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鳥取県にある大山は、雄大な自然と絶景を楽しめる登山スポットです。登山だけでなく、麓のお寺や神社を散策したり、参道でグルメや買い物を満喫したりと、見どころも豊富。今回は5月に大山に登った経験をもとに、登山情報とおすすめルートを紹介します。

大山(だいせん)とはどんな山?

大山 登山

登山情報のまえに、まずは大山がどのような山なのか、その魅力を紹介します。ちょっとした知識を仕込んでおけば、より登山を楽しめるでしょう。

鳥取県のシンボル

大山はまさに鳥取県のシンボルともいえる山です。中国地方の最高峰で、日本百名山のひとつ。大山隠岐国立公園に指定され、日本百景にも選ばれています。過去にNHKが実施した日本名峰ランキングでは、富士山、槍ヶ岳についで3位に輝きました。

中国山地からは少し離れているため、独立峰として存在感のある山容を見せています。西側から見る大山は優美な円すい型で、伯耆富士(ほうきふじ)と呼ばれることも。一方、北壁や南壁には険しい岩肌がそそり立ち、見る角度によってまったく異なる表情を見せるのも特徴です。

古くからのパワースポット

古の時代、大山は山そのものが神として人々の信仰の対象でした。西暦733年に完成した「出雲国風土記(いずものくにふどき)」には、神の住む霊山と記されています。麓には山岳信仰で栄えた大山寺や、長い石畳が特徴の大神山神社奥宮があり、パワースポットとしても人気です。

西日本最大級のスキーリゾート地

「だいせんホワイトリゾート」は西日本最大級のスノーフィールドで、冬になると多くのスキー客でにぎわいます。頂上からは日本海に向かってダイブするような絶景が広がり、海の見えるゲレンデとしても有名です。

ホワイトリゾートは多彩な4つのスキーゾーンから構成され、子どもや初心者も楽しめます。国体やインターハイ、各種の競技大会が開催されてきた本格的なゲレンデもあり、上級者も満喫できるでしょう。

参考:だいせんホワイトリゾート

名水の産地

大山の山麓には多くの湧き水・名水スポットがあります。大手飲料メーカーの天然水も、大山山麓が採取地になっていますよ。

名水の理由は、標高800~1,300mのエリアに広がる、西日本最大級の天然のブナ林。このブナの落ち葉だけでなく、火砕流の地層も天然のろ過装置となり、大山の雪解け水や雨水を名水へと磨いていきます。自然の栄養分たっぷりの水は、20~30年かけて地表に湧き出ますよ。

ちなみに上記の大手飲料メーカーのCMで、宇多田ヒカルさんの撮影がおこなわれた場所は、奥大山の木谷沢渓流です。以下の記事でスポットを紹介していますので、あわせてご覧ください。

この夏に行きたい!奥大山イチオシのスポット木谷沢渓流をご紹介

 

大山登山の基本情報

大山 登山

大山の最高地点は、標高1,729mの剣ヶ峰(けんがみね)。しかし、縦走路が崩落していて、現在は通行禁止となっています。そのため、ピークは標高1,709mの弥山(みせん)です。

事前に登山ルートとシーズンをチェックしておきましょう。

登山ルート

一般的な登山ルートは、大きく分けて「夏山登山コース」と「ユートピアコース」の2つです。夏山登山コースはビギナーでも登りやすく、ピークの弥山を目指せます。一方、ユートピアコースは中級者〜上級者向け。難所もありますが、避難小屋近くのお花畑が見どころです。

登山シーズン

大山の春は爽やかな新緑、秋は見事な紅葉を楽しめます。夏でも比較的涼しいので、暑い季節の登山にぴったり。例年、6月の第1土曜・日曜に「大山夏山開き祭」が開催され、夏山シーズンがスタートします。秋の紅葉は10月下旬〜11月上旬が見ごろで、多くの登山者や観光客が訪れますよ。

なお、冬は豪雪となり、独立峰ゆえに強風が吹きつけるのが特徴。「東の谷川岳、西の大山」といわれるほど遭難事故が多発しているため、注意が必要です。

参考:大山観光局「鳥取大山観光ガイド

大山登山の定番ルート、「夏山登山コース」を登ってみた!

大山 登山

今回は夏山登山口からの定番ルートを紹介します。整備されていて歩きやすく、迷うことなく登れますよ。登りも下りも階段が多いので、体への負担を減らすためにトレッキングポールを持参しましょう。

所要時間は往復およそ6時間で、日帰り可能。1合目から9合目までの標識をチェックしつつ、ペース配分を考えて登るのがポイントです。

夏山登山口~6合目の避難小屋

大山 登山

標高780mの夏山登山口から出発。前半はブナ林を眺めつつ、丸太の階段を登っていきます。3合目まで約40分、6合目までは約60分です。

途中の5合目で、元谷からの行者谷コースと合流します。ずっと上り坂がつづくため大変ですが、このあたりでブナ林が途切れて視界が開け、眼下に日本海のきれいな景色を楽しめますよ。

6合目には避難小屋があり、荒々しい北壁が目の前に広がります。ここからの急登にそなえて、ゆっくり休んでエネルギー補給しましょう。避難小屋にはトイレはないものの、携帯トイレブースがあります。

6合目~山頂

6合目までくれば、山頂まではあと80分程度です。8合目付近までは急な岩場がつづくため、落石に注意しながら慎重に進みましょう。

平坦な木道が見えたら山頂まではあと少し。国の天然記念物であるダイセンキャラボクの群生を見ながら、緩やかな木道を進みます。

山頂

大山 登山

天候に恵まれれば、山頂からは360度の大パノラマがのぞめます。米子平野や弓ヶ浜、中海、島根半島が広がる、壮大な景色を堪能しましょう。

山頂の避難小屋は、夏や紅葉シーズンの日中のみ売店として営業しています。飲み物やカップラーメン、登頂記念バッジなどが販売されていますよ。避難小屋にはいつでも利用できる、男女別のトイレがあるのがうれしいですね。

下山行程

大山 登山

下りは元谷分岐(もとだにぶんき)から行者谷コースへ進みましょう。6合目を過ぎて5合目の手前にある、「行者谷分かれ」という標識を見逃さないでくださいね。

急こう配の下りのため、膝に負担がかかるかもしれません。登りよりも密集したブナ林のなかを進んで40分ほど下ると、元谷避難小屋に到着。ここも絶景スポットで、目の前にはパノラマの風景が広がり、うしろには大山の北壁がそびえ立っています。

行者谷コースから、重要文化財の大神山神社奥宮に立ち寄って、神秘的な雰囲気を感じながらお参りしてみましょう。奥宮につづく石畳の参道は日本一長いとされ、約700mあります。神社から少し下ると山岳信仰の霊場である大山寺もあるので、古の歴史に触れてみてください。

参考:大山観光局「大山登山

登山計画時にチェックしておきたいポイント

大山 登山

登山計画で役に立つ、駐車場とトイレの情報を紹介します。登山前にぜひチェックしてください。

駐車場

夏山登山口付近に、24時間営業の駐車場があります。スキー場の営業期間中は有料ですが、それ以外は無料です。登山時に利用できる駐車場を2つ紹介します。

①南光河原(なんこうがわら)駐車場

夏山登山口に一番近い駐車場で、収容台数は約50台です。登山口までの距離は徒歩3分ほどと便利。早朝に満車になるので、利用する場合は早めの到着を心がけましょう。

②大山博労座(だいせんばくろうざ)駐車場

県営の大山駐車場のひとつで、収容台数は約600台とかなり広め。夏山登山口までは徒歩15分ほどです。下山後に大山寺の参道周辺で買い物をする方は、こちらの駐車場がおすすめですよ。

※2022年8月現在、下山駐車場と下山キャンプ場は、リニューアル工事のため閉鎖されています。利用できないので注意してください。

トイレ

南光河原駐車場と大山博労座駐車場には、男女別のトイレが併設されています。24時間利用できますよ。

 

登山前後におすすめ!立ち寄りスポット3選

大山 登山

大山登山の前後に立ち寄りたい、おすすめの場所を3つ紹介します。

①登山の拠点|大山ナショナルパークセンター

大山寺のバス停の横にある施設で、登山の拠点として利用されています。無料でつかえる休憩所・トイレ・更衣室があるのがうれしいところ。下山後に大山や眼下の景色を眺めながら、テラスでゆっくり過ごすのにぴったりですよ。

コインシャワー(有料)で汗を流せばリフレッシュできるでしょう。コインロッカーは出入り口の外側にあるため、24時間利用できます。

参考:大山ナショナルパークセンター

②登山後に温泉|豪円湯院(ごうえんゆいん)

大山寺の参道沿いにある、日帰り温泉施設です。登山後の疲れた体を癒すのにおすすめ。併設のレストラン「神の湯亭」では、名物の豆腐料理が楽しめます。

昔ながらの製法でつくられた豆腐や豆乳スイーツなど、オリジナル商品があるので、ぜひチェックしてください。

参考:豪円湯院

③地元の特産品を販売|大山参道市場(だいせんさんどういちば)

アウトドアブランドのモンベルが手がける山の駅です。焼き立てパンや地元の名産品が販売されているので、登山前後の買い物に重宝します。ベーカリーカフェでコーヒーを飲みながらくつろいだり、お土産を買ったりと、観光気分を味わえますよ。

参考:モンベル「大山参道市場

※この記事の情報は2022年8月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPで確認してください。

大山の登山情報を紹介しました。大山エリアは登山だけでなく、観光やグルメも楽しめるのがポイント。夏の避暑地としてもぴったりですね。大山は標高が高く登りごたえのある山ですが、標識や階段などが整備されていて迷う心配がありません。登山初級レベルでもチャレンジできますよ。山頂から見渡せる壮大なパノラマは、頑張って登った人だけが見られる絶景です。この記事を参考にして、ぜひ一度、大山に登ってみてください。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。