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日本勢が盛り上がりを見せた北京オリンピックも閉幕した2月下旬、日本では雪山の地形を自然のままに滑りそのテクニックやスタイルを競うフリーライドの大会が行われました。今回は2月27日・28日に新潟県妙高市にあるロッテアライリゾートにて行われた、FREERIDE WORLD QUALIFIER3*の舞台裏に密着取材しました。
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フリーライドワールドツアーとは?

フリーライドワールドツアー(FWT)は、1996年にスイスから始まった世界最大のフリーライドの国際大会。
大きく3つにカテゴライズされており、世界トップライダーからジュニアまで幅広い層が出場します。

決まっているのは、スタート地点とゴール地点。
斜面の地形や雪のコンディションを読み取り、自分で思い描いたラインを滑り降りながらテクニックやパフォーマンスを競う「採点競技」です。

フリーライドワールドクオリファイアー(FWQ)には1*(スター)~4*、フリーライドジュニアツアー(FJT)には1*~3*までのレベルがあり、数字が大きくなるほど高いレベルになります。

 

2022年はFWQ4戦、FJTが3戦が開催

舞子スノーリゾート【終了】
日程:2022年1月29日(土)~30日(日)
カテゴリー:FREERIDE WORLD QUALIFIER* FREERIDE JUNIOR TOUR*

ロッテアライリゾート【終了】※Greenfield取材大会
日程:2022年2月26日(土)~27日(日)
カテゴリー:FREERIDE JUNIOR TOUR*
日程:2022年2月28日(月)~3月2日(水)
カテゴリー:FREERIDE WORLD QUALIFIER***

安比高原【終了】
日程:2022年3月5日(土)~6日(日)
カテゴリー:FREERIDE WORLD QUALIFIER* FREERIDE JUNIOR TOUR*

白馬バレー
日程:2022年3月15日(火)~3月18日(金)
カテゴリー:FREERIDE WORLD QUALIFIER****

 

Freeride World Qualifier(FWQ)1*(スター)〜4*

世界で毎年50以上開催されるシリーズ。どんなスタイルのスキーヤー・スノーボーダーも出場できる参加型イベント

Freeride Junior Tour(FJT)1*〜3*

10〜18歳のジュニア対象の大会

※*(スター)は数字が大きいほど高いレベルになります。

2022年3月9日現在の情報となります。

FREERIDE WORLDTOUR QUALIFIER3* in ロッテアライリゾート

取材初日:2月27日(大会前日)

タイムスケジュール 
8:00〜 選手受付・ビブ配布
14:00〜 雪上セーフティーワークショップ by K2ジャパン
17:00〜 ライダーズミーティング

カテゴリー:FREERIDE WORLD QUALIFIER***(スリースター)
開催地:ロッテアライリゾート

大会の日程は、前日に行われる選手受付やミーティング・競技日・悪天候などによる日程変更のための予備日を含み、おおよそ3〜5日間で日程が組まれます。
(当初、今季1月に白馬で開催予定のFWQ4*は、新型コロナウィルス感染拡大のため3月に延期になりました)

 

8:00~ 選手受付開始 ビブ(ゼッケン)の配布

事前に事務局へエントリー手続きを済ませた選手は、大会前日にビブ(ゼッケン)の配布を受け大会参加手続きの完了となります。これまでの大会実績をもとに滑走順やビブナンバーが事前に確定しています。
本来は選手や関係者が集まり大会前のコミュニケーションの場となりますが、昨今の新型コロナウィルス感染症対策として、残念ながら必要最低限のコンタクトでビブ配布を完了します。

 

14:00~ 雪上セーフティーワークショップ by K2ジャパン

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート

■K2ジャパンについて

1962年に、ワシントン州のピュージェット湾にあるバーション島にあるアメリカンスキーカンパニーとして誕生。2003年にK2 Sportsに改名され、現在はシアトルに拠点を置く国際ブランドです。
スポーツや愛好家への情熱に駆り立てられて、アルペンスキー、スノーボード、スノーシュー、インラインスケート、ノルディックスキー用具、アパレル、アクセサリーを製造しています。
http://www.k2japan.com/index.html

・セーフティーワークショップとは?

大会に参加するにあたって必須装備となる、雪崩ビーコン・プローブ・シャベルといったアバランチギアの正しい使い方など雪上にて、K2ジャパンのスタッフやFWTジャッジのサポートにより、雪崩の際の対処方法などワークショップ形式で学ぶ講習です。
より自然のままに近い斜面を滑走するフリーライドにおいて、リスク対策は必須となります。

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート

左からビーコン、ショベル、プローブ

FWTは全世界の大会にて「セーフティーファースト」を掲げており、フリーライドの楽しさだけではなく安全で正しい知識を伝えていくことも大切と考えて取り組みを行なっています。
そのためFWQ出場選手にはセーフティーセミナーの受講が必須となりました。

雪上にて、実際のギアを使ってのレクチャー開始

FWT,セーフティーセミナー近年人気のバックカントリーツアーでも必須装備とされているビーコン、プロープ、ショベルは実際に使用する時はアクシデントに出くわしてしまったとき。
例え装備をしっかり備えていたとしても、いざという時に正しく使えなければ自分のリスク回避だけでなく仲間も守ることはできません。
机上での知識だけではなく、繰り返し訓練をし道具の扱いや想定された場面に慣れておくことが大切になります。

ビーコンサーチ訓練

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
ビーコンは電波を発信するトランシーバーのようなもので、ビーコン同士が近づくと相手を検知して、万が一の際に雪崩で埋まってしまった人の位置を特定することができます。
実際にビーコンを雪の中に埋め、自分の持っているビーコンを使って探し出す訓練をします。

プローブを使った埋没位置の特定FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート

プローブはビーコンにて埋まってしまった人の大まかな場所を特定した後、雪に刺してより正確な位置(深さなど)を特定するための棒状の道具です。
折りたたみ式になっており、伸ばすと2〜3m程になります。

ショベルを使った雪の掘り起こし

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾートビーコンとプローブを使って掘り起こす場所を特定したら、ショベルを使って掘り起こす作業になります。
雪崩に巻き込まれてしまった時の救出は、生存率の高い15分以内が理想とされています。以降35分以内だと生存率は3割程度にまで落ちてしまいます。1分1秒でも早い救出が必要となります。

セーフティーワークショップは今まで講習を受けたことのあるライダーから、初めて道具に触れるジュニアまで、選手全員が参加必須として開催されました。

このようなセーフティーセミナーは、なかなか一般的には受講機会が少ないため一般向けにも「各地で開催して欲しい」とGreenfield取材班は事務局の方に懇願です。
ウィンタースポーツを楽しむ方は、興味ある方が多いのではないかと思います。

コロナアフターでは、FWTアカデミーは是非再開して欲しいですね。

 

17:00~ ライダーズミーティング

ライダーズミーティング項目

・感染症対策について
・ロッテアライリゾートガイドライン
・大会期間中のガイドライン
・企業パートナー
・アライルールについて
・大会スケジュールについて
・入賞者フォトセッション(少人数制)
・セーフティー/必須装備
・ジャッジメンバー
・ジャッジ基準
・競技者のレスキュー手順
・天気予報/雪面コンディション
・大会フェイス説明(マムシ)
・スタートゲート~ドロップエリアについて
・斜面までの行き方
・スタートオーダー(コール)
・FWT保険について
・リマインダー/注意事項/公式SNS/公式Webサイト
・選手から事務局への質疑応答

新型コロナウィルス感染防止の観点から、オンライン形式となった今回のライダーズミーティングでは、感染症対策やスキー場のルール・タイムスケジュールなどの説明や、大会フェイス(コース)の紹介が行われます。

今回Greenfield取材班もオンラインミーティングへ参加させて頂く事が出来ました。
約一時間に及ぶミーティング、選手の安全管理や知識の共有など様々な分野において事細かく準備されており、大会運営の綿密さを実感しました。
フリーライディングの華やかさの陰にはこのような地道な運営管理があり、緊張感のあるライダーズミーティングであらためて大会運営を支える方の尽力に気づかされました。

今回の大会バーンはマムシという斜面に決定

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
大会当日のコンディションを予測し、前日の午後に最終決定となったコース。
コース決定が直前の判断というところが、フリーライドの大会らしい難しさなのでしょう。

天候や滑走斜面に関する情報

天FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート大会当日の天気やゲレンデの雪質予報の詳しい解説もあり、滑走するにあたってのライダーの貴重な判断材料になります。
資料をよく見ると「硬いクラストやトラックなどが感じられ、新雪の下には硬い雪玉があることでしょう」、、、、。

厳しいコンディションの中での大会となりそうです。

 

アライルール

日本屈指のパウダースノーと降雪量、さらに広大なエリア内の80%以上が非圧雪コースという、海外の雪山を彷彿とさせるロッテアライリゾート。
このすばらしいゲレンデを安全に楽しむためには、アライルールをきちんと理解し守る必要があります。
FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
広大なエリアに広がる非圧雪コースは、より安全に滑ることができるように日々管理されています。

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
ここがスキー場との境界線。

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
看板にはコース状況やパトロールからのユーモアたっぷりなメッセージが書かれています。

 

FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
ライダーズミーティングでは、ルールやジャッジの紹介・ジャッジの判定基準などの説明も詳細に行われます。
もしも滑走中にクラッシュしてしまった場合、ケガがなく無事であれば手を振って無事を伝えます。
助けが必要な場合は動かずにパトロールを待ちます。
このサインが大会開催中のレスキュー開始の速やかな判断材料となります。

また、板が外れてしまった場合はノースコア(NS)となってしまうそうです。

ジャッジ基準

ライン
ラインの難易度・地形の特徴を活かした滑りができたか・斜度・オリジナリティ・スラフマネジメント(流れる雪=雪崩を想定してラインを刻むこと)

流動性
難しい地形でスピードを出して滑れたかどうか/ 速く滑ることが出来る場面で減速していないか/ 常に自分のいる場所を正確に理解し、停止せずに滑っているか/ リズム

エアー& スタイルエアー
地形へのアプローチ/ ジャンプのサイズ/ エア/ トリック/ 着地/スタイル
※ジュニアライダーのバックフリップは禁止されています。

テクニック
スキー操作のテクニック/ パワーターンとスライドターンの使い分け/ サイドスリップ

コントロール
常に滑りがコントロールされているか/ バランス/ スピードマネジメント

 

ジャッジ

SKI
Yoshimichi Sasaki – 佐々木 徳教 (JPN – Comp Head judge – SKI)
Naoyuki Kataoka – 片岡 直之 (JPN – SKI)
Ryuta Iwasaki – 岩崎 龍大(JPN – SKI)

Snowboard
Kengo Kimura – 木村 顕悟 (JPN – Head Judge – SNB)
Ryutaro Morita – 森田 竜太郎 (JPN – SNB)
Itaru Fukushima – 福島格 (JPN – SNB)

全19項目に及ぶライダーズミーティングでの説明や質疑応答を終え本日は終了です。

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FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート

FWT JAPAN SERIES公式サイト公式サイト

今回は大会前日に行われたセーフティーセミナー・ライダーズミーティングなど、1日の流れについてお伝えしました。ミーティング内容をもとに、大会へのイメージを膨らませ翌日に備えます。次回は大会当日の様子についてレポートします。
 
FWT フリーライドワールドツアー,ロッテアライリゾート
 

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。