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スキーヤーとスキー板を繋ぐビンディング。安全性の面はもちろんのこと、バックカントリーシーンでは「ハイクのしやすさ」「滑走時の安定感」も重要なポイントです。自分の活動スタイルに合わせて、最適なモデルを見つけましょう。

バックカントリー用スキービンディングとは

バックカントリー ビンディング

バックカントリースキーでは、滑走以外にハイク(登り)があるため、ここでの疲労蓄積をいかに軽減するかを考えて、ビンディングが作られています。なかなか構造や仕組みがわかりづらいバックカントリースキー用ビンディングですが、現在の主流はスキーブーツのつま先とかかとを固定した状態から、つま先だけを固定し、かかとをフリーにすることでハイク動作を可能にするタイプです。

主な特徴は、下記の3つです。
・ヒールフリー機能(ウォークモード)がある
・ビンディングの軽量化が重視されている
・ハイク時のクライミングサポート機能がついている

バックカントリー ビンディング

ヒールフリー機能

バックカントリー ビンディング

クライミングサポート機能

ビンディングのヒールピース(スキーブーツのかかと部分を固定する金具)には「クライミングサポート」という部品が付いています。これは、かかと部分の高さを斜面に合わせて変え、登りやすくする機能です。

これらは、ハイク時の動作をスムーズにしたり、長距離移動の身体的負担を軽くしたりするためのものです。

※バックカントリー用スキービンディングは、一部を除いて基本的にはバックカントリー専用のピンホールがある「テック対応ブーツ」のみ使用できます。

バックカントリー ビンディング

バックカントリー用スキービンディングの種類

バックカントリー用のビンディングは大きくわけて主に4種類。

・テックビンディング
・ハイブリッドテックビンディング
・可変式ハイブリッドビンディング
・フレームツアービンディング

それぞれに特徴がありますので、自分の滑走スタイルや技術レベルに合わせて選びましょう。

テックビンディング

軽量化・ハイク重視のスキーヤー向け

バックカントリーシーンでのハイク時の負担軽減のため、軽量化を重要視したモデルです。テックピンをブーツのピンホールにはめて固定して使います。滑りの安定感やブーツのホールド感は、アルペンビンディングよりも劣ります。

とくに、ある程度の滑走スピードで滑るスキーヤーの場合は、アルペンビンディングよりも足元のホールド感に不安を感じるかもしれません。

バックカントリー ビンディング

テックビンディング(G3|ION 12 )

バックカントリー ビンディング

テックビンディング(G3|ION 12 )

ビンディングを軽量化するために、トゥピース(スキーブーツのつま先部分を固定する金具)とヒールピースの両方をテックピンで固定するタイプです。

おすすめのテックビンディング/G3|ION 12

軽量化とハイク重視の場合は、G3の「アイオン」やMARKERの「MARKER ALPINIST 12」がおすすめです。

つま先・かかとの両方をテックピンで固定するタイプで、ハイク時の疲労軽減のためにビンディングが軽量化されています。ロングルートをクライム&ライドを繰り返すロケーションに最適です。

ハイブリッドテックビンディング

ハイクと滑走性のバランスを優先したいスキーヤー向け

バックカントリー ビンディング

ハイブリッドテックビンディング(MARKER|KINGPIN 13)

バックカントリー ビンディング

ハイブリッドテックビンディングのピースを固定した状態(MARKER|KINGPIN 13)

従来のテックビンディングとの大きな違いは、トゥピースはテックピン、ヒールピースは従来のアルペンビンディングと同様に、ブーツの広い面で固定します。そのため、より高いホールド感を実現しました。

おすすめのハイブリッドテックビンディング/MARKER|KINGPIN 13

テックビンディングのトゥピースに、アルペンビンディング並みのホールド感を備えたヒールピースの組み合わせです。

Marker Kingpin 13 スキービンディング
Marker Kingpin 13 スキービンディング

 

可変式ハイブリッドテックビンディング

フリーライド好きな滑走重視派のスキーヤー向け

バックカントリー ビンディング

ダイナミックなバックカントリーフリーライドや、エアー&トリックもパウダーで楽しみたいスキーヤー向けビンディングは、剛性重視のアトミックやサロモンのSHIFT(シフト)、マーカーのDUKE PT(デュークPT)が挙げられます。

代表的なSHIFTとDUKE PTは、滑走時はアルペンビンディング同様の剛性があり、ハイクモードではテックビンディング使用に変更可能な可変式トゥピース構造になっています。

滑走時:トゥピースとヒールピースの両方をブーツのコバ(ブーツの広い面)で固定
ハイク時:トゥピースをテックピンに変更し使用します。

ハイク時の足の負担を軽減するテックビンディングの固定方法と、安定感を感じられるアルペンビンディングの固定方法の2つのよさを合わせ持ちます。ビンディングの構造が複雑なために重量があり、ハイク時の体への負担は多少の覚悟が必要です。
※SHIFTとDUKE PTの大きな違いは、デュークPTは重量とハイク時の負担軽減するためにハイクモードではカバーが外せるようになっています。

バックカントリー ビンディング

MARKER|DUKE PT 12

また、テックピンを固定した状態から、コバで固定する状態に切り替えるときの操作回数が多いため、実際のバックカントリーフィールドでは、慣れるまではわずらわしく感じることもあります。

バックカントリー ビンディング

MARKER|DUKE PT 12
(左上)ハイブリッドビンディングのスキーモード
(右上)ハイブリッドビンディングのハイクモード
(左下)クライミングサポート使用時
(右下)ハイクモードのときは、トゥーピース部品を一部外す仕組になっている

おすすめの可変式ハイブリッドテックビンディング

SALOMON|S LAB SHIFT 13 MNC

アトミックやサロモンの「シフト」は、滑走時につま先とかかとの両方をブーツの広い面で押さえるタイプで、着脱のしやすさがアルペンビンディングにより近い感覚と言えます。ハイク時にはテックピン装着への切り替えが必要です。

SALOMON S LAB SHIFT 13 MNC
SALOMON S LAB SHIFT 13 MNC

MARKER|DUKE PT 12

デュークPTはより一層剛性を備え、トゥーピースカバーを外すことでテックピン仕様に足元を軽量化できる仕様です。

フレームツアービンディング(アルペンブーツ用)

従来のブーツで体験してみたいスキーヤー向け

バックカントリー ビンディング

MARKER F10 TOUR

ビンディングを載せたフレームごと、かかと部分が持ち上がるタイプ。特徴は、アルペンビンディングと同様のホールド感が得られる点です。

おおきな特徴は、一般的なアルペンブーツでの使用が可能。ゲレンデスキーとバックカントリースキーで、スキーブーツを兼用したい方や、今持っている道具でとりあえずバックカントリースキーをはじめてみたいスキーヤーにおすすめです。

重量があるので、ビンディング全体を持ち上げるときの、足上げの疲労感は大きくなります。ほかのバックカントリー用スキービンディングとは異なり、つま先が固定されている支点が遠く、足上げ感覚もテックビンディングとは異なるため慣れが必要です。

おすすめのフレームツアービンディング/MARKER|F10 TOUR

とりあえずバックカントリースキーを体験してみたい場合は、一般的なスキーブーツで装着可能なフレームツアービンディングがよいでしょう。

 
取材協力:アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 札幌発寒店

バックカントリー用のスキービンディングは、スキーヤーが求めるシーンに合わせて選べるようラインアップされています。どのビンディングにも特徴があるので、自分がとくに重視したい点に合わせて選ぶのがよいでしょう。また、スキー板へのビンディング取り付けや解放値の調整は、安全に直結する重要な作業になるので、専門的な知識をもったスタッフが常駐するお店に依頼しましょう。

ライター

MORITAX

スキー専門誌にライター・編集者として在籍し、現場取材から選手スキー技術解説記事、ニューアイテム紹介まで幅広く担当。現在はライター・編集者として、スキーのみならずアウトドア関連の情報発信にも携わる。趣味はスキーヤーとキャンプで、スキー歴は30年以上。最近はカヌーでいろいろな湖に行くのが楽しみの一つ。