノミやエビなど、子どもの興味を引く生き物との出合いが期待できます。水中カメラがあれば、思い出の一枚を残すチャンスです。

秋・冬~準備期~

サンゴ 楽しみ方

秋から冬にかけては、サンゴが次の繁殖期に向けて準備を整える時期。活動は落ち着きますが、この時季ならではの観察ポイントがあります。

シュノーケリングは水温の低下に注意が必要ですが、観光客が少なく、ゆっくりと観察できる利点も。子どもには、サンゴの色の変化や、周辺の生態系の変化を観察する機会として最適です。

ダイビングでは、サンゴの骨格形成過程をじっくりと観察できます。また、この時季は水中の透明度が高くなります。寒さ対策は入念に行い、気温が暖かい場所でもビーチコートなどで体温が逃げるのを防ぎましょう

日本のおすすめサンゴスポット

サンゴ 楽しみ方

日本国内にはサンゴを観察できるスポットが数多くあります。今回は厳選した4つのエリアを紹介します。

琉球列島

サンゴ礁といえば、まずは思い浮かぶ沖縄の島々。青い海と白い砂浜、南国のリゾート地のような島々が点在し、初心者向けのシュノーケリング・ダイビングスポットが充実しています。

日本国内でトップクラスの透明度と美しいサンゴが迎えてくれますよ。

小笠原諸島

東京都といえど、北緯27度付近と沖縄県とほぼ同じ緯度に位置する小笠原。亜熱帯地域で、沖縄に負けないサンゴが点在し、シュノーケリングやダイビングを楽しめます。

聟列島、父島列島、母島列島、硫黄列島と大きく4つに分けられており、なかでも父島の宮之浜園地はサンゴ礁が群を抜いて発達しています。サンゴの数だけ熱帯魚も群れ、水中観察にも撮影にもうってつけの場所です。

壱岐島

長崎の離島である壱岐島は、九州で海がきれいな島として有名で、たくさんのマリンアクティビティや観光施設がそろっています。

九州の玄界灘に浮かぶ島ですが、島周辺は比較的穏やかな海です。透視度も高く、温かい場所にしか生息しないといわれている南国のサンゴ礁が、壱岐島周辺で確認されています。

長崎空港から飛行機、もしくは博多港から船でのアクセスになるので、九州からの来島者が多く、全国から集まる沖縄に比べるとゆったりと旅行を楽しめる島です。

奄美群島

2021年、世界自然遺産に登録された奄美大島を筆頭に、奄美群島には数多くのサンゴが生息しています。種類数は300以上といわれ、サンゴが奄美の豊かな自然を守っているといっても過言ではありません。

子どもから高齢者まで楽しめるシュノーケルスポットが点在しており、10月になっても水着だけでシュノーケルを楽しむ家族もいるほど温暖な地域です。

世界自然遺産の登録や、外国人旅行者の増加により、観光客は急増していますが、沖縄の混み合いに比べると少ない方です。ただアクセス手段や発着の時間帯が限られているため、航空便・船便、宿などは、余裕を持って予約をしましょう。

気をつけたい5つの注意点

サンゴ 楽しみ方

安全な観察のために、以下の点に注意が必要です。

・ 必ず経験者やガイドと一緒に行動する
・ 天候と海況をこまめにチェックする
・ 体調管理を徹底し、無理のない計画を立てる
・ 適切な装備を用意し、定期的なメンテナンスを行う

この5つの注意点を考慮しながら、楽しい旅行計画を立ててください。

マリンアクティビティを通したサンゴの観察は、子どもの自然科学への興味を育み、旅行の幅を広げ、家族との絆を深める素晴らしい機会です。四季それぞれの特徴を理解し、適切な準備を整えることで、安全かつ充実した海中探検が実現できます。この記事をきっかけに美しいサンゴの世界を、存分に楽しんでいただけると幸いです。

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ライター

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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。