日本のボルダリンググレードについて
日本のボルダリンググレードシステムは、柔道や空手、将棋などと同じで、10級、9級、8級、、、、初段、2段、と上がっていきます。
日本人には馴染みのある「級と段」ですが、数字が下がってレベルが上がり、再び数字が上がってレベルが更に上がるというグレードシステムは海外のクライマーには非常に難解なようです。
そのため、日本のボルダリンググレードシステムは、理解するのにやや時間を要するグレードシステムとして世界では有名です。
アメリカの「Vグレード」と呼ばれるグレードシステムを例にとると、アルファベットのVをもってボルダリングのグレードとし、数字で難易度を表す非常にシンプルな構造です。
しかし、グレードが上がるにつれて1つの数字では幅が大きくなってしまいます。Vグレードではその解決のために、ヨーロッパで主流のフレンチグレードの+表記を導入しています。
この+表記は日本のグレードシステムにも導入されていて、主に難易度の高いグレードに使用される傾向があります。こうした細かなグレードシステムによって、ボルダリングの世界では年々、最高難易度が引き上げられています。
こうしたことから、グレードシステムは非常に需要な役割を果たしているといえます。
海外のボルダリンググレードについて
海外のグレードシステムは主に2種類あり、ひとつはアメリカのVグレードです。これはアルファベットのVを頭に表記し、V1、V2、V3、、、と上がっていきます。
ヨーロッパは、フレンチグレードと呼ばれることが多く、6a、6a +、6b、6b +、6c、6c+、7、、、、と上がっていきます。
フレンチグレードは、数字、アルファベット、+表記、とひとつの数値を主体に細分化する方法で構成されています。
日本の「級と段」のグレードシステムに慣れ親しんでいる方は戸惑うことが多いようですが、ロープを使ったクライミングではアルファベット表記をするので、ボルダリングだけを楽しんでいる方には馴染みが薄いといえます。
また、フレンチグレードは、ヨーロッパグレードや、フォントグレード、などと呼ばれることもあります。
フォントは、フランスにある伝統的なボルダリングエリア「フォンテーヌブロー」を略したものですが、地名がグレードシステムとして呼ばれることは他に例がなく、そういったことからもフランスを始めヨーロッパのボルダリング文化のはしりと言っても良い場所です。
ニュージーランドとオーストラリアはオセアニア諸国特有のグレードシステムを持っています。こちらは非常にシンプルに数字のみでのグレード表記となっています。
グレードだけでは計り知れないボルダリング
グレードというのは基本的にクライマーの体感によって決定されます。登る人が多ければ多いほどグレードの正確性は上がっていきますが、人間の体感を数値化する行為そのものに科学的根拠はありません。
しかし、体感という見えない感覚を数値化したことでボルダリングは文化的にも技術的にもレベルが向上しました。
一方で、クライマーの感覚以外の部分である身長など、クライマー各々の個体差も階級分けされることなくグレードに組み込まれてしまい、平等性を欠くという側面もあります。
例えば、190センチのクライマーが一つのルートを登って感じた負荷と、160センチのクライマーが登って感じた負荷は物理的に同じではありませんが、グレードは変化しません。
筋肉量や柔軟性は鍛える事ができるので、その部分に優劣があったとしてもフィールドとしてのボルダリングルートが同じであればフェアだと言えます。
しかし、身長という努力によってカバーできない部分も数値による定量化に組み込まれてしまっているのが、ボルダリングのグレードシステムの特徴です。
こういった特性を考えると、グレードの数値だけですべての能力値を決定しようとするのはやや厳しいと言えます。
ボルダリングのグレードをうまく利用しよう
ボルダリングは湿度の影響を受けやすく、真夏と晩秋や冬では、登っている感覚に大きな差があります。湿度による滑りは登りにくく、多くの場合、公開されているグレードよりも難しく感じます。
一方、真夏に開拓されたボルダリングエリアのルートなどは、乾燥した時期に登ると思いのほか簡単ということもあります。
このことから、自然の中でのスポーツにおいて肉体にかかる負荷を数値によって定量化するという行為には、はっきりとした正確性が無いということが分かります。
では、ボルダリングのグレードとどう向き合っていけば良いのでしょうか。それは2つの面から見ると良いでしょう。1つは先にも書きました自分自身の大凡のレベルを認知するための数値です。
もう1つはリスクマネジメントのための数値です。
リスクマネジメントにグレードを使う方法はいくつかありますが、例えば普段は5級から4級を挑戦していて「4級はかなりきつい」というクライマーが、高さのある1級のルートに挑戦するのは危険です。
また、4級のルートを1度か2度登れたからといって、4級の高さのあるルートに挑戦するのは多くのリスクを伴ってしまい危険です。
自分自身のレベルを認知し、ボルダリングに挑戦する時はそのグレードを目安に、リスクマネジメントの範疇を超えないボルダリングを心がけましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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