今回は、九州エリアで人気のある山開きスポットを3つピックアップ。山の安全祈願とともに、清掃登山が行われたり、山頂行事が開催されたりとイベントが満載です。山開きの情報と、それぞれの山の魅力も紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①壮大な大火山群を歩く!霧島山(きりしまやま)|鹿児島県・宮崎県
鹿児島県と宮崎県の境にある火山群の総称です。霧島連山・霧島火山・霧島火山群などとも呼ばれています。
霧島山の基本情報
標高1,700mある最高峰の韓国岳(からくにだけ)をはじめ、高千穂峰(たかちほのみね)や新燃岳などが連なり、圧倒的な存在感があります。
また、1,934年に日本ではじめての国立公園に指定されました。2,010年には、科学的に見て特別に重要な地域を指す「日本ジオパーク」として認定。地球の歴史が刻まれた、美しい地質遺産を複数含む自然公園とされています。
登山はもちろんのこと、観光スポットとしても人気がありますよ。
霧島山の山開き情報
毎年4月の第2日曜日に、霧島連山自然保護協議会が主催する「霧島連山夏山開き」が行われます。本格的にはじまる、夏山シーズンの安全を祈願するイベントです。
霧島神宮の跡地である古宮址(こぐうし)で、神事と玉串奉奠(たまぐしほうてん)が行われます。玉串奉奠とは、榊(さかき)などの木の枝に、紙垂(しで)や木綿(ゆう)を麻でつけた玉串を、神前にお供えする儀式です。
祈願のあとは、それぞれのコースに分かれ、霧島連山の清掃登山を行います。雨天時は、自然公園財団高千穂河原支部パークサービスセンターの室内で開催されますよ。
霧島山の山開き | 毎年4月の第2日曜日 |
開催場所 | 高千穂河原古宮址 |
アクセス | 電車:JR日豊本線「霧島神宮駅」下車、タクシーで「高千穂河原ビジターセンター」まで約30分 |
参考 | 鹿児島県霧島市「春のまつり・イベント 」 鹿児島県観光サイト かごしまの旅「霧島連山夏山開き (きりしまれんざんなつやまびらき)」 |
霧島山の見どころ
春から初夏にかけて、花々が山道を彩ります。霧島山にのみ自生するノカイドウは、5月初旬が見頃です。5月中旬〜6月には、ミヤマキリシマが山肌一面に咲き誇り、花々を観賞しながら登山を楽しめますよ。
また、高千穂峰の登山口にある、約770年前にあった霧島神宮の古宮址が見どころ。日本神話の「天孫降臨伝説」がある高千穂峰の頂上には、神話に登場する「天の逆鉾(あまのさかほこ)」が突き刺さり、神話の世界を堪能できます。
ふもとの高千穂河原ビジターセンターから高千穂峰へ登るコースは、山頂まで約2時間。比較的登りやすく、おすすめです。
天気がよければ、新燃岳や韓国岳はもちろんのこと、錦江湾や桜島など、360度の壮大な景色が一望できますよ。
ただし、霧島山は現在も火山活動を行っています。火山活動の状況によっては、入山規制がされる場合も。登山の際は、気象庁や自治体などの火山情報を確認しましょう。また、下記の記事を参考にして装備を整えてくださいね。
②由布院のシンボル!由布岳(ゆふだけ)|大分県
由布市と別府市にまたがる、標高1,583mの雄大な山です。
由布岳の基本情報
最高峰の西峰と、東峰の2つのピークをもつ双耳峰(そうじほう)が大きな魅力。その象徴的な姿から、豊後富士と呼ばれ親しまれています。古くから山岳信仰の山としてあがめられ、「豊後風土記」や「万葉集」にも記される名峰です。
由布岳の山開き情報
由布岳の正面登山道入口で、登山者の安全を祈願する山開きが開催されます。自衛隊による迫力あふれる音楽演奏が見どころです。
また、先着1,000人に記念品の帽子が配布されますよ。安全祈願祭や護摩木の奉納、テープカットが行われたあとは、みんなで山頂を目指します。
由布岳の山開き | 5月14日 |
開催場所 | 由布岳正面登山口 |
アクセス | 電車:JR日豊本線「別府駅」下車、「亀の井バス」で「由布登山口」バス停まで約40分
車:大分自動車道「別府IC」から、由布岳登山口駐車場まで約30分 |
参考 | 大分県由布市「由布岳山開き 」 |
由布岳の見どころ
春から夏にかけて見られる、若草色の草原と青空のコントラストは、この時期ならではの美しい景観です。
山頂からは、360度の大パノラマが眺められ、訪れた人々を魅了。天候に恵まれれば、別府湾やくじゅう連山を望めます。雲海に包まれた由布院の街並みが眺められたらラッキーですよ。
正面登山口から東峰へ登るコースは、往復約4時間の行程で、人気のコースです。西峰は岩場やクサリ場があり、難易度があがります。初心者向きではないので注意しましょう。
下山後は、ふもとにある温泉地で、ゆっくり休憩してから帰宅するのがおすすめです。
③ミヤマキリシマが咲き誇る!九重山|大分県
大分県の玖珠郡九重町(くすぐんここのえまち)から竹田市北部にかけて位置する山々の総称です。
九重山の基本情報
標高が1,791mある九州本土最高峰の中岳をはじめ、久住山や大船山などの名峰が並ぶ雄大な山です。標高1,700m級の山々が連なる姿から、九州の屋根とも呼ばれています。
また、20以上の火山が東西約15kmにかけて広がる様子から、くじゅう連山としても知られていますよ。
九重山の山開き情報
九重山の山開きは2日にわたって実施。前日は、関係者のみが参加する「遭難者追悼慰霊祭」、山開き当日は「安全祈願祭」と「山頂行事」が行われます。
山頂行事は、毎年6月の第1日曜日に大船山(たいせんざん)と久住山(くじゅうさん)で、1年交代で開催。「法華院温泉山荘」で登山の安全を祈祷し、山頂を目指します。
参加者に配られる、記念品のペナントも楽しみのひとつ。山頂では、万歳の三唱や記念撮影などをして、本格的な山開きをみんなで祝えますよ。
九重山の山開き | 6月4日 |
開催場所 |
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アクセス | 法華院温泉山荘「アクセス」 |
参考 | 竹田市「第70回くじゅう山開きについて」 |
九重山の見どころ
1番の見どころは、5月下旬から6月中旬にかけて、山肌を鮮やかなピンク色に染めるミヤマキリシマの群生です。九重山ならではの華やかな景色に目を奪われます。
また、ほぼ中央に位置する「坊ガツル湿原」や、阿蘇くじゅう国立公園内にある「タデ原湿原」は、ラムサール条約に登録。重要な湿地の生態系を守る目的で登録され、国際的に守られています。
九重山の湿地帯には、マスガヤやミズゴケなどの貴重な湿原植物が群生し、多くの植物や生き物に出会えますよ。
この記事の情報は2023年7月時点のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。