園田さんがライフセーバーになった経緯
園田さんのライフセービング人生は、高校でライフセービングクラブに入部したときから始まりました。
もともと中学生のときから水泳をやっていたそうですが、高校に入るまでライフセービングに興味はそんなに無かったそう。
「3つ年上の幼なじみが、昭和第一学園高等学校のライフセービング部に所属していて。
僕が入学するときにはもう卒業しちゃってたんですが、入学したらライフセービング部に行ってみなって言われて、部活説明会のときに行ってみたんです。
そしたら、顧問の先生に『○○(幼なじみ)の知り合いか?』と聞かれて、半ば強制的に入部する流れになりました。(笑)」
あまりポジティブな理由で始めたわけではないけど、それがライフセービングとの出会いだったと言います。
ライフセービング部に入部してからは、基礎体力をつけるためのトレーニングに明け暮れる日々。
学校の近くに海があるわけではなく、プールも無かったので、陸上トレーニングがメインだったそうです。
また、それだけではライフセーバーとしての専門知識や技術はなかなか練習できないので、夏場は藤沢の鵠沼海岸と、伊豆諸島の神津島(先生の出身浜)でライフセーバー体験をして、実地経験を積んだそう。
そんなトレーニングの中で、最初にツラいな~と思ったことは?
「人を担いで浜から上がってくることがこんなにもキツいのか~と…。
周りには軽々持ち上げてるように見えるみたいなんですが、結構ツラいんですよ。」
大人の男性だと60kg以上あったりするわけだから、確かにそうですよね…(汗)
ライフセーバーの人たちって本当にスゴイ!
ライフセーバーになるための資格について
一人前のライフセーバーとして浜に立てるようになるには、日本ライフセービング協会が認定する「ベーシックサーフライフセーバー」という資格を持っていることが条件となります。
現在、ベーシックは高校生以上なら誰でも取得できる資格ですが、園田さんが高校生だった頃は、まだこの制度はありませんでした。
当時は「BLS(一次救命処置)」や「ウォーターセーフティー」などの資格もなく、これらは比較的新しい資格なんだそうです。
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今のように協会が制度を整えたおかげで、ライフセービング資格は以前より取りやすくなりました。
ライフセービングの資格は、ベーシック、アドバンス、アシスタントインストラクター、インストラクターと、段階を踏んで上を目指すことができます。
まず最初の一歩であるベーシック、ズバリ合格率はどんなものなのでしょう?
「ベーシックは落とす試験ではないので、ちゃんと勉強して実技も練習すれば、基本的には受かります。
アドバンスになると、技術のレベルが上がり知識も増えるので、結構しっかり勉強しないと難しいです。
インストラクターになると更に難しくなるので合格率はどんどん下がっていきます。受からない方も中にはいますね。」
ベーシックを取ってから、インストラクターを取るのにどれくらいの時間がかかりますか?
「僕はインストラクター目指してたんですけど、なかなか取るタイミングがなくて。
協会の仕組み自体も今と違っていて、アドバンスを取ったらワンシーズンパトロールしないとインストラクターを取れないという決まりもあったんですよ。
今はすぐとれるような仕組みになっていますけどね。
だから僕は、1年でベーシック、3年でアドバンスを取って、その2年後にインストラクターを取りました。」
では今はギュッと短い期間でとることも可能なんですか?
「インストラクターは、BLSのインストラクター、ウォーターセーフティのインストラクター、サーフのベーシックアドバンスを含めたインストラクターっていうのがあって、サーフのインストラクターを取るには、この2つのインストラクターを持っていないと取れないんです。
以前よりは取りやすいと思いますが、結構段階を踏まなきゃいけないんですよ。
サーフのインストラクターになると、2日間の合宿形式を2週間に渡ってやったりもするので、社会人の方は休みが取れないと厳しいでしょうね。」
なるほど、そうすると、学生さんは学生のうちにできるだけ資格を取っちゃった方が良さそうですね。
ライフセーバーの方たちは、社会人になってもライフセービング活動を続けられるように、公務員など時間を作りやすい職業に就く方も多いそうですよ。
女性のライフセーバーの活躍
ライフセーバーは男性のイメージが強いかもしれませんが、取材をした日も女性のライフセーバーを何名か見かけました。
しかし、ライフセーバーの男女比の割合は7:3くらいで、やはり女性は少ないそう。
体力的にかなりハードなライフセービング活動ですが、男性も女性もやることは変わりません。
男性顔負けの力強さと女性特有のたおやかさを持ち合わせた女性のライフセーバー、かっこいいですよね。
園田さんは、女性のライフセーバーがもっと増えてほしいという思いがあるそう。
「パワーとか技術では男性の方が勝ることも多いですけど、女性には女性にしかできないこととか、女性にしか寄り添えない部分があると思うので、是非増えてほしいです。
比較とか区別するわけじゃないですけど、男性のお客さんってやっぱり女性に話しかけられた方が話しを聞いてくれるんじゃないかなって個人的に思います。
女性のライフセーバーのスペシャリストがどんどん増えれば、それも水辺の事故を減らすことにつながると思うんです。」
声をかけても聞いてくれないお客さんもいるんですか?
「まだライフセービングを始めたばかりで、体が細くてナヨナヨしていると、サーファーの人とか地元の人とかは、『なんだよ~』みたいな感じになることも。
でも、ライフセーバーはそれではいけないので、そのためにも体を鍛えています。
僕はそんなこと絶対に言わせないです!(笑)」
さすがにこれだけムキムキの園田さんの言うことを聞かない人はいないでしょうね。(笑)
ライフセービング界は、女性の活躍の場も均等に与えられています。
やってみたいという女性はどんどんチャレンジしてほしいです。
向き不向きより、やるかやらないか
最後に、ライフセーバーに向いているのはどんな人なのかを伺ってみました。
「コミュニケーション能力が高い人は向いてると思います。
コミュニケーションが苦手な方は、サーフレスキューというところは難しいかもしれない。
ただ、向き不向きというより、やるかやらないかなので、誰でもできることだとも思います。
命に関わる現場なので、誰でもできるっていう言い方が正しいか分からないですけど。
ライフセービング活動は浜に立つことだけが全てではなく、環境活動とか、教育とか、スポーツとかいろいろあって、どんな人でも活躍できる分野がきっとあると思います。
協会の方針としては、教育はこれからのライフセービングの普及において最も重要だと言っています。
あとスポーツ分野も不可欠ですね。
向き不向きというよりほんと、やるかやらないかなので、やりたい!と思ったら強い信念を持ってやりぬいて欲しいです。」
お客さんに声をかけたり、メンバー同士の連携だったり、コミュニケーション能力を活かす場面は多いようですね。
しかし、そうした部分は経験しながら育っていくものでもありますし、苦手と感じれば、他の分野でライフセービングに関わることもできます。
ライフセービングは限られた人だけができる活動ではなく、老若男女、どんな人にもできる活動です。
興味がある方は、是非挑戦してみてください!
協力:Guard (櫻井興業)
協力:日本ライフセービング協会
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。