ウィンドサーフィン:ウェイブジャンピングの歴史
ウェイブボードはまずジャンプ用から開発が始まる
ウェイブパフォーマンスの誕生のときに、波を使ったジャンプもはじまりました。
はじめは当時のボードである350cmを越え、ダガーボード(ボードの底の中央付近に突き出した流れ止め)付の長いボードが使われており、ジャンプするために必要なボード上に足をホールドするフットストラップも開発されていませんでした。
今では標準装備であるフットストラップは、この当時に開発されたのです。
その後、セイリング用(レース用/370〜380cmぐらい)とジャンプ用(300〜330cm強)に分かれてボードが開発がはじまり、少し遅れてライディング用の開発が始まりました。
そしてジャンプボードの登場によって、ウェイブジャンピングは新しい楽しみ方として世界的に拡大していったのです。
短いサーフボードでのジャンプの写真が世界中に衝撃を
そして1981年、1枚の写真が発表されたことにより、一気にこのスポーツのフロントランナーに躍り出たのです。
それが、全長わずか250cm足らず、完全にサーフボード形状のボードによるウェイブライディングとジャンプの写真でした。
ライディングにもインパクトがありましたが、水平線をはるかに越える高さ、常識はずれの小さなボード。
もう少しで1回転してしまいそうな失敗シーンというジャンプ写真のインパクトは、その比ではないほど強烈だったのです。
これがキッカケとなって、世界中でウェイブジャンピングのブームが巻き起こり、ウィンドサーフィンの花形のカテゴリーに躍り出ました。
もうひとつのエポックはループの成功
ループの成功は間近と思われ、2年後にはアメリカの選手ダグ・ハントがバックループ(後方回りの1回転)に成功していましたが、残念ながら技術として定着しませんでした。
1986年、世界大会でイタリアの選手チェザーレ・カンタガリがキラーループ(スパイラル回転)に成功し、ウェイブジャンピングは本格的なループ時代に突入しました。
ウェイブジャンピングのステージがもうワンランクアップしたのはここからです。
回転方向もスパイラルだけでなく、後方、前方と増えていき、さらにそれぞれにいろいろなバリエーションが生まれました。
当然ループ以外のジャンプ技も多数開発され、競技でのウェイブジャンピングは、まさに空中戦の様相を見せるようになっていったのです。
ウィンドサーフィンのウェイブジャンピング:今は2回転時代!! ループジャンプの凄さ
現在ウェイブジャンピングは2回転ループ時代に突入しています。
映像などに残されていませんが、最前線では3回転ループ成功の報も伝わってきています。
ウィンドサーフィンのループジャンプの凄さは、長辺4m前後、面積4㎡前後(畳約2.5畳分)という大きなセイル部を、ボードや操縦者とともに海の上の空中で回転させていくことにあります。
このようなスポーツは、陸上のスポーツを含めて他に存在しません。
文字通りセイルスポーツ究極の進化形と言えるでしょう。
ウィンドサーフィンのウェイブジャンピング:いろいろなジャンピング・マニューバー
ジャンプには、ループだけではなくさまざまなマニューバーがあります。
なお、ジャンプに関しても、技という意味でマニューバーという言葉も使うため、ここではそう表記しています。
ベーシック系
- ハイジャンプ……高さ10mを越えるときもあり
- ワンハンド……片手放し
- ワンフット……空中で一度ストラップから足を抜く
- クロッシングアップ/テーブルトップ……空中で身体を捻りながらボードのボトム(底)を真上に向ける。
- キリストエアー……キリストのように両手を拡げて十字形の姿勢を作る
- レイルグラブ……ジャンプ中、ボードの縁をつかむ
ループ系
- フォワードループ……前方縦回転。ワンハンド、ワンフット、レイト(ジャンプの頂点に達してから回転)などバリエーションあり
- バックループ……後方縦回転。ワンハンド、ワンレッグ、クリューファースト(通常と前後逆のセイルポジション)などバリエーションあり
- プッシュループ……バックループの途中から回転軸を横に変えて回るループ
- キラーループ……コークスクリューのループ
- ダブル(トリプル)ループ……前方縦2(3)回転
フリースタイルと共通
- シャカ……ウェイブライディングのマニューバーであるシャーベットからフリースタイルのトリックであるフラカに入るこの技を波を使って行う
- チャーチョ……エアダックジャイブからスポックに入るこの技を波を使って行う
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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