環境問題に貢献したい人、農業に興味のある人へ。担い手不足の農家を手伝う援農ボランティアは、農作業を通じて里山の生態系を守る活動です。本記事では、気軽に参加できる援農ボランティアの活動内容や参加方法を紹介します。特別な技術や知識がなくても大丈夫!耕作放棄地の再生や自然農法に取り組み、環境保護への一歩を踏み出してみませんか?

援農ボランティアが里山を守る?

援農ボランティアについて

「農作業が環境保護になる」と聞くと、意外に思うかもしれません。日本の里山や棚田は、人が草を刈り、田畑を耕すことで維持されてきた「人とともにある自然」です。しかし今、その「人」が減少し、美しい里山の風景を維持することが難しくなりつつあります。

そこで注目されているのが、援農ボランティア。参加者が耕作放棄地の再生や有機農業へ取り組むことで、環境保護に貢献する活動として広がりを見せています。

耕作放棄地を再生する

近年、農業人口の減少により、耕作放棄地が増加。長く放置された田んぼや畑では、セイタカアワダチソウなどの外来植物が広がり、在来の生き物が住みにくい環境になっています。

耕作放棄地を減らすためにできることのひとつが、耕作放棄地を再生する援農ボランティアへの参加。荒れた農地を耕し、作物を育てることで、かつての生態系を復活させる取り組みを行っています。

有機農業に取り組む

農薬や化学肥料による環境への影響に配慮し、有機農法を実践する援農ボランティア団体もあります。

有機農業とは、化学肥料の代わりに、堆肥や有機肥料を使って土の中の微生物を活性化し、土壌本来の力を復活させる方法。化学農薬を使わないため、田んぼや畑の生き物への影響を抑えられます。

耕作放棄地の再生、自然農法に取り組む援農ボランティアへの参加は、農地を守るだけではありません。地域全体の環境保全にもつながります。

援農ボランティアで得られるもの

援農ボランティアについて

援農ボランティアは、ただの農業体験とは違います。自らの手で自然と向き合い、環境にやさしい農業に携わることで、得られるものがたくさんあります。

環境保護に貢献している実感

荒れた畑を耕し、苗を植え、作物の成長を見守る。一つひとつの作業が、生き物のすみかを取り戻すことに結びついています。

援農ボランティアでは「自分の手で環境を守っている」実感が持てるのです。

同じ想いを持つ仲間との出会い

援農ボランティアには、環境への関心や農業への興味を持った人たちが集まります。

汗を流して一緒に作業することで、自然と会話が生まれ、仲間意識が育まれることでしょう。年齢や職業を越えたつながりは、きっと特別なものになります。

地域の人との交流や温かなふれあい

援農ボランティアを通じて、地域の農家さんや住民と接する機会が増えます。

農作業のコツを教えてもらったり、とれたての野菜のレシピを教えてもらったり。土地の暮らしや知恵に触れられるのは、援農ボランティアならではの醍醐味です。

援農ボランティアに参加するための準備と心得

援農ボランティアについて

「農業は初めてで不安…」そんな人も大丈夫。援農ボランティアは、未経験者でも気軽に参加できるよう配慮されていることがほとんど。基本の準備や注意点を押さえておけば、当日も安心して作業に取り組めます。

基本の服装と持ちもの

農作業をする際の服装は、動きやすさと安全性が大切です。以下のアイテムを準備しておきましょう。

服装
  • 長袖・長ズボン(汚れてもよいもの)
  • 帽子(首の後ろまでカバーできるものがおすすめ)
  • 軍手または作業用手袋
  • 長靴
持ちもの
  • 飲みもの
  • タオル(汗拭き用)
  • 虫よけスプレー
  • 上下セットのカッパ(雨天時用)
  • 替えの靴下や着替え
  • 日焼け止め、防寒着など暑さ・寒さ対策

服装や持ちものは、自分が参加する援農ボランティア団体に事前に確認しておくとよいでしょう。

参加するときの注意点

農作業は日差しの下で行うことが多く、気付かないうちに体力を消耗しがちです。疲労や、季節によっては熱中症を防ぐため、こまめな休憩と水分補給を意識しましょう。

初めての援農ボランティアでは、戸惑うこともたくさんあるかもしれません。団体側も丁寧に教えてくれることがほとんどなので、遠慮せず頼ってみてください。

よくある質問(Q&A)

Q:農作業が初めてでも、援農ボランティアに参加できる?
A:問題ありません。多くの援農ボランティア団体では、初心者でも作業できるよう、丁寧に教えてくれます。

Q:1回だけの参加でもいいの?
A:団体によりますが、単発参加が可能なところも多くあります。

Q:ひとりで参加しても浮きませんか?
A:ひとり参加の人も多く、現地で自然と会話が生まれることもよくあります。同じ目的を持つ人たちとの出会いも、援農ボランティアの醍醐味です。

援農ボランティアに参加できる団体

援農ボランティアについて

援農ボランティアは、全国各地で募集されています。気軽に参加できる日帰り型から、数日〜数週間の滞在型まで、活動スタイルはさまざま。作業内容や場所も異なるので、自分の関心やライフスタイルに合った参加先を選ぶことが大切です。

ここからは、援農ボランティアを募集している団体と、参加希望者と農家を結びつけるマッチングサイトを紹介します。気になる団体があれば、ぜひチェックしてみてください。

【群馬】特定非営利活動法人 よいおやさい

「よいおやさい」は、群馬県渋川市を中心に活動しているNPO法人。耕作放棄地再生プロジェクトや、無農薬野菜栽培に携わる援農ボランティアを定期的に募集しています。

ブルーベリー・イチジク・タマネギ・長ネギ・人参・大根・ジャガイモ・葉物野菜・そのほか季節露地野菜などを作っている農家のお手伝いに参加できます。

ほとんどが1日のみの作業なので、日帰りで参加したい人にぴったり。東京近郊からの送迎や、長靴のレンタル(有料)もあるため、初心者の人も参加しやすくなっています。

【山梨/長野/三重/和歌山など】認定NPO法人 JUON(樹恩) NETWORK

「田畑の楽校(はたけのがっこう)」は、農業の人手不足を解消するための援農体験プログラム。地元の農家の人に教わりながら、田んぼや畑、果樹園などで作業を行います。地域の人々との交流会が行われ、農村の暮らしや文化に触れられるのも魅力です。

山梨のブドウ・長野のリンゴ・三重のみかん・和歌山の棚田など、各地に日帰り・1泊2日などのプログラムがあります。泊まりの場合は主催団体が宿泊先を手配してくれるので、気軽に参加できるのがうれしいポイントです。

援農ボランティア マッチングサイト

自治体によっては、援農ボランティアの公式マッチングサイトを運営しているところもあります。「とうきょう援農ボランティア」や「京都援農隊マッチングサイト」は登録制で農家とマッチングできるサイトです。

初心者でも参加でき、有機農業の現場で作業できる機会も。地域や農業への理解を深め、環境保護に貢献できる取り組みです。

【自治体が運営する援農マッチングサイト】

・とうきょう援農ボランティア
・京都援農隊マッチングサイト

援農ボランティアは、農作業を通じて環境保護や地域とのつながりを深められる貴重な体験です。耕作放棄地の再生や有機農業の支援など、初心者でも気軽に参加できるプログラムが多数あります。自然と向き合いながら、未来の環境に貢献してみませんか。

そらたね

ライター

そらたね

農業職公務員・食品メーカー勤務の経験をもとに、農業や食の大切さ、美味しいレシピを発信します。趣味は旅とカメラ。日本の四季を撮ること、旅行先で綺麗な海を見ることが大好き。生息地は主に田んぼ、畑、ときどき果樹園。