みなさんは「魚突き」という遊びをご存知ですか?バラエティ番組などでも取り上げられているため、なんとなくイメージがある方もいるでしょう。それでもまだまだ知られていないようで、他のアウトドア・アクティビティに比べたらマイナーな遊びです。そんな「魚突き」の世界をご紹介していきたいと思います。

魚突きとは?

魚突きとは酸素ボンベなどは背負わず素潜りで潜り、手銛で魚を射止める遊びです。

海外では「スピアフィッシング」と言って手銛の他に水中銃を使い(※日本の海のほとんどで使用が禁止されています)海のある国を中心に親しまれ、世界選手権などの競技会なども行われているマリンスポーツです。

一方で、日本では漁猟の一つとして昔から行われていたようで、現在でも魚突き漁をする漁師さんは存在します。

マリンスポーツといえど魚を突いて致命傷を負わせるので釣りのようにリリースはできないし、最終的には突いた魚を食べることが魚突きの目的です。

つまり、魚突きはマリンスポーツでもあり、食べ物を自分の手で得るための漁猟でもある、生活と遊びが合わさった行為だと言えるでしょう。

 

魚突きの魅力

息を止め、海に体をなじませるように心拍数を落とし、海の奥へ奥へと潜っていく。海底で魚を待ち構え、タイミングを図って仕留めるー。

魚は命がけですが、こちらも息の限界まで持ちこたえさせながらの魚との駆け引きです。

スピアフィッシング 魚突き

徐々に自分の心音や体の変化を感じ、海の音や魚の気配を全身で感じ、海の世界と向き合うのです。

自分の限界と戦いながら、狙った魚を仕留められたとき、なんともいえない興奮を感じ得るでしょう。

そして突き詰めていけばいくほど、10m・20m・30mと海の深部まで潜っていくことができ、自分の体や海の中の変化を感じることができます。

地上の光がだんだん遠くなり、水圧を全身で感じ、より深い海の世界が眼前に広がります。水深10mで出会えなかった魚に20m地点では出会うことができ、魅力は尽きることがないでしょう。

また、魚突きは「食べたい魚・食べて美味しい魚」を自分で選んで突くことができるのです。そのため釣りの愛好者が海の中に興味を持って魚突きを始めるという人もいます。

魚突きは素潜り・魚を獲る・魚を食べるといった総合的なアウトドア・アクティビティなのでダイビングやキャンプなど他のアクティビティから魚突きに転身するなど、垣根を超えて興味を集め、楽しめるアクティビティです。

非常にシンプルな遊びですが、自分の体と生き物の命をかけた行為であるため生半可な気持ちでできるものではありません。しかし得られるものは大きいでしょう。

 

危険と隣り合わせの世界

魚突きをするにあたって、陸上で生活する人間にとって「海の中は危険と隣り合わせにある」ということを知っておく必要があります。

それはもちろん、人間にとって必要不可欠な酸素が存在しないからです。それゆえ酸素不足になれば死に至るでしょう。

スピアフィッシング 魚突き

そうなってしまう状況でまず考えられるのが「ブラックアウト」です。ブラックアウトとは、酸欠により失神することです。

周りに誰もいない状態で潜っていた場合、まず助からないでしょう。そういったことがあるので魚突きや素潜りでは1人より2人以上で潜ることを推奨されています。

他には釣り糸に絡まるといったことも起こりえます。釣り糸が絡まってしまってなかなか取れず慌ててしまえば酸素も消耗し溺れてしまう可能性もあります。

なので、海に潜る時は必ずナイフを携帯しましょう。ナイフは突いた魚を絞める時にも使いますが、緊急事態にも役立ちます。

そのほか、いつの間にか沖に流されてしまう、毒を持った生物やサメに襲われるなどの危険も考えられます。

その海域の海流や生息する生物、引き潮・満ち潮の時間帯を知った上で潜ることが大切です。それらを理解した上で潜ればより一層海の世界を楽しむことができるでしょう。

スピアフィッシング 魚突き

出典 freediveUK

いかがでしたか?魚突きの世界はシンプルですが、ほかのアウトドア・アクティビティと同様に奥が深いアクティビティです。そして、魚突きがほかのアクティビティと違っているところは、陸上での運動とは異なった体の使い方をするので潜りのテクニックが体に染み付いてしまえば年取って体力が落ちてもある程度の歳まで無理なく潜り続けることができるのです。実際に海女さんや魚突き漁師さんは60代・70代でも現役で潜られています。したがって長く楽しめるアクティビティと言えるでしょう。日本は幸運にも海に囲まれた島国で美味しい魚が豊富です。チャンスがあればぜひ挑戦してみてくださいね。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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