※このページにはアフィリエイトリンクが含まれています。
今やスケートボードスクールは全国で盛んに行われています。その中でも中坂さんのスクールは、規模は小さいながらも有名選手を複数輩出し、県外から足繁く通う人もいるほどです。今後の展望について取材しました。

スクール事業について

中坂優太(プロスケーター / 理学療法士)

ー今回もまずはインタビューに際しての簡単な自己紹介からお願いいたします。

中坂優太です。年齢は37歳でスケート歴は22年です。現在の活動はスケートボーダーとしてなるべく現役で活動しながら、理学療法士として病院にも勤めています。

特徴としてはスケートボードと理学療法双方の知識と経験を融合させた独自のメソッドに基づいたスクールを行ったり、運動学に基づいたオリジナルシェイプのデッキ開発、さらにPCIS(Physical Care Insol Skateboarding)という名前でオーダーインソールも作っています。

その他にも静岡県スケートボード協会運営に携わりながら、イベントの運営やコンテストジャッジなんかもしながらシーンの底上げをしています。

ー現在進行形で行っているスクールのことを教えていただけますか? また、過去に携わってきたスクールなども教えてください。

定期スクールは静岡市にある「F2O park」で月に3日、浜松市にある「S.L. PARK」で月1やっています。基本的に1グループ3人で、それぞれ1時間半ずつのレッスンです。

ここ数年は、実技だけでなくセミナーも開催しています。セミナーではパワーポイントを使って運動学に基づいたスケートボード理論を話してます。難しく聞こえるかもしれないですが、実際は身体の使い方や靴について特徴や選び方といった内容です。

すぐに実践できるところまで落とし込んだ内容をわかりやすく伝えているので、参加された方からは聞けて良かったとの声をいただいています。

不定期開催では、スケートボード日帰り合宿のような形式で、スケートボードのレッスンとその後の身体のケアまでみっちり一緒にやりました。これはF2O parkで7名限定で丸1日かけて行いました。

最近はあまり開催できてないのでまたやりたいと思っています。あとは個別のプライベートレッスンも要望があった際は行っています。もちろん1対1で行っているので、生徒さんの運動能力に合わせた毎日の練習内容やコンディショニングまで細かな指導をしています。

 

教え子には世界で活躍するライダーが3人も

中坂優太(プロスケーター / 理学療法士)

ー今までご自身が行ってきたスクール出身者で、現在、国内外で活躍しているライダーや、注目スケーターがいれば教えてください。

前回、Greenfieldでもインタビュー記事が掲載されていた2人、世界最高峰のコンテストStreet League Skateboarding(SLS)のSUPER CROWNという年間王者決定戦で決勝に残った青木勇貴斗や、世界中のアマチュアの登竜門と言われているTAMPA AMで優勝した根付海龍ですね。

関連記事:
東京オリンピック強化指定選手、競い合い、高め合い、励まし合える最高の仲間【スケートボード 青木勇貴斗 & 根附海龍 】取材記①

東京オリンピック強化指定選手、競い合い、高め合い、励まし合える最高の仲間【スケートボード 青木勇貴斗 & 根附海龍 】取材記②

東京オリンピック強化指定選手、競い合い、高め合い、励まし合える最高の仲間【スケートボード 青木勇貴斗 & 根附海龍 】取材記③

あと最近ではSNSで世界的にバズってる小野寺吟雲( @ginwoo.jp )がマジでヤバいです。彼はまだ10歳なんですが、正直この年齢ではありえないスキルですね。間違いなく世界クラスだと思うので、本当に今後が楽しみな存在ですし、皆さんも注目してほしいなと思います。

今後やりたいことはデッキブランド立ち上げ

中坂優太(プロスケーター / 理学療法士)

ー今後の展望を聞かせてください。
もっとスケートボーダーの育成を事業として独立させて、フリーランスで動けるようにしていきたいです。

静岡という地方都市では、現状なかなか難しいところもあるかもしれませんが、オリンピック競技に採用されたことで、今は競技目的で始める子どもの方が圧倒的に多いんです。だからこそ自分はケガの予防や身体のメンテナンス方法を伝えていく必要があると考えてます。

そこで、総合的なサポートのひとつとして、冒頭でも少しだけお話しさせていただきましたが、これから「excellent」というデッキブランドを立ち上げようと思っています。これはとにかく”上手くなるデッキ”をコンセプトに、自分が培ってきた運動学の知識をもとに設計してます。

ー運動学の知識をもとに設計したデッキというのはどういう特徴があるのですか?
具体的な話をすると、中国まで足を運んでプレスの型から作った完全オリジナルのデッキで、今までにない軽さになっているのが特徴です。6歳の子どもでもトレフリップのような脚力を必要とするトリックができる設計を目指しました。

ノーズもテールもなく両スタンスでいけるツインテールを採用しているので、テールが無くなったらノーズとテール入れ替えることもできてかなり省エネ。キックやコンケーブも強めにして操作性を向上させました。

また、テールを弾いた時の反発力も意識して、小さな力で大きなパフォーマンスが出せるようにプレスの時に用いる接着剤を、強度の高いものにして弾きを良くしてるんです。さらに乗った時に左右の重心移動がスムーズになるようなホイールベース設定をしているので無駄な動きがでません。

このように特徴は色々とあります。値段に関しては輸送費などのコスト面を含めて検討中ですが、皆さんに満足してもらえる価格帯にするつもりなので、とにかく乗ってみて下さい。新しいステージにいけると思います!

 

サンプルテストでは驚きの結果が

中坂優太(プロスケーター / 理学療法士)

ーすでにそのデッキは乗り心地のテストなども済んでいるのでしょうか?
じつは一度キッズスケーターにサンプルに乗ってもらったことがあったんですが、フラットでトレフリップができなかった子がなんと5回も連続でメイクしたんです。本人もビックリしてましたが本人以上に僕がビックリしました。

そこからわかるように、そもそものデッキが良いものでないとできないんですよね。だから、環境的な面で変えなきゃいけなきゃと思って自ら動き出しました。

2021年中にはリリースする予定なので、その際はぜひ乗ってみてほしいです。詳細などは僕のInstagram( @nakasaka )でアップしますのでフォローして下さい!

後は静岡県スケートボード協会の方でも1月24日に屋外でミニランプの大会を開催します。詳細はFacebookページをご確認ください。

 

トリックができない原因である”癖”を見抜く

中坂優太(プロスケーター / 理学療法士)

ー色々とありがとうございました! 最後にスケートボードのスクールを受けようと思っている人や、練習してもなかなか上達しない人にメッセージがあればお願いします。
自分がスケートボードを初めた頃、キックフリップが全然できない時期がありました。片足だけ乗ってしまう現象に悩まされましたが、今思うとダメなパターンで身体が覚えてしまっていました。

いわゆる”癖”というやつで、その癖がパターン化することでなかなか抜け出せない状態。最終的には乗れましたが、かなり時間をかけてしまってました。教えてくれる人もなく苦労したので、同じようなパターンでハマっている人はぜひスクールを受けに来てほしいです。

スケートボードって本当に楽しくて学びの多いスポーツであり、遊びなのでたくさんの人とそれを共有したいなと思っています!

Profile:

中坂優太(なかさか ゆうた)
1984年2月24日生まれ。静岡県浜松市出身。スポンサー:NESTA BRAND、éS skateboarding、the bearings、excellent、PCIS、S.L. PARK

複雑な回し系のトリックを得意とし、数々のビデオでスキルフルなライディングを披露している他、「éS Game of S.K.A.T.E.」では2年連続で優勝するなど、テクニカルスケーターの代名詞として活躍。現在はプロスケーターとして活動しつつも、理学療法士として身体に向き合う日々を送っている。またケガの予防を目的としたPCIS(インソールメーカー)の代表も務めている他、浜松市のS.L PARK、静岡市のf2O parkでスクールを行い、日本代表候補に選ばれる選手などの育成にも携わっている。

 

【中坂優太】プロスケーターから理学療法士へ〜論理的スケートボードスクール取材記①〜

【中坂優太】プロスケーターから理学療法士へ〜論理的スケートボードスクール取材記②〜

スケートボードはもともとカルチャーからスポーツに発展してきた歴史があるだけに、まだまだ彼のように論理的に動作分析から指導する人は少ないので、とても貴重な指導者といえるでしょう。今後リリースされるオリジナルシェイプのデッキも非常に興味深いところです。今後も彼のスクールから有名な選手が誕生してくることでしょう。

ライター

吉田 佳央

1982年生まれ。静岡県焼津市出身。高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本も監修。フォトグラファー兼ジャーナリストとして、ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている。