スケートライフが変わった海外での貴重な経験
ーパート2も、まずは自己紹介からお願いできますか?
織田夢海(おだゆめか)です。14歳で中学2年生のスケートボーダーです。スケート歴は7年くらい。2019年に2戦行われた全日本選手権で、共に3位と表彰台に上がれたことで強化指定選手に選んでいただきました。
その後は海外でもDew Tourで5位に入賞したり、STREET LEAGUEも2回決勝に進出して8位を獲得できました。現状の世界ランクは11位なんですけど、もっと順位を上げられるように頑張っていきたいと思っています。
ー海外の大会は本当にいい経験になったとおっしゃっていましたが、どんなことを経験したのですか?
規模や文化の違いに驚きました。こういういい方がいいのかわからないですけど、国内のコンテストだと観客やメディアの方々もスケートボードをどう楽しめばいいかがまだまだ浸透していない印象です。
そのためどことなく盛り上がりに欠けているかんじで、ただ淡々とイベントをこなしていくという感じがするんですよ。でも海外は会場から雰囲気からすべてが違うんです。
基本的に観客もスケートボードに理解がある人たちばかりだし、トリックをメイクしたら皆がすごい喜んで会場のボルテージも上がるんです。
それに他国のライダーの人たちも「今の良かったね」と声をかけてくれたり、会場が一体になって盛り上げているのがわかるので、自然とこっちのモチベーションが上がるんですよね。そうなると、もう無条件に「楽しい! 」って感じてしまうんです。
しかもそれだけじゃなくて、その雰囲気を肌で感じるとまた頑張ろうって思えますし、また絶対この場所に帰ってこようって思えます。だから日本に帰ってもそれが練習のモチベーションになり、スケートライフ全体にもすごくいい相乗効果をもたらしてくれていると思います。
ーでは、今まで経験した海外コンテストの中で特に印象的だったのありますか?
何を持って印象的なのかによって変わってくるんですけど、純粋に規模でいうなら一昨年のリオデジャネイロで行われたSTREET LEAGUEのスーパークラウンですね。
海外のコンテストはどれも規模が凄いんですけど、その中でもこれは1年の総決算のような位置付けで、オリンピックにつながる世界選手権でもあったので、決勝の緊張感はケタ違いでした。
もちろんその分周囲の盛り上がりも凄かったですし、観に来ていた両親も私と同じように暖かく迎え入れてくれたみたいで、人の温かさも感じました。もちろんそこにはブラジル特有のラテンのノリというか、文化の違いもあると思いますけど、これが本来のスケートボードカルチャーなんだなって思いました。
それとはまた違った感じで面白かったのが、去年のTampa PROのガールズです。これは予選から出場したんですけど、STREET LEAGUEとはまた違ったアットホームな雰囲気があるんですよ。
STREET LEAGUEの方がよりグローバルというか、演出なども含めてよりマスに向けたコンテストな感じで、Tampaは根っからのスケート好きが集まるというか、世界中のスケーターが一堂に介す、コンテストなんだけどお祭りのような感じです。歴史もあるコンテストなので、業界から愛されているんだなっていうのをすごく感じました。
東京五輪がどうなってもパリを目指す
ーただ昨年はそのTampaを最後に新型コロナウイルスによるパンデミックでオリンピックが延期になりました。さらにそこから一年近くが経過した今もコンテスト開催の具体的なアナウンスは聞こえてきませんが、そこはどう捉えていますか?
そうですね。こればかりはどうしようもないですが、私はどう転ぶにしろ準備だけはしっかりしておかないといけない立場なので、予選もあるというつもりで準備はしています。
ただ開催されるかどうか不透明なままだとモチベーションを保つのが大変なので、心情としては、どうなるにしろ早くはっきりしてもらった方が、気持ちは楽になるかなとは思っています。
よく「中止になったらどうするの!? 」とかも聞かれるんですけど、それなら私はパリを目指すだけですし、練習内容も数年先を見越したものに変えて長期的な視点でできるようになるので、そこはポジティブにやっていくだけですね。
この記事を書いた人
吉田 佳央
1982年生まれ。静岡県焼津市出身。高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本も監修。ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている。