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冬キャンプを楽しむために欠かせない暖房器具。しかし、使うときの注意点や選び方がわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、電気ストーブや薪ストーブなどの暖房器具の紹介にくわえ、暖を取るのに便利なアイテムや使い方の注意点を解説します。
 
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目次

冬キャンプで暖房器具を使うメリットは?

冬キャンプで暖房器具を使うメリットは、寒さがやわらぎ快適性が向上することです。標高が高い場所では春や秋でも朝晩の気温が低くなりやすいため暖房器具の使用がおすすめです。

暖房器具で冬の寒さ対策ができると、春夏秋に対応している3シーズン用のシュラフや薄手の服装などでも過ごしやすくなるでしょう。また、冬用のキャンプギアや装備などを購入するよりも暖房器具を買うほうがコストをおさえられる場合があります。

寒さ対策として厚着をすることもひとつの手です。しかし厚着をしすぎると動きにくくなったり蒸し暑くなったりするため、空間全体をあたためられる暖房器具の購入をぜひ検討してください。

冬キャンプで暖房器具を準備する前に知っておくこと

電源 キャンプ

宿泊予定のキャンプ場の設備やルールを暖房器具の購入前に確認しておきましょう。キャンプ場によっては使用できる暖房器具が限られていたり、火器の使用が禁止されていたりします。

「せっかく購入した暖房器具がキャンプ場で使用できなかった」ということにならないよう、暖房器具を準備する前に知っておくべきことをあらかじめ確認しましょう。

キャンプ場で電気製品は使えるの?

電源付きのサイトがあるキャンプ場では、電気ストーブや電気毛布などの電気製品を使用できます。しかし、使用できる電力は制限がある場合がほとんど。電気製品を使用するときは、電源サイトの制限内で使用できるかをチェックすることが重要です。

冬期に営業しているキャンプ場の電源サイトは10~20A(アンペア)程度が一般的です。日本のコンセントは基本的に100V(ボルト)であるため、10Aの電源サイトなら消費電力が1,000W(10A×100V)の電気製品を使用できることがわかります。

キャンプ場のホームページなどにアンペア数が記載されていない場合は、どの程度の電力が使えるのかを直接問い合わせるのを推奨します。

高電力の暖房器具も使用できる?

キャンプ場で高電力の暖房器具も使用できるのか気になる人もいるのではないでしょうか。結論からいうと、一般的な家庭用の電気ストーブは300〜1,200Wのものがほとんどなので、高電力の暖房器具もサイトによっては使用できるといえます。

電気ストーブのほかにもどのような暖房器具が使えるのか気になる人のために、キャンプ場でよく使われる暖房器具と消費電力を以下に記載しました。

高電力の暖房器具も使用できる?
  • 電気アンカ・・・・・・約60W
  • 電気毛布・・・・・・・約40~100W
  • こたつ・・・・・・・・約400W
  • ホットカーペット・・・約500~800W
  • カーボンヒーター・・・約300~600W
  • 小型ヒーター・・・・・約600W〜1,200W

このように暖房器具の消費電力には大幅な違いがあるため、使用予定の暖房器具の消費電力をあらかじめ確認しておくことが重要です。

ブレーカーが落ちることはある?

テントサイトのアンペア数の制限を超えた消費電力の暖房器具を使用すると、キャンプ場のブレーカーが落ちる場合があるといえます。

ブレーカーが落ちないようにするためには、暖房器具の電力量だけでなくほかの電気製品の電力量も考慮する必要があります。以下を参考にして、暖房器具以外の電気製品の消費電力もチェックしておきましょう。

ブレーカーが落ちることはある?
  • 電気ポット・・・・・・・約700W~1,000W
  • 電子レンジ・・・・・・・約1,300W
  • オーブントースター・・・約1,200W~約1,350W

キャンプ場のブレーカーが夜に落ちると、電力が復旧するまでに時間がかかる場合も。復旧するまでの間はほかの利用客に迷惑がかかるため、使用する暖房器具・電気製品の消費電力を必ず確認しましょう。

テント内で使える暖房器具の種類・特徴

テント 暖房器具

真冬のキャンプではテント内で暖をとるという人も多いでしょう。テントの中で使用できる暖房器具は、電気ストーブ・カセットガスストーブ・石油ストーブ・薪ストーブの4種類です。それぞれ特徴が異なります。

種類ごとのデメリット・メリットを理解したうえで、自分のキャンプスタイルやシチュエーションにあったものを選びましょう。

安全性が高くて手軽に使える「電気ストーブ」

電気ストーブとは、電気をエネルギー源として稼働するストーブのことです。火を使わないため火災の心配が少ないのが魅力。さらに煙・においが出ないため換気が不要です。また電源コードをコンセントに差すだけで使えるので初心者でも設置や操作が簡単です。

電気ストーブは5タイプに大別されます。テント内の広さや目的にあわせて選ぶことが重要です。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

タイプ 原理 メリット デメリット
ハロゲンヒーター 遠赤外線であたためる
  • 速暖性が高い
  • 本体価格が安め
  • 消費電力が高め
  • 暖房能力は低め
カーボンヒーター
  • ハロゲンヒーターより遠赤外線量が多い
  • ハロゲンヒーターよりも消費電力は低め
  • 速暖性はハロゲンヒーターに劣る
  • 本体価格が高め
シーズヒーター
  • 遠赤外線量が最も多く、暖房性能が高い
  • 速暖性が低い
  • 本体価格が高め
セラミックファンヒーター 温風であたためる
  • 空間全体があたたまりやすい
  • コンパクトなモデルが多い
  • 稼働音が大きい
  • 空気が乾燥しやすい
  • 消費電力が高め
パネルヒーター 輻射熱であたためる
  • 空間全体があたたまりやすい
  • 大型でも場所を取りづらい
  • 本体価格が高め
  • 消費電力が高め

電気ストーブは、後述する石油ストーブやカセットガスストーブとは異なり一酸化炭素中毒のリスクが低いのが大きな魅力です。また本体の転倒や接触によって自動で電源が切れるものもあるので、子どもと一緒に冬キャンプをする人におすすめですよ。

なお電気ストーブを使うためには、電源サイトを利用したりポータブル電源を準備したりする必要があります。

就寝中も電気ストーブを使うなら大容量のポータブル電源がおすすめです。最低でも1,000Wh以上のものを選べば、電池容量をそれほど気にせずにほかの電気製品と併用できるでしょう。

燃料代が比較的安価で乾燥しにくい 「石油ストーブ」

石油ストーブとは、灯油を燃料として使用する暖房器具です。灯油を準備する必要があるため電気ストーブよりも手間がかかります。また一酸化炭素中毒や火事に注意する必要がある点はデメリットといえるでしょう。

しかし、後述するカセットガスストーブ・薪ストーブよりも燃料代が安い点がメリットです。ランニングコストをおさえつつ長期間にわたって愛用できます。

また、灯油の燃焼時に発生する水蒸気で加湿できる点も魅力です。調理器具を乗せられる天板がついた石油ストーブであればやかんでお湯を沸かせます。

なお、ファンが内蔵されている「石油ファンヒーター」という商品もあります。石油ストーブよりも速暖性が高い点が大きな魅力です。テント全体を均一にあたためるのに向いています。温度調節機能やタイマー機能などといった機能性の高さも特徴です。

ただし石油ファンヒーターはファンの稼働音がするため、静かさを求める人は石油ストーブが向いているといえるでしょう。

燃料の購入・管理が簡単な「カセットガスストーブ」

カセットガスストーブとは、CB缶と呼ばれるカセットガスボンベを使用するストーブのことです。石油ストーブに比べて暖房効果が低い点がデメリットです。

さらに気温が低いと火がつかない可能性があります。そのうえ燃料効率が低いのでこまめな燃料交換が必要です。長時間使用する場合は、予備のカセットガスボンベを用意するのがおすすめです。

一方で、燃料の購入と管理が石油ストーブよりも簡単な点は大きな魅力です。カセットガスボンベは、スーパーやコンビニなどで簡単に購入できます。さらに持ち運ぶ際にかさばりません。灯油などの液体燃料のように漏れる心配が少ないのもうれしいポイントです。

カセットガスボンベの一般的な使用期限は製造日から約7年以内とされています。長期間保管できるため、使いきれなかったカセットガスボンベは防災用として自宅に保管しておけます。

コンパクトなサイズの商品が豊富な点も特徴のひとつ。自宅で保管する際にスペースを取らないといえるでしょう。簡単に持ち運べるので、ツーリングキャンプや徒歩キャンプをする予定の人におすすめです。

本格的なキャンプ気分が味わえる「薪ストーブ」

薪ストーブとは、その名のとおり薪を燃料として使用するストーブのこと。ほかのストーブに比べて点火するまでに時間がかかります。また薪を準備する手間とコストがかかる点はデメリットです。使い終わったあとの片付けやメンテナンスが必要な点にも留意しましょう。

薪ストーブの魅力はなんといっても本格的なキャンプ気分が味わえる点です。ガラス窓のあるモデルなら、焚き火のように炎のゆらぎを楽しめます。炎が消えないよう薪の投入や火の管理をする必要はありますが、それも薪ストーブの醍醐味といえるでしょう。

市販されている薪ストーブのなかには、暖房だけでなく天板の上で調理ができるものもあります。鍋料理などの本格的なアウトドア料理を楽しめることが大きな魅力です。

なお、薪ストーブは発生した煙を煙突から排出する必要があるため、テント内で使う際は薪ストーブに対応しているテントが必要な点に注意してください。石油ストーブ・カセットガスストーブと同様に、一酸化炭素中毒と火事には十分に注意して使用しましょう。

こまめな換気はもちろん、火の扱いにも細心の注意を払い、消火器や水などの消火用具を必ず用意しておくことも大切です。

冬キャンプで使えるおすすめ暖房器具10選

冬キャンプ 暖房器具

低電力の暖房器具

低電力の暖房器具とは約500W以下の電力で動作するものです。低電力なので電源の容量に余裕がある場合や節電をしたい場合におすすめ。低電力の暖房器具は、体に直接触れるものや局所的にあたためるものが多い傾向があります。

Panasonic 電気あんか

定格出力が30Wと低電力の電気アンカです。ロングコードのコントローラーが付属しているため手元で温度調節できます。室温が20℃のときの標準表面温度は「弱」が45℃、「強」が51℃です。

重量が0.5kgと軽量なため持ち運びやすいのも魅力です。抗菌防臭加工が施されていることもうれしいポイントです。また表布はドライクリーニングできるため、清潔に使い続けやすいといえるでしょう。

新電力の料金を目安とし、1kWh=27円で計算すると1時間の電気代は約0.2円です。経済的なので自宅でも使いやすいといえるでしょう。

Panasonic 電気あんか
Panasonic 電気あんか

山善 電気敷毛布 (シングル)

消費電力が40Wの電気毛布です。敷くだけではなく、肩掛け・膝掛けなどのさまざまな使い方もできます。弱〜強で温度調節できます。強モードにすればダニ退治ができると謳っています

電力料金を1kWh=27円で計算した場合の1時間あたりの電気代の目安は「強」で約0.7円、「弱」で約0.4円です。ドラム式洗濯機は使用できませんが、洗濯機で丸洗いできることが大きな魅力です。

サイズは130×80cmなので、2人以上で使用する場合は人数分の枚数を購入するのがおすすめですよ。

山善 電気敷毛布
山善 電気敷毛布

BRUNO カーボンヒーターNOSTAL STOVE S

重さ約1kgのコンパクトサイズが特徴のカーボンヒーターです。転倒時自動運転停止機能や連続運転時(2時間)自動停止などの安全性を考慮した機能を搭載していることが特徴です。

温度調節機能があるため、消費電力を350W・600Wに切り替えることが可能です。

グレージュ・ブルーグレー・グラスグリーンの3色が展開されており、見た目もこだわりたい人におすすめの商品です。

BRUNO カーボンヒーターNOSTAL STOVE S
BRUNO カーボンヒーターNOSTAL STOVE S

タンスのゲン こたつ

消費電力が弱モードで約80W、強モードで約160Wと低電力な点が魅力です。掛け布団は洗濯機で丸洗いできるので衛生的に使えます。

天板がリバーシブルであるため、テント内の雰囲気やその日の気分にあわせてイメージチェンジが可能です。スリムな長方形なので場所を取らない点も魅力のひとつです。

1時間あたりの電気代は弱モードで約2.2円、強モードで約4.3円と謳っています。電気代が比較的安いので、自宅でも使用する予定の人におすすめです。

タンスのゲン こたつ 2点セット
タンスのゲン こたつ 2点セット

高電力の暖房器具

高電力の暖房器具とは、約500W以上の電力で動くアイテムのことを指します。電源の容量に制限がない場合や強力にあたためたい場合におすすめです。高電力の暖房器具は、主に空気をあたためるものや、広範囲をあたためられるものが多い傾向があります。

アイリスオーヤマ ホットカーペット

1〜3畳のサイズ展開があるホットカーペットです。ホットカーペットの表面温度を室温に応じて自動調節する室温センサーを搭載したモデルも販売されています。

長期間保管したあとでも気持ちよく使用できるようにダニ退治機能を搭載していることが魅力。また、こたつと併用できるので底冷えするときに活躍するでしょう。

6時間が経過すると電源が自動で切れる6時間OFFタイマーがあるので、電源を切り忘れるリスクが低いといえます。

アイリスオーヤマ ホットカーペット
アイリスオーヤマ ホットカーペット

モダンデコ セラミックファンヒーター

上下左右60度、距離2mの範囲内に人がいるとセンサーが感知して自動で運転を開始する点が特徴の商品です。温風モードは弱・強の2段階に調節できます。

消費電力は「弱」で600W、「強」で最大1,200Wと高電力です。また最大4時間の連続運転モードもあるため、テント内全体をあたためたいときに活躍するといえます。本体の奥行きが約11cmとスリムなため、自宅で保管する際も場所を取らないことが魅力です。

カラー展開がいくつかあるので、自分のキャンプスタイルやテント内のインテリアにあったものを見つけやすいといえるでしょう。

モダンデコ セラミックファンヒーター
モダンデコ セラミックファンヒーター

ポータブル用の暖房器具

Iwatani イワタニ カセットガスストーブ ポータブルタイプ マイ暖

重量が約2.6kgと、片手で持てるほど小型・軽量な点が特徴のカセットガスストーブです。電源を入れてから約1分で点火するため、すぐに暖を取りたいときに非常に便利です。

室内の酸素濃度が低くなったときに作動する不完全燃焼防止装置や、本体が倒れたり強い衝撃が加わったりしたときに自動でガスを遮断する転倒時消化装置などの4つの安全機能を搭載しています。

弱運転切替機能が付いているため、ガスの消費量を節約することが可能です。ほかの暖房器具と併用するときは、暖房力を落として連続燃焼時間を長くする使い方がおすすめです。

イワタニ カセットガスストーブ ポータブルタイプ マイ暖
イワタニ カセットガスストーブ ポータブルタイプ マイ暖

コンパクトで効率的な電気ヒーター

デロンギ オイルヒーター RHJ01A0505-DW

コンパクトで軽量なうえ、消費電力が500Wと控えめなオイルヒーターですが、放熱板から出る遠赤外線によって部屋の隅々まであたためられると謳っています。温風を出さずにあたためるので、肌や喉が乾燥しにくい点が特徴です。

放熱面積が従来型よりも1.4倍ほど大きな「ミニL字型フィン」を使用したことで、平均表面温度が70℃と高温ながらやけどの心配が少ないことが魅力です。

約80℃以上の異常過熱を検知するとヒーターの電源が切れる安全プラグを備えています。コンパクトかつ低電力ではあるものの、テント内を効率的にあたためられる電気ヒーターです。

デロンギ オイルヒーター RHJ01A0505-DW
デロンギ オイルヒーター

耐久性の高い石油ストーブ

コロナ SLシリーズ ポータブル石油ストーブ

レトロなデザインが魅力的な石油ストーブです。木造の戸建住宅なら17畳、コンクリートの集合住宅なら23畳の広さをあたためられると謳っています。タンクと本体が一体化しているため楽に持ち運べる点が魅力です。

小型ではあるものの、11時間ほど連続で燃焼できます。重量が11.2kgあるため、キャリーカートに乗せてテントサイトまで運ぶとよいでしょう。また長時間使用する場合は、必ずこまめに換気しましょう。

コロナ 石油ストーブ SL-6623
コロナ 石油ストーブ SL-6623

雰囲気を高める伝統的な薪ストーブ

Mt.SUMI Woodstove AURA ver.2

本体の3面がガラス窓になっており、炎をじっくりと眺めて楽しめる薪ストーブです。背面の二次燃焼用吸気口の位置に工夫したことで、高い二次燃焼効果を得られる点が魅力です。熾火(おきび)状態が安定するので、ピザを焼いたりオーブン料理を作ったりできます。

横型タイプの扉が大きく開くので、市販の40cmの長い薪もそのまま投入可能です。市販の薪であれば薪割りをする必要がないので、初心者の人でも使いやすい薪ストーブといえるでしょう。煙突の先端に雨が入り込まない設計の蓋がついているので突然の雨にも対応できます。

燃焼室の中に設置してある取り外し可能な耐火レンガによって蓄熱性が向上しています。また煙突の内部にもダンパーを搭載していることで少ない薪でもあたたまりやすいでしょう。

Mt.SUMI Woodstove AURA ver.2
Mt.SUMI Woodstove AURA ver.2

暖房器具以外にも暖を取れるアイテムを活用しよう

暖を取るのに使用する電気毛布やホットカーペット。電気ストーブや石油ストーブのように空間全体をあたためられないものの、ピンポイントにあたためたいときに活躍します。

ここでは、電気毛布・ホットカーペット・こたつなどの冬キャンプの寒さ対策にぴったりのアイテムを紹介します。

寝るときに使える「電気毛布」と「電気アンカ」

電気毛布と電気アンカは就寝中に暖を取れる便利なアイテムです。電気毛布は毛布のように体にかけるタイプのもので、電気アンカはマットや枕のように敷くタイプのものが一般的です。

コンセントに差してスイッチを入れれば、マットの下に敷いたりシュラフの中に入れたりするだけで体がポカポカとあたたまるでしょう。どちらも温度調節やタイマー機能が付いているものが多いため好みにあわせて使えます。

電源サイトの利用やポータブル電源の準備が必要ですが、湯たんぽのように時間が経っても温度が低下しないのがうれしいポイント。長時間使用しても空気が乾燥しにくいという特徴もあります。

電気ストーブや石油ストーブよりも安価なため、就寝時の寒さをしのぎたいという人におすすめのアイテムです。ただし、高温の状態で長時間肌に当たっていると低温やけどをする可能性があるため、説明書を確認して正しい方法で使うよう心がけましょう。

足元からあたためられる「ホットカーペット」

「テント内にいると体はあたたかいけれど、地面からの冷気で足元が寒い」という悩みがある人におすすめなのがホットカーペットです。テント内でアウトドアチェアやコットに座らず、お座敷スタイルでキャンプをする人におすすめのアイテムです。

電気毛布や電気アンカと比較して、消費電力が高く電気代がかかりやすい点はデメリットです。しかし、電気毛布・電気アンカと同様にコンセントに差すだけですぐに使用できます。またサイズが大きなものであれば広範囲をあたためられることが魅力です。

ホットカーペットのサイズは、1〜4畳程度とさまざまな大きさのものが販売されています。2〜3人用のテントであれば1〜2畳程度の大きさのものがおすすめです。ホットカーペットを敷く必要がない荷物を置くスペースも考慮して選ぶことがポイントです。

自宅のように快適に過ごせる「こたつ」

「アウトドアチェアやコットは普段座り慣れていないから違和感がある」という人にはこたつがおすすめです。サイズが大きく車への搬入が大変ですが、自宅のような快適さを求めるならキャンプにこたつを取り入れるのもひとつの手です。

なお「こたつをキャンプのためだけに購入するのはためらってしまう」という人にはこたつを自作する方法もおすすめ。熱源となる電気アンカまたは電気ストーブ・ローテーブル・毛布があれば簡易的なこたつを自作できるといわれています。

ローテーブルの下に電気アンカや電気ストーブを置き、その上に毛布をかけるだけでこたつの完成です。温度調節機能やタイマー機能がある電気アンカや電気ストーブを使用すれば快適さを高められるでしょう。

火事ややけどなどへの対策は必要ですが、これらのグッズをすでに持っている人は試してみる価値あり。ロゴスからはシュラフとこたつ布団を兼用できるアイテムも発売されているので気になる人はぜひチェックしてください。

持ち運びがラクでピンポイントであたためられる「湯たんぽ」

荷物の量を制限する必要があるツーリングキャンプや徒歩キャンプをする人には湯たんぽがおすすめです。熱源となるお湯をキャンプ場で調達できます。また軽量なので簡単に持ち運べる点も魅力です。

よりコンパクトにして持ち運びたいという人はゴム製の湯たんぽを選びましょう。金属製のものよりもコンパクトに収納できるので身軽に持ち運びたい人に好適です。

ゴム製の湯たんぽは熱が逃げやすいというデメリットがあります。一方で、素材が柔らかくて軽いので体にフィットしやすいというメリットもあります。

お湯が冷めたときのことが気になる人には充電式の湯たんぽがおすすめです。商品によっては8時間以上使用できるものもあるため、ポカポカの状態を朝まで維持できるといえるでしょう。お湯を準備する手間や水漏れの心配がない点もメリットです。

一定の温度を超えると自動的に電源が切れる商品や、肌触りのよい素材を使用した商品も販売されています。

どこでも手軽に使える「カイロ」

カイロはキャンプで手軽に使える便利な暖房アイテムの一つです。いつでもどこでも使用できるため、寒い日に行うキャンプや登山などのアウトドア活動で頼れる存在です。

カイロといえば使い捨てが主流ですが、充電式の電気カイロもあります。再充電が可能なので長期間にわたって使用できるでしょう。

充電式のカイロのなかには、使用中に温度調節が可能なものや、携帯用のポータブルなサイズのものもあります。ニーズにあわせて選びやすいでしょう。キャンプでの寒さ対策には手軽で便利なカイロがはずせません。

冷たい地面で寝るのを防ぐ「コット」

コットは暖房アイテムではありませんが、防寒対策で活用できるアイテムです。コットを使用することで地面に直接寝る必要がなくなるので、地面からの冷気を遮断して体をあたたかく保てます。

またコットは単なるベッドとしてだけでなく、椅子やベンチとしても使用できます。このようにコットは1つで多様な使い方ができる非常に便利なアイテムです。

暖房パッドや厚手の毛布をコットの上に敷くことで、体をあたたかく保ったまま就寝できます。快適であたたかな状態で眠るための選択肢としておすすめします。

キャンプの暖房器具を選ぶポイント

これまでに様々な暖房器具を紹介してきましたが、キャンプに持っていく暖房器具をどのようにして決めるべきか迷う人もいるのではないでしょうか。ここでは暖房器具を選ぶ際のポイントをいくつか紹介します。

時期

キャンプに持っていく暖房器具を選ぶ際は、キャンプの時期や使用するシーンにあわせるのが大切です。

寒冷地や冬季のキャンプをする機会が多い人には、高電力の石油ストーブ・カセットガスストーブ・薪ストーブが適しています。これらはすぐに暖を取れるため防寒対策に非常に有効です。

一方で、春先や秋の気候であれば電気ストーブ・電気毛布・ポータブル用の暖房器具が適しています。持ち運びが容易で手軽に使用できます。

シーン

屋内外のどちらで使用するかによって選ぶべき暖房器具が異なります。

気温や風の影響を受けやすい屋外で使用する場合は燃料の確保や安全性が重要です。石油ストーブやカセットガスストーブが屋外使用に適しています。これらの暖房器具は燃料が安価であり、風を受けても比較的安定した状態で使用できます。

また、ポータブル用の暖房器具も屋外での使用に適していますが、暖房能力や燃料の持続時間に制約があります。そのため短時間の使用に向いているでしょう。

屋内で使用する場合は火の取り扱いの安全性や換気が重要です。電気ストーブ・コンパクトな電気ヒーター・電気毛布などが適しています。

これらの暖房器具は換気を気にせずに使用できます。また火の取り扱いや燃料の確保の心配がないため屋内使用に適しています。

キャンプらしさを感じられる雰囲気を演出し、本格的なキャンプ気分を楽しめる薪ストーブは火の取り扱いに注意する必要があります。キャンプの目的や環境に応じて適切な暖房器具を選択し、安全かつ快適なキャンプライフを楽しみましょう。

安全性

市販されている暖房器具のなかには、万が一に備えた安全装置が搭載されているものがあります。一酸化炭素中毒や火事などを防ぐために、以下のような装置を搭載した暖房器具を選ぶとよいでしょう。

  • 過熱防止装置(オーバーヒートプロテクション)…暖房器具の過熱を防止し、火災や機器の故障を防ぐための装置。
  • ガス漏れ検知センサー…カセットガスストーブなどに搭載され、ガス漏れを検知して安全性を確保するためのセンサー。
  • 火災防止装置(フレームアウトセンサー)…火が消えた際に自動的にガスを止める装置で、事故や火災を防ぐ役割を果たす。
  • 転倒時自動停止機能…暖房器具が転倒した際に消化し、転倒による火災を防ぐ機能。
  • 不完全燃焼機能…屋内での使用時に酸素不足を検知し、自動的に機器を停止する機能で、一酸化炭素中毒や火災を予防する。

重さ

冬のキャンプは、防寒具などで荷物がかさばって重くなりがちです。そのため、軽量な暖房器具を優先して持参するのがおすすめです。

例えば、コンパクトで軽量な電気ヒーター・電気毛布・ホットカーペットなどです。持ち手がついた電気ヒーターもあるので、持ち運びやすいアイテムを選ぶ際は注目してみるとよいでしょう。

電源の有無

キャンプで使う暖房器具を選ぶ際は、キャンプ場の電源状況を把握することが重要です。キャンプ場によっては電源がない場所や、電源が提供されているものの供給電力が限られている場所があります。そのため電源の有無を確認し、使用する暖房器具を選ぶ必要があります。

電源のある場所であれば、電気ストーブや電気ヒーターなどの電気を使用する器具が便利です。一方で電源のない場所や移動が多い場合は、カセットガスストーブや薪ストーブなどの非電源タイプが適しています。

また電源がある場合でも、消費電力やコンセントの数に制限があることも考慮しましょう。キャンプ場の電源状況をよく確認した上で、その状況にあった暖房器具を選びましょう。

キャンプで暖房器具を使うときは安全対策も忘れずに

暖房器具を使うときは安全対策を必ず徹底してください。暖房器具を自宅で使い慣れている人でも、キャンプ場や屋外で使うときの注意点は改めて理解しておく必要があります。

ここでは、一酸化炭素中毒の予防・火事対策・雨が降ったときの対策などのとくに注意すべき点を解説します。

一酸化炭素中毒の予防

一酸化炭素中毒とは、一酸化炭素を取り込みすぎることによって起きる頭痛・吐き気・耳鳴りなどの中毒症状を指します。重症化すると死に至る場合があります。

一酸化炭素は無色無臭なため存在を検知しにくい場合があります。一酸化炭素中毒を防ぐために、暖房器具を使うときは次のことに注意しましょう。

  • 暖房器具の使用中・使用後は、テントの出入り口やベンチレーター(ベンチレーション)を開けて定期的に換気する
  • 一酸化炭素濃度を検知して音や光で警告する「一酸化炭素チェッカー」を使用する

自分や家族に一酸化炭素中毒の症状があらわれたら、暖房器具をすぐに消して新鮮な空気のある場所に移動してください。その後、身体を保温しつつ医療機関を受診しましょう。

一酸化炭素は少量の吸引でも人体に悪影響を及ぼし、重症化した場合は死に至る場合がある危険性が非常に高いガスです。こまめな換気とあわせて一酸化炭素チェッカーも必ず活用しましょう。

火事対策の徹底

暖房器具は火を使ったり高温になったりするものがあるので、火事対策を徹底する必要があります。火事を防ぐために次のことに注意しましょう。

  • 暖房器具は必ず安定した場所に設置し、倒れたりずれたりしないように固定する
  • 暖房器具の近くには消火器や水などの消火用具を必ず用意しておく
  • 暖房器具を使用するときは常に目を離さない。使用しないときは必ず火を消す
  • 暖房器具の燃料は適切な容器に入れて保管し、直射日光の当たる場所や暖房器具の近くに置かない

なお、芝生サイトなどでは暖房器具の輻射熱(ふくしゃねつ)で地面が焼ける場合があります。焚き火台シートやスパッタシートなどの不燃性のものを暖房器具の下に敷いて使用してください。

雨の対策

標高の高い場所では天気が急変することがあります。雨の対策も忘れずにチェックしましょう。

雨が降ったときに最も気を付けるべきことは延長コードの漏電や感電です。電源サイトを使用する場合、テント内で暖房器具を使用するために延長コードを使うことがほとんどでしょう。漏電や感電などによる火災が起こらないよう、防雨性のある屋外用の延長コードを必ず使ってください。

なお薪ストーブは、煙突は濡れても問題ないものの本体を濡らしてはいけません。煙突から雨水が流れてこないように、煙突専用の雨除けグッズを取り付けることをおすすめします。

これらの安全対策をしっかりと守ったうえで暖房器具を正しく使い、家族や友達同士で冬キャンプを楽しみましょう。

冬キャンプで活用できる暖房器具ですが、お世話になるキャンプ場や周囲の宿泊客に迷惑をかけないよう配慮するのが非常に大切です。また、安全性を考慮した使い方を理解して実践する必要があります。ルールと安全面に十分に配慮して暖房器具を使用し、家族や友達同士での楽しい冬キャンプを過ごしましょう。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。