都市近郊の東京湾で釣れる「金アジ」は、脂のりや味が別格なブランド魚。今回は初心者でも挑戦しやすい「ショットガンアジング」という釣法で金アジに挑戦します。なぜ「金アジ」は別格なのか、「ショットガンアジング」とはどんな釣り方なのか。絶品の金アジ釣りの魅力と楽しみ方を、あますところなく紹介します。

東京湾でしか味わえない、金アジの魅力とは

ショットガンアジングの紹介

東京湾に生息する“金アジ”は、一般的なアジとはまったく異なる成長環境と味わいを持つ特別な魚。湾内には河川から栄養分が豊富に流れ込み、発生するプランクトンがアジにとって最適な餌場となっています。通常のアジは広範囲に回遊してエサを探しますが、東京湾のアジは餌に恵まれた環境のもと、岩礁帯や堤防などのストラクチャーに居着くようになります。このような定住性こそが、丸々と肥えた金アジを育てる要因です。

成長したアジは、背から腹にかけて金色に輝く体色をまといます。市場でも“金アジ”としてブランド化されており、非常に高い評価を受けています。脂の乗りが良く、刺身やアジフライにした際の濃厚な味わいは格別。いつも食べているアジとの違いを、ひと口で実感できるでしょう。

では、なぜ東京湾のアジはこれほど高品質なのでしょうか。その理由は、海と人との距離が近い都市型漁場特有の環境条件にあります。人工堤防や岸壁などの釣り場が整備され、アクセスも良好。釣り人にとっては恵まれた環境と言えます。

こうした東京湾の自然環境と人の活動とのバランスが、金アジという唯一無二の魚を生み出しています。釣りの対象としての魅力だけでなく、環境資源の価値を見直すきっかけにもなります。自然との共生を意識しながら、自らの手で金アジを釣り上げる体験は、学びある時間になるでしょう。

エサ不要の新定番「ショットガンアジング」

ショットガンアジングの紹介

エサを使わずにアジを狙う「ショットガンアジング」は、東京湾で人気を集める新しい釣法です。サビキ仕掛け※1 とナス型オモリ※2 を用いて、ストラクチャーに向け何度も仕掛けを投入し、魚の反応を探ります。底に着いたらすぐに回収して次のポイントへ移動するテンポの良さが特徴です。

活性の高いアジは疑似餌に反応し、反射的に食いつくため、1度に2〜3匹が掛かることも珍しくありません。青物特有の横に走る強い引きが釣り人を魅了します。エサを使わないため臭みが少なく、帰宅後の処理も簡単です。虫エサやコマセ※3 が苦手な人でも挑戦しやすく、楽しめる釣り方です。

※1 サビキ仕掛け….1セットに5~7本程度の疑似餌針を連ねた海釣り用の仕掛け
※2 ナス型オモリ….野菜のナスのようなしずく型のオモリ
※3 コマセ….魚を集めるために海中に撒くエサ

初めてでも挑戦できる!チャーターボートの活用術

東京湾には乗合船も多いですが、チャーターボートは周囲を気にせず釣りを楽しめる方法です。船を貸し切ることで仲間同士で自由に行動できますし、船長との距離が近く、釣り方や仕掛けを丁寧に教えてもらえる点も大きな魅力。料金は乗合船より高めですが、快適さを考えれば十分に価値があります。

特にショットガンアジングのようにテンポの速い釣りでは、スペースが広いチャーターボートがベター。釣具のレンタルも整っており、手ぶらで参加できる点もメリットです。釣行プランは半日便が最適で、短時間でも金アジの引きと食味を十分に楽しめますよ。

東京湾で考える持続可能な金アジ釣り

ショットガンアジングの紹介

東京湾は都市近郊に位置しながら、多様な海洋資源が残る貴重な漁場です。しかし、人の活動による影響を受けやすく、持続可能な釣りが求められます。特に注目されるのが、撒き餌を使わない釣り方です。東京湾では、資源保護の観点から撒き餌の使用に制限が設けられています。大量のコマセが海底に堆積すると腐敗を招き、赤潮や藻の異常発生を引き起こす恐れがあるためです。

また、魚が特定の場所に集まりすぎることで、生態系のバランスが崩れる懸念も指摘されています。ショットガンアジングのようにエサを使わない釣りは、こうした問題を抑え、環境負荷を減らせる有効な釣法です。金アジ釣りは、海洋環境を守る意識を高めるとともに、自然との共生について考えるきっかけにもなるでしょう。

金アジを味わい尽くす、絶品レシピ

ショットガンアジングの紹介

釣り上げた金アジは鮮度が命です。釣った直後に血抜きと神経締めを行い、氷水で冷やして持ち帰りましょう。釣れたてならまず刺身です。皮を炙ると香ばしさと脂の甘みが際立ちます。なめろうは味噌と薬味がうま味を引き立て、お酒の肴にぴったりです。

1番のおすすめはアジフライで、ふんわりした食感と凝縮されたうま味が魅力です。魚が苦手な子どももおかわりするほど。冷めてもおいしさが保たれるため、翌日のお弁当にも向いています。

保存するなら、三枚おろしにして塩を軽く振り、キッチンペーパーで包んで冷蔵しましょう。長期保存には下味をつけて真空パックし、冷凍するとおいしさが長持ちしますよ。

東京湾の金アジ釣りは、自然の恵みを感じられる都市型アウトドアです。ショットガンアジングは手軽で環境に配慮でき、はじめてでも挑戦しやすい方法。チャーターボートを利用すれば快適に釣りが楽しめ、釣った後は刺身やアジフライで絶品の味を堪能できます。環境への意識を持ちながら楽しむことが、持続可能な釣りを守る第一歩になるでしょう。休日に特別な体験として挑戦してみてはいかがでしょうか。

Tomoyo

ライター

Tomoyo

海や川、そして食べることが大好きです!特に海が好きで釣り歴は10年。週末は夫婦で東京湾へ出かけ、小型船舶免許を活かして操船にも挑戦中。自然食など心と身体にやさしい暮らしを、日々楽しみながら取り入れています。大自然の中で過ごす時間が、何よりの癒しです。