中間のボルトよりもルート最上部のボルトが重要な理由
中間のボルトというのは、リードクライミングの時にのみ使用するもの。地面から登り始め、下から順にボルトにカラビナをかけてロープを通していきます。
こうすることによってクライマーはクライミング中に落下したとしても地面まで落下するという最悪の状況を防ぐことができます。ルートの最上部に到着したら、次に下降しなければなりません。
この際、中間にかけてきたカラビナは回収します。中間にかけてきたカラビナを回収するということは、クライマーの安全を守るボルトは最終的にルート最上部のボルトのみということになります。
このことから、中間にあるボルトよりも最上部のボルトを重要視する必要があります。
リードクライミングが終了した直後に最上部のボルトが破損した場合、最上部から一番近いボルトによって地面への墜落を防ぐことが出来ますが、トップロープや、懸垂下降と呼ばれる自ら下降する場合などに最上部のボルトが破損した場合は、高い確率で命に関わる事故につながります。
こういった最悪の事故を防ぐためにも、ルート最上部のボルトの重要性をまずは理解しましょう。
ルート最上部に使われるボルトの数と種類
基本的に、ルート最上部のボルトというのは中間のボルトよりも重要度が高いので、2本で構成されます。
一部、海外の教本などでは「ルート最上部またはビレイ支点はボルト3本を基本とする」という文言があるほど、その重要性は世界でも共通しています。
これは、ボルトの1本が外れても、残る1本で耐えてもらいたいというバックアップの意味と、ボルト1本にかかるクライマーの体重を分散してボルト1本あたりにかかる荷重を減らし安全性を高める目的があります。
以上の事から、海外の教本にあるような3本というのは理にかなっていますが、岩の質や環境によってそれが出来ない場合も多く、必ずしも全ての岩場が同じ状況とは限りません。
ボルトの種類としては様々なものが挙げられますが多くは、ボルトの拡張によって固定するグージョンボルトと、強力な接着剤で固定するケミカルボルトです。
それ以外のボルトも多く見かけますが、基本的に古いものが多いです。また立木を利用して最上部のボルトの役割とすることもありますが、生きている木であればこれが一番信頼に足り得るものです。
ルート最上部のボルトが使用できなかった場合はどうすればいいの?
では、最終部のボルトが何らかの理由によって使えなかった場合はどうすれば良いのでしょうか?また、そのような状態とはどういったことを指すのでしょうか?
最も多くのモデルとしては、ボルトにかかっているカラビナのゲートが開かず、ロープを通すことが出来ない場合です。またカラビナが錆びていて、明らかに強度に不安がある場合などです。
最終部のボルトは基本的にボルト、ハンガー、カラビナ、のセットになっていて、それらを使って下降することになりますが、中には金属のリングのみや、ナイロン製スリングのみ、という事もあります。
これは、それぞれのシーンに合わせた解決方法がありますが、文章のみで伝えて間違った理解をすると、高い確率で事故につながってしまい、且つ、間違った理解をする可能性が非常に高い技術です。
つまりリターンに対してリスクが高すぎて、文章による伝達が危険なのです。ですが、世の中にはこういったことが書かれた技術書が出回っています。
専門的な知識をもった方に教えてもらうか、それが出来ない場合は、手持ちのカラビナを2枚、個別のボルトにかけてそこにロープを通して下降しましょう。
カラビナ2枚を失うことになりますが、命には代えられません。
ルート最上部にボルトが無い!どうやって降りてくればいいの?
ボルトが無い場合、こういったケースは非常に稀ですが、実際に存在します。理由は様々ですが、多くの場合、自然災害によるものです。
大雨の後、立木が根こそぎ剥がれてしまうことがありますが、そういった時にルート最上部のボルトごと崩落する場合や立木が最終部のボルトの役割をしていた場合も消滅してしまいます。
こういったルートは、下から見て分かる場合が多いので、ルートの上部が荒れているように見えた場合は、登るのを控えるか、双眼鏡を持っていれば前もってルート最上部のボルトの状況を確認しておくことをおすすめします。
それでも、登ってしまった場合は、最後にカラビナをかけたボルトの位置までロープに荷重をかけずにクライムダウンしてから地面まで下降しましょう。
このとき重要なことは、決してボルト1本で下降しないことです。その下のボルトにもカラビナをかけて2枚で下降してください。
時々、ルートが登り切れずに諦めてボルト1本、カラビナ1枚で降りてくるクライマーを見かけますが、ボルトの強度を見極められる経験と知識があることが前提です。
しかし、そういった知識と経験の乏しい方ほど危険なことをしてしまうというのも事実です。常に危険に対する意識を高くクライミングに接していきましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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