アメリカのパークレンジャーとは
アメリカのパークレンジャーとは、どのような仕事なのでしょうか。パークレンジャーの目的・仕事内容・収入を説明します。
アメリカのパークレンジャーの目的
アメリカのパークレンジャーの目的は、国立公園の自然を保護することです。国立公園を訪れた人といっしょに園内をめぐることもあります。来訪者の安全に配慮しながら、自然について教えるのも仕事のひとつです。
また、ひとくちに「パークレンジャー」といっても、その役職は以下のようにさまざまありますよ。
- 環境教育スペシャリスト
- 公園活動コーディネーター
- パークマネージャー
- パークナチュラリスト
- プログラムマネージャー
アメリカのパークレンジャーには、多くの役割があることがわかりますね!
出典:Criminal Justice「Park Ranger: Career Guide」
アメリカのパークレンジャーの仕事内容
パークレンジャーは、おもに国立公園内で働きます。仕事内容を大きくふたつに分けて紹介しましょう。
インタープリティブ・レンジャー
国立公園でのガイドツアーや講演などを実施し、来訪者を対象に学ぶ場をつくるレンジャーです。園内の道や気象などについての情報を集め、来訪者に伝えます。
プロテクション・レンジャー
医療・消防・救助などを通して、公園と来訪者をまもるレンジャーです。プロテクション・レンジャーの多くは、アウトドアでの事故や医療に関する資格をもっています。
出典:sca®「Everything You Wanted to Know About Park Rangers」
アメリカのパークレンジャーの平均年収
アメリカのパークレンジャーの平均年収は、28,196ドル(2018年)という統計があります。アメリカの国勢調査局によると、2018年の世帯収入の中央値は、アメリカ全土で年間約62,000ドルです。それと比べると、パークレンジャーの年収は低く思えるかもしれません。
しかし、パークレンジャーの働き方には、フルタイムのほかにシーズン限定での雇用もあります。また、勤務地や役職などでも収入が異なってくるため、一概に年収が低いとはいえないでしょう。
出典:
CareerExplorer「Park ranger salary」
United States Census Bureau「U.S. Median Household Income Up in 2018 From 2017」
アメリカでパークレンジャーになるには
アメリカでパークレンジャーになるには、以下の7つのステップを踏む必要があります。
①条件を満たしているか確認する
②ウェブサイトから求人に応募する
③背景調査を受ける
④試験(PEB)に合格する
⑤健康診断に合格する
⑥薬物検査に合格する
⑦採用後は研修を受ける
アメリカのパークレンジャーは、アメリカ市民であることが条件です。また、アメリカの運転免許証をもち、21歳以上でなくてはいけません。
加えて、レンジャーには専門の分野での学歴と経験が必要です。大学で専攻する分野としては、自然科学・地球科学・考古学・人類学などがあげられます。
こうした学歴に加え、ガイドやレクリエーションに関する業務の経験もあれば理想的です。このような経験をつむために、アメリカではインターンシップやボランティアを実施しています。
日本のレンジャーについて知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてくださいね。
「日本の自然を守るレンジャー(自然保護官)のお仕事が気になりました♪」
出典:Criminal Justice「Park Ranger: Career Guide」
アメリカのパークレンジャーに向いている人とは
どんな人がアメリカのパークレンジャーに向いているのでしょうか。必要な能力・資質を3つあげて説明します。
体力に自信がある
パークレンジャーの仕事には、体力が必要です。国立公園のなかでは、徒歩でしか入れないエリアで作業をすることがあります。山道を歩いたり、川を渡ったりすることもしばしば。パークレンジャーは、移動や力仕事が多い仕事なんです。
コミュニケーション力がある
チームでの仕事が多いパークレンジャー。結束力のあるレンジャーチームにするためには、コミュニケーションが欠かせません。また、アウトドアの仕事では、常に危険がともないます。そんな環境でのチーム活動では、コミュニケーション力が重要ですよね。
環境への順応力がある
環境に順応する能力もパークレンジャーには必要です。アメリカにはさまざまな環境の国立公園があります。たとえば、イエローストーン国立公園は、気温が-15℃にもなるシーズンがあるんです。パークレンジャーは、そんなアメリカの大自然のなかで暮らしに順応しなくてはいけません。
また、パークレンジャーは国立公園の近くで生活します。そのため、現地のコミュニティに順応することも大切ですね。
100歳のアメリカ人パークレンジャーのおはなし
アフリカ系アメリカ人のベティ・レイド・ソスキンさんは、2022年3月末をもって、100歳でパークレンジャーを引退しました。彼女は長年パークレンジャーとして、訪れた人々にアメリカの大自然と歴史、自らの経験を伝える仕事をしてきたのです。
アメリカの国立公園局は、1916年に設立されました。ソスキンさんによると、当時のレンジャーのほとんどは白人男性。しかし、100年以上がたった2021年には、女性が37.8%、非白人系が21.5%にまで成長したのです。
ソスキンさんは第二次世界大戦を経験しています。当時、ジム・クロウ制度という人種隔離の影響から、自らが望む仕事に就けませんでした。その後、時代が変わり、ソスキンさんは国立公園局で臨時の職員として働きはじめます。そして、2013年にレンジャーとしての採用が決まったのです。
ソスキンさんのレンジャーとしての仕事には、国立公園を訪れる人々に、アメリカの栄光や悲惨な歴史を語り継ぐことも含まれていました。ソスキンさんは、そんなアメリカの国立公園のありかたを賞賛しています。
パークレンジャーは、アメリカの歴史とともに発展してきたんですね。
出典:アメリカ大使館 アメリカン・ビュー「 アメリカのストーリーを語る100歳のパークレンジャー]
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。