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比叡山から大文字山に至る東山一帯の地形を形成するのはホルンフェルスという火山地帯特有の鉱物といわれています。北白川一帯は花崗岩や白川砂も採取され、マグマ活動があったのもうなずけます。メカニズムや歴史を知って登山すると想像がかきたてられます。
 

比叡山や大文字山の地形を形成したのはマグマ活動だった!?

比叡山 大文字山

画像両側の高い山が比叡山(左)と大文字山(右)

NHKの人気番組「ブラタモリ」でも紹介されていましたが、比叡山から大文字山に至る広大なエリアは、カルデラ状の地形をしています。約6,700万年前に、この辺りはマグマ活動によって隆起して山になったといわれています。

地中から高温の花崗岩がせり上がり、花崗岩の高温で周囲の堆積岩が焼かれて、このエリアを囲むようにして変性されたのが硬い鉱物ホルンフェルスです。

つまり、比叡山の山頂から大文字山にかけて、円を描くように硬い鉱物ホルンフェルスが取り囲み、中央部の柔らかい花崗岩が風化して露出し、雨風によって削られて、現在のようなカルデラ状の地形になりました。

比叡山と大文字山の2つの山が高く突き出しているのはホルンフェルスのせい?

約6700万年前に熱い花崗岩がマグマ活動によって隆起し、周囲の岩石を熱で溶かしてホルンフェルスという硬い鉱物が変性されました。

このホルンフェルスは非常に硬いため、なかなか風化せず、花崗岩の部分だけが長い年月の間に風化して流れ出し、周囲のホルンフェルスの部分だけが残されました。

その結果、ホルンフェルスで構成されている比叡山と大文字山の2つの山だけが高く空に突き出す形になったのです。

比叡山 大文字山

龍安寺「石庭」

京都の寺社仏閣や名庭園で使用されている白川砂

ホルンフェルスで丸く囲まれたエリアには、かつて花崗岩の石切り場がありました。京都の歴史的な建造物に使用されている御影石はすべてここで産出された「白川石」だといわれています。

また、花崗岩が風化して白川を伝って流れ出した「白川砂」は、京都のほとんどの庭園で使われてきました。有名な龍安寺「石庭」の白砂も「白川砂」です。

 

日本仏教の根本・都の鬼門を守ってきた「比叡山」に登ってみよう!

比叡山 大文字山

比叡山

比叡山(標高:848m)へは叡山電鉄の八瀬駅からケーブルカーで登れますが、せっかくなので歩いて登山してみましょう。滋賀県側からのルートもありますが、一般的なルートは、修学院離宮から登る「京都ルート」です。

登山口へは、叡山電鉄の修学院駅を下車して東へ進み、白川通りまで出ます。白川通りに沿って少し北上すると音羽川があるので、今度は音羽川に沿って山の方へ登ります。修学院離宮は音羽川左岸の鬱蒼と茂った森の中にあります。

修学院離宮を左手に見ながらさらに音羽川沿いを登ると、「雲母坂登山口」が見えてきます。「雲母坂登山口」までは緩い川沿いの道でしたが、「雲母坂登山口」からは急こう配の登り道です。

「雲母坂登山口」から登山道を30分ほど登ると「水飲対陣跡」に出ます。ちなみにこの登山コースは、かつて後醍醐天皇が吉野へ落ちのびる際に比叡山へ逃れたコースだといわれています。

「水飲対陣跡」は、後醍醐天皇の従者「千種忠顕」が追手の足利直義と戦った場所なので対陣跡と呼ばれています。「水飲対陣跡」から分岐するもう一つのルートに、東山の尾根を伝って「大文字山」方向へ向かう「京都トレイルコース」があります。

比叡山山頂へは、左側のケーブル比叡駅を目指すルートを登ります。「水飲対陣跡」からは比叡山登山でもっとも急こう配の坂道が続きます。「水飲対陣跡」から約1時間登ると「ケーブル比叡駅」に出ます。

「ケーブル比叡駅」から延暦寺を経て比叡山山頂まで30分ほどです。「雲母坂登山口」からの所要時間は、普通の脚力で3時間といったところでしょうか。比叡山の山頂には「星野リゾート・ロテルド比叡」があります。

あらかじめ予約しておくと、ゆっくりくつろいで登山の疲れが癒せますよ。

 

五山の送り火で知られる「大文字山」に登ってみよう!

比叡山 大文字山

筆者撮影:大文字山

「大文字山」(標高:466m)は五山の送り火で有名な山です。日頃から気軽に登れる登山コースとして周辺住民から親しまれています。登山コースはいくつかありますが、中心は銀閣寺から登るルートです。

京都市バスの銀閣寺道バス停か、京阪電車の出町柳駅から今出川通りを東に進み、突き当りにあるのが銀閣寺です。銀閣寺境内の北側に大文字山の登山口があります。

銀閣寺から30分ほど登ると、送り火で使用される「大文字火床」が見えてきます。「大」の字の一番下の火床から大文字山の山頂までは約30分の所要時間です。

比叡山 大文字山

大文字山の火床

低い山だと油断してはいけません。かなりの傾斜がある本格的な登山ルートです。大文字山の山頂からは、転々と並ぶ火床の向こうに京都市内が一望できます。なお、8月16日の五山の送り火が行われる日は入山できません。

大文字山の麓には、摘み草料理で有名な「草喰なかひがし」があります。美山荘で料理長を務めた中東久雄氏のお店です。ノスタルジックな雰囲気の中で京料理が味わえますよ。※要予約

 

比叡山から大文字山にかけての一帯は太古の時代にマグマ活動によって形成されました。ホルンフェルスで囲まれたカルデラ地形の中央部分には比叡平(標高:400m)という街があり、現在は3000人ほどが暮らしています。近くには「京都北白川天然ラジウム温泉」という温泉施設があり、登山の疲れを癒してくれます。血行が良くなり全身の疲れがとれる良い温泉ですよ。日帰り入浴も可能なので立ち寄ってみてください。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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