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ウィンドサーフィンは、風(時には波)を使って最高レベルの水面上の自由を獲得したスポーツです。そのため競技のバリエーションが大変豊富で、ユニークなものも多くあります。今回はあまり知られていないそんなユニークな競技やイベントをご紹介していきます。

ウィンドサーフィンはスキーのような大きなカテゴリー

ウィンドサーフィン 競技

出典元:totalwind

 

たとえば雪上で行うスキーには、滑降や回転からモーグルやフリースタイルそしてクロスカントリーからジャンプまで、多くの楽しみ方とそれに伴う競技があります。

ウィンドサーフィンにもこのスキーと同じように、水面上で多くの楽しみ方と競技が存在します。

有名なところでは、スラロームやコースレーシングなどスピードを競うレース系と、フリースタイルやウェイブなどのパフォーマンス系がありますが、実はそれだけには留まりません。

 

バリエーション豊富なレーススタイルはウィンドサーフィンならでは

最高速度を競うスピードトライアルや(24時間)耐久レース、各種のチームレースやリレーなど実にバラエティーに富み、リゾートアイランズを巡るレースはマリンスポーツの特権を活かしたレースと言えます。

さらに、仮装してセーリングするコンテストや市民マラソンのような1,000名を越える大規模なレース、ウィンドサーフィンしながらボールを操りゴールを狙う球技も存在します。

このようにウィンドサーフィンは1スポーツのカテゴリーとして、きわめて大きなスケールを持っているのです。

 

 

30年前から開催されている『スタジアムウィンドサーフィン』

ウィンドサーフィン 競技

出典元:pwaworldtour

 

競技の中でもきわめてユニークなものは、スタジアムウィンドサーフィンとも呼ばれる屋内でのウィンドサーフィン競技です。

最近ではプールを使ったサーフィンが報道されるようになりましたが、ウィンドサーフィンはすでにその約30年前の1990年に、インドア競技としてプロの世界大会を開催していることはほとんど知られていません。

場所はフランス・パリのベルシースタジアム。

スタジアム内に強大なプールを設置し、その横には強大な送風機が並べられ、そのプールの中でスラロームレースやジャンピングコンテストが行われたのです。

観客は入場料を払っての観戦となり、音楽や照明によってショーアップされたイベントは大きな盛り上がりを見せました。

 

プールで繰り広げられる圧巻のパフォーマンス

スタートゲートは斜面となり、そこにはフィンのための溝が刻まれ、道具をセットし、セーラーともにホーンに合わせてゲートが開きスタート。

滑り落ちて入水し、送風機の風が吹き抜ける水面上のマークを周回して順位を競います。

ジャンプコンテストは斜面のスタートゲートを滑り落ち、フィン溝が切られたジャンプ台に向かって加速してジャンプし、パフォーマンスを競う競技です。

その後、パリだけでなく、ロンドン、ミラノ、フランクフルト、マルセイユ、マドリードなどの主要都市で、インドアに限らすスタジアム競技として開催されましたが、2006年のロンドンボートショーでの開催を最後に姿を消してしまいました。

水面下では日本でも開催も模索されましたが実現しませんでした。

しかし、ブランクができましたが2014年にワルシャワPWAインドアワールドカップが開催され復活。

この時はスピードトライアルも種目として初めて行われました。

インドア競技は今でもワールドツアーの正式な種目です。

ただし、開催には多大な予算が必要なため、それがクリアになれば、再び開催されることが期待されています。

 

ウィンドサーフィンレースとフリースタイルが合体したオールラウンド競技『スーパーX』

ウィンドサーフィン 競技

出典元:totalwind

 

スーパーX(クロス)とは、もともとオートバイのモトクロス競技で、スタジアムに悪路やジャンプ台を組み合わせたコースを仮設して順位を競うものです。

この競技から派生したのが、MTBでは「フォークロス」、スキーでは「スキークロス」、スノーボードでは「スノーボードクロス」、そしてウィンドサーフィンでは『スーパーX』と呼ばれ、同じスタイルの競技が行われています。

 

モーグルにも似ているスーパーX

ウィンドサーフィンのスーパーXはスラロームとフリースタイルが合体した競技で、ライダーにはオールラウンドな能力が求められます。

複数のマークがあるスラロームコースが基本ですが、その中にはコースを遮るようなソーセージ状の浮遊障害物が設置され、それをジャンプして飛び越えなければなりません。

また、披露場所や技が指定されたフリースタイルのセクションもあり、それらもクリアしなければゴールできないというものです。

劇的な順位変動があり、派手なアクションシーンが繰り広げられるので、もっともエキサイティングな競技のひとつとなっています。

誕生は2003年。

そのあと数年はコンスタントにワールドツアーのなかで開催されていましたが、スタジアムウィンドサーフィンと同じように、その後は未開催が続いてしまった競技でもあります。

しかし、スタジアムウィンドサーフィンの復活後、こちらの種目復活も求める声が高まり、まだワールドツアーでの完全復活には至っていませんが、2015年からはヨーロッパ限定のフリースタイルツアーのなかで開催されるようになっています。

 

 

ウィンドサーフィン:アドベンチャーレースの最高峰『大西洋横断レース』

ウィンドサーフィン 競技

出典元:libertywinds

 

長距離のレースには島巡りレースや海峡横断レースなどがありますが、ウィンドサーフィン史上、もっとも長距離で、もっとも過酷なアドベンチャーレースが開催されたことがあります。

それが1998年9月14日から行われた『Trans-Atlantic Windsurf Race(TAWR)/大西洋横断レース』です。

 

歴史に残る過酷なレース

スタート地点はカナダのニューファンドランド・ラブラドール州セント・ジョンズ、ゴール地点はイギリス/イングランドのドーセット州ウェイマス。

大西洋を横断する2,000マイル(約3,200km)を越える距離で競われ、それを11区間に分けてレースは行われました。

運営母船は高さ数10mに及ぶロシアの巨大な砕氷船が使用され、それに選手や関係者と道具を搭載して大西洋をレースをしながら横断するというもの。

参加したのはアメリカ、ヨーロッパ、ギリシャ、そして日本のメーカーであるリバティーの4チーム。

選手にはトッププロやレジェンド選手が名を連ね、日本のリバティーチームには世界No.2ライダーが属していました。

選手たちは緊急無線発信器やトランシーバーなど装備したジャケットを装着し、ときには絶海のうねりが襲い来る海面を突き進んでいきました。

このレースで日本のリバティーチームは、11区間中7区間でトップフィニッシュし、見事総合優勝を果たしたのです。

厳密なレースとはいえませんが、ウィンドサーフィンによる壮大な冒険として、歴史に刻まれています。

 

 

ウィンドサーフィンは素晴らしいスケールとポテンシャルを持つアクティビティであり、スポーツです。一般的な競技だけでなく、今回紹介したようなユニークな競技を見れば、その意味もより理解できるのではないでしょうか? 未体験の方はぜひ、風の力を利用することで水面上での圧倒的な自由を獲得できるウィンドサーフィンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。