ダックとグースの違い
ダウンジャケットには、数千円で手に入るファストファッションのものから、十万円以上するラグジュアリーブランドのものまで、幅広い価格帯の製品があります。
同じ「ダウン」なのに、なぜこんなに値段の差があるのでしょう。もちろん、ブランドバリューや生地も関係してきますが、一番はダウンの品質の差によると言えます。
ダウンは、ダックとグースの2種類に大きく分かれます。ダックはアヒルのことで、主に食肉用として育てられた鳥からダウンを採取します。
グースはガチョウのことで、主にフォアグラ目的で飼育されることが多く、アヒルより体長が大きくなるので、大きいダウンが採れます。
一般的に、ダウンボールは大きい方が保温性が高く品質が良いとされているので、グースの方が高価になるのです。
安価なものはダックが使われていることが多く、ラグジュアリーブランドやアウトドアブランドの高級なダウンのほとんどはグースが使われています。
生産地の違い
ダウンは、もともと水鳥が寒さから身を守るために生えているもの。そのため、寒さの激しい地域で採れるダウンほど保温力があり、良質であると言われています。
同じグースでも、生産地によって品質や価格に差があります。ポーランド、ハンガリーなどヨーロッパの寒い地域やカナダなどは、上質なダウンが生産されることで有名です。
また、一般的に良質なダウンが採れないとされている中国も、標高の高い地域では野生に近いグースが飼育されていて、質の高いダウンを生産しています。
ただし、中国産と表記されているもののほとんどはダックで、ダウンの洗浄から製品の縫製までを中国で行っていることが多く、あまり品質が良いとは言えません。
獣っぽい臭いがする…というダウンは、たいてい中国産のダックダウンです。
ダウンとフェザーの違い
ダウン製品に付いているタグに、「ダウン90% フェザー10%」のように表記されているのを見たことはありますよね。
ダウンというのは水鳥の胸の羽毛を指します。フワフワで保温性が高く、1羽から採れる量が少なく、フェザーよりも高価です。
フェザーというのはそれ以外の部分に生えている羽毛のこと。6.5cm未満をスモールフェザーといい、それ以上の大きさはフェザーといわれています。
通気性がよく弾力性があり、型崩れしにくい特徴があります。
メーカーやアイテムによって、これらの混合の割合は違いますが、フェザーが多い程値段は安く、ダウンが多い程値段が高くなります。
では、高級なダウン製品はダウン100%なのかというとそうではありません。ダウンだけでは潰れやすいため、ロフト(膨らみ)を復元するためには、弾力性のあるフェザーも必要なのです。
保温性を最大限に発揮しながらも、ロフトを保つには、ダウン70~90% フェザー10~30%が理想とされているようです。
ちなみにダウンを採取しているときに、フェザーも少なからず混ざってしまうため、ダウン100%という表記は不可能だと言われています。
フィルパワーの違い
主にアウトドアブランドのダウンには「○○フィルパワー」という数値が表記されています。フィルパワーというのは温かさの指標ではなく、ダウンのかさ高性を表したものです。
厳密に言うと、1オンス(約28g)のダウンをシリンダーに入れ、一定の荷重を掛けたときの膨らみ度合いを、立法インチで示したもの。
つまり、数値が大きい程ダウンは多くの空気を内包しているということになり、その空気の断熱効果によって保温性が高くなるのです。
フィルパワーの数値が大きいと、羽毛量が少なくても温かいダウン製品を作ることができます。
少量の羽毛で作られたダウン製品はコンパクトに収納できるため、登山などで使うダウンはフィルパワーが高いものを選びましょう。
ここで間違ってはいけないのが、フィルパワーが高い製品のほうが、低い製品よりも温かいわけではないということ。
フィルパワーはあくまで同じ容量で比べたときの数値です。
300gのダウンが入った800フィルパワーのダウンジャケットと、600gのダウンが入った600フィルパワーのダウンでは、後者の方がダウン量が多いので温かいです。
ちなみに、現状ダックダウンは760フィルパワーまでが限界とされていて、グースダウンは800フィルパワー以上の高い数値を出すことが可能です。
フィルパワーが高くなればなるほど、値段も高くなりますので、アウトドアシーンでは800フィルパワー以上、普段着であれば5~600フィルパワーなどというように選んでみるといいのではないでしょうか。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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