登山の大きな魅力は、大自然と触れ合える点。ただし、自然のなかには注意が必要な危険植物があります。この記事では、山岳地域でよく見られる危険植物やその特徴、触れた際の対処法、身を守る予防策について紹介します。登山前にぜひチェックしてください。
山にはどのような危険植物がある?
山にはさまざまな危険植物が生息しています。これらの植物に触れると、かぶれたり切り傷を負ったりすることがあります。代表的な危険植物の特徴を知って、見分けられるようにしましょう。
かぶれる植物
登山中に、気がつくと手足がかぶれていることはありませんか?自然のなかを歩き続ける登山では、知らない間にかぶれの原因になる植物に触れてしまうことがあります。
ここでは、かぶれる植物の代表である、ヤマウルシとヌルデについて紹介します。
ヤマウルシ
ヤマウルシは、低山や山地の湿った谷筋や尾根などでみられる、高さ5~8mほどの植物です。葉は3枚の小葉からなっており、エッジは鋸歯状です。また、赤い枝が特徴。
ヤマウルシの樹液には、かぶれの原因となるウルシオールが含まれているため、触れるとかゆみ・かぶれ・痛みを引き起こすことがあります。山で見かけても触らないように注意しましょう。
ヌルデ
ヌルデは、ヤマウルシ同様にかぶれを引き起こす植物です。ヌルデの葉は、葉軸の左右に鳥の羽のように葉が並んでいる羽状複葉で、エッジにはしっかりとしたギザギザがあります。
8~9月には、白色や淡いピンク色の傘状の小さな花が多数開いているのが特徴。ヤマウルシと比較すると、ウルシオールは少ないといわれています。
刺激性物質をもつ植物
危険植物のなかには、刺激性物質をもっている種類があります。ここでは、植物の名前の由来とともに危険性と特徴を紹介します。
イラクサ
イラクサは、比較的暖かい地方でみられる多年草です。高さは0.5~1mほどで、ギザギザとした濃い緑色の葉が特徴。葉の表面には刺毛があり、刺さると皮膚炎を起こす可能性があります。
イラクサの「イラ」とはトゲという意味。イラクサはまさに、トゲで刺激を与える植物です。
トウダイグサ
トウダイグサは、道ばたや畑など、日当たりの良い場所に自生する植物です。茎の先端が放射状に枝分かれして広がった姿が、昔の照明器具である燈台(とうだい)に似ていることから、トウダイグサと名づけられました。
茎は細く、高さは10~50cmほど。茎や葉の切り口から出る白い乳液に触れると、かぶれることがあるので注意が必要です。
切り傷につながる植物
危険植物のなかには、接触して切り傷につながるものもあります。かわいらしい見た目の植物もありますが、騙されて触らないように気をつけましょう。
ノイバラ
ノイバラは高さ2mほどの低木で、葉や枝部分に鋭いトゲをもち、茂みのように繁殖しています。白くかわいらしい花を咲かせますが、決して触らないようにしましょう。
サンショウ
スパイスで有名なサンショウ。樹高3mほどで、葉だけでなく枝にもトゲが見られます。ほのかによい香りがしますが、不用意に触らないようにしましょう。
もしも登山中に危険植物を触ってしまったら?
危険植物に気をつけていても、接触する可能性があります。登山中にできる応急処置について学んでおきましょう。
まずは応急処置を!
危険植物に触れてしまったときは、かゆみ・湿疹・腫れなどの症状があらわれることがあります。これらの症状が出てしまった場合は、触れた部分をできるだけ早く水で洗いましょう。
かゆみや炎症は、ステロイド外用薬でやわらげられます。切り傷などの出血があるときは、絆創膏を使用しましょう。
衣類にも危険植物が付着している可能性が高いため、なるべく交換するのがおすすめです。着替えの用意がない場合は、接触箇所をめくるなどで対応してもよいでしょう。
経過観察を忘れずに!
軽いかぶれなどは自然治癒することが多い傾向がありますが、注意深い経過観察が必要です。症状が悪化したりアレルギー反応があったりする場合は、医師へ相談しましょう。
危険植物から身を守るための予防策
危険植物から身を守るためには、しっかりとした予防が大切です。ここでは、事前にできる予防策や、登山当日に意識したい予防策を紹介します。
植物の特徴を学ぶ
危険植物の特徴を学ぶことは、識別とケガの予防に役立ちます。登山前にガイドブックやインターネットで危険植物を調べておきましょう。
また、山に生息する植物を覚えると、よりいっそう登山が楽しくなります。
肌の露出を最小限にする
登山の際は、肌が危険植物に触れないように、長袖と長ズボンを着用しましょう。夏場の暑い時期は、半ズボンとレギンスの組み合わせがおすすめです。どうしても半袖を着たい方は、アームカバーで対策してもよいでしょう。
樹林帯ルートや草木をかきわけるときは、手を保護できる登山用手袋を着用してください。
整備された登山道を歩く
登山の際は、登山道を離れないように注意しましょう。整備されていない登山道に入ってしまうと、危険植物と接触しやすくなります。
狭いルートでのすれ違いや、写真を撮るために登山道を少し外れるときなどは要注意です。危険植物は思ったより近くに生息しているので、注意を怠らないようにしましょう。
登山は、日頃は感じられない非日常をあじわえる素晴らしい体験ですが、危険植物には細心の注意が必要です。もしも危険植物に触れてしまった場合は、速やかに正しい対処を行い、症状を軽減させましょう。また、危険植物の特徴を事前に理解し、予防策を実施することで、安全性を考慮した楽しい山行ができます。安全第一を常に心がけて、トラブルなしの快適な登山を存分に楽しみましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。