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スペイン・ノルディック・ウォーキング連盟会長のエベリン・フエンセナーさんにインタビューをしてみました。スペインにノルディックウォーキングをもたらした第一世代のフエンセナーさん、この国でのノルディックウォーキングの発展の契機と現状、そして課題は??

15年間の経験から

体験教室指導中のエベリン・フエンセナーさん。編集部撮影。

 

—スペイン・ノルディック・ウォーキング連盟設立の経緯を教えていただけますか。

 

2003年にフィンランドに行ったとき、現地でノルディックウォーキングを始めて体験しました。

それがすごく楽しかったんです。

実はそのころ、私の体調が悪かったんですが、ノルディックウォーキングを続けてたら、ものすごく体調が良くなりました。

心肺機能も向上したので、そのころ通っていた医者に「なんのスポーツをしているのかよくわからないけど、とにかくあなたの体にいいことをしているのは確かだから、そのスポーツを続けなさい」と言われましてね。

私の体を通してノルディックウォーキングが体にいいことがわかったので、スペインにもこのスポーツを広げたいと思って、この連盟を立ち上げたんです。

それが2004年のことでした。

 

—連盟立ち上げ当初は、スペインでノルディックウォーキングを知る人はほとんどいなかったと思います。そんなスペインで、ノルディックウォーキングが一般的になり始めたなぁ、とフエンセナーさんが感じはじめたのは、いつ頃ぐらいからでしょうか。

 

2015年くらいからでしょうか。

そのころからノルディックウォーキングがどんなものか、何となく知っているという人が増えたように思います。

 

—今では、ノルディックウォーキングの指導者の育成コースも運営されていますが、フエンセナーさんは今まで何人ぐらいのノルディックウォーキングの指導者を育てられたのでしょうか。

 

5800人ぐらいです。

2005年から指導者の育成を始めました。

ほとんどスペイン人ですが、それ以外の国の人もいますよ。

 

 

—スペインでのノルディックウォーキングの指導者の育成について伺います。なにかノルディックウォーキングの指導者の公的な資格というものはありますか。

 

現状は何もありません。

スペインにいくつかあるノルディックウォーキングの協会や連盟が各々、指導者を育成しているのが現状です。

ノルディックウォーキングの指導者の肩書きというのは、民間資格なんです。

最近では2013年にガリシア地方のビーゴ大学でノルディックウォーキングを学ぶための課程が設けらましたし、スペイン山岳スポーツ連盟(Federación Española de deportes de Montaña y Escalada)もノルディックウォーキングを学ぶためのバックアップのシステムがあります。

でも、資格自体は国の認定を受けたものではない、民間のものです。

 

—スペインには、他にもいくつかノルディックウォーキングの協会や連盟がありますよね。スペイン全土でいくつぐらいノルディックウォーキングの協会や連盟があるのでしょうか。

 

スペイン国内では主に次の3つの団体が活動しています。

まず、カタルーニャを中心に活動している国際ノルディックウォーキング連盟(International Nordic Walking Federation :INWA) 。

そして2000年ぐらいから活動しているFITTREK。

そしてこのスペイン・ノルディック・ウォーキング連盟。

各連盟の違いというのは、各々が採用しているノルディックウォーキングのメソッドの違いです。

私たち(スペイン・ノルディック・ウォーキング連盟)はALFAメソッドという、6つのステップをから成り立つメソッドを採用していますが、INWAのメソッドは確か10のステップから成り立つものだったと記憶しています。

確かに団体によって違いはありますが、ノルディックウォーキングに関する基本的部分は共通していますし、理論でどうこう頭で考えるよりも、実際に体を動かして経験してもらうべきだと、私は考えています。

なので、これからノルディックウォーキングを体験する方は、いろいろなメソッドを経験したうえで自分に一番合ったものものを楽しんでいただければ一番良いかな、と思います。

FIZAN フィザン ノルディック ウォーキング ポール
FIZAN フィザン ノルディック ウォーキング ポール

 

スペインでのノルディックウォーキングの課題とは

スペインにノルディックウォーキング

編集部撮影。

 

—フエンセナーさんのクラスで、ノルディックウォーキングを学ぶ人達はどんな人が多いですか。

 

いろいろな人がいます。

男女別で言えば、女性の方が多いです。

年齢は20代から80代まで幅広いです。

その目的も様々ですね。

健康維持が目的の人、競技スポーツとしてのアスリート、そしてトレッキングの延長として自然を楽しむために取り組む人もいます。

ノルディックウォーキングのスペイン選手権というのも2018年から開催されるようになりましたので、競技スポーツとしての一面もできてきたのが最近の傾向ですね。

 

—ノルディックウォーキング推進のための行政的、政策的なバックアップというのは何かありますか。

 

スペインでは特にありません。

前述のスペイン山岳スポーツ連盟がノルディックウォーキングの指導者育成に力を入れ始めましたが、それ以外の制度的、政治的なバックアップというのは、スペインではほとんどないのが現状です。

ノルディックウォーキングの団体が、病院や教育機関と手を組んで活動を推進していくことは可能だと思うので、それが今後の課題ですね。

実は、ドイツ(フエンセナーさんの母国)では、ALFAメソッドのノルディックウォーキングは社会保障費でカバーされる活動の一部になっています。

運動による疾病予防を推進することで、社会的コストが増加することを抑えるためですね。

スペインでも、ノルディックウォーキングが、そのような活動になればいいと思っています。

 

 

—スペインのノルディックウォーキング業界には、フエンセナーさんのライバルがたくさんいますか。

 

最近はライバルの数が増えましたね。

私自身も5800人も指導者を育成してきたので。

ただ、彼らは私の教え子ですから、ライバルというより仲間です。

Youtubeにノルディックウォーキングのテクニックのビデオをアップして、大活躍している人もいます。

 

 

協力:スペイン・ノルディック・ウォーキング連盟
公式WEBサイト:Federación Española Nordic Walking

スペインにノルディックウォーキング

病気の9割は歩くだけで治る!/長尾 和宏
病気の9割は歩くだけで治る!/長尾 和宏
 
スペインにノルディックウォーキングをもたらした重要人物の一人であるフエンセナーさん。スペインでこのスポーツの知名度が徐々に上がっていることに、満足している様子でした。しかし、他の機関との連携など、まだまだ課題も多い様子。とはいえ、わずか15年でここまで広まったノルディック・ウォーキング。スペインで発展の余地はまだまだあるようです。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。