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マウンテンバイクで道路を走るのに飽きたというイタリア人に人気なのが、トロッコ軌道跡を通るルートです。トロッコ列車というと、車体の上半分が開放されていて風景を見るのに適した乗り物ですが、ここでいうトロッコ列車は2つのダムの行き来や作業に必要な用具などを届ける目的で使われていたものです。今回ご紹介するトラッチョリーノは、トロッコ列車の軌道跡がいまだに残っていて、そのルートを歩いたり、自転車で走ることができます。ここではこのトラッチョリーノについて、2回にわたって解説しましょう!

コモ湖を一望できるヴァルテッリーナ渓谷

 

トロッコ軌道跡があるルートは、ミラノから北に100kmほどのところにある、ヴァルテッリーナ渓谷にあります。

コモ湖畔から渓谷まではひたすら登り道で4km程ありますが、そこを登ったところにトラッチョリーノの出発点があります。

トラッチョリーノは標高920mのところにあり、トロッコ軌道跡自体はあまり長くなく、10kmほどの長さです。

トラッチョリーノは歩きの人と自転車の人しか入れない専用道になっています。

トロッコ軌道跡が残っているところが終わっても山道は続いているので、次の山であるコデーラや、途中の集落のサン・ジョルジョなど自分の好みでルートを選ぶことができます。

ルートの説明に入る前に、簡単にイタリアでの自転車環境についてお話しましょう。

イタリアと言うと、フェラーリやランボルギーニ、またはマセラッティというように世界最高峰の車が作られた国ということで、自転車のイメージは薄いかもしれませんが、実は意外にも自転車大国なのです。

環境的にも、自動車が侵入できない自転車と歩行者専用の道路が整備されているところが多いです。

人や車が多い市街地では少ないですが、山、湖、川沿いなど美しい自然を満喫できるところは、こういった道が整備されているところが多く、マウンテンバイクやクロスバイクなどと歩行者の両方にとって安全に楽しむことができるのです。

トラッチョリーノもこのような歩行者と自転車専用の道路になっているので、子供連れにも人気のルートになっています。

 

A11 地球の歩き方 ミラノ ヴェネツィアと湖水地方 2019~2020/地球の歩き方編集室
A11 地球の歩き方 ミラノ ヴェネツィアと湖水地方 2019~2020/地球の歩き方編集室

 

元々は2つのダムの間をつなぐもの、そしてメンテナンス用に使用

 

トラッチョリーノのトロッコ列車は、1930年代に2つの小さなダムをつなぐ乗り物として、そしてメンテナンスの補助用に使われていました。

トロッコ列車が使われなくなってからは、登山者が登山道の一部として使っていましたが、約8年ほど前に整備されたトレッキング・サイクリング道路として生まれ変わりました。

この工事の前までは、柵などもなく、地元の知る人ぞ知るというスリルのある山道でした。

しかし今では柵やベンチなどもところどころに設置され、とても使いやすくなったこともあり、最近では土日は混み合う程の人気スポットに。

トロッコの幅は約60cmほどで、軌道跡の内側と外側の両方をマウンテンバイクで走ることができます。

なんといってもトラッチョリーノは標高が高いので、自転車を走らせると、歩きながら眺めるよりも、視点が高くて最高の風景を満喫することができます。

ヴァルテッリーナ渓谷は連なる山々はもちろん、その下にはコモ湖があり、その展望は最高です。

また、ラッキーならばリスやシカなどの野生動物と遭遇することも。

野生動物ではなくても、夏になるとヤギが放牧されているので、このヤギが道を塞いでしまっていて、ヤギの間をゆっくり縫うように進まなくては行けなかったりするのも楽しいものです。

 

 

真っ暗なトンネルが大人気

 

トラッチョリーノは2つのダム間をつなぐ道として作られたものですから、岩をくり抜いて道を作られた部分なども多くあります。

そのため、トラッチョリーノには大小合わせて22ものトンネルがあり、中には高さが1,6m〜1,8mぐらいの低いところもあります。

トンネルでも高さがあまりない所は、マウンテンバイクを降りて通らなくては行けない場合もあります。

また真っ暗なトンネルもいくつかあります。電気があるところもありますが、1番大きなトンネルは時間式の電気のため、歩いている間に時間切れになり、真っ暗になってしまうこともあります。

このため、ヘッドライトなどの用意が必要になります。

真っ暗の中をヘッドライトだけで、マウンテンバイクを押しながら通るのは、見えない怖さと同時に、なんだかワクワクする場所と言えます。

トロッコ軌道跡が人気なのは、このようにバラエティに富んだ道のためかもしれませんね。

 

単語でカンタン!旅行イタリア語会話/キアラ カタヌート, 井内 梨絵
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トロッコ軌道跡であるトラッチョリーノを走るには、水や食料も調達してからでないといけません。なぜなら、途中にレストランやキオスクといった、ちょっとした物を買えるところがまったくないからです。ちょっと文明とは離れますが、そういったところもトラッチョリーノの魅力かもしれません。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。