初心者ダイバーのなかには、タンクのことを酸素ボンベと呼んだり、材質の区別がつかなかったりする人も少なくありません。そこで今回はダイビングの空気タンクについて最低限知っておきたい知識をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

ダイビング中、呼吸しているのは酸素じゃなくて空気!

ダイビング タンク

ダイビングライセンスを所有している人のなかにも、呼吸用の空気が入ったタンクのことを正しく理解している人は少ないようです。

まず、基本中の基本ですが、ダイビング用タンクの中に入っているのは「酸素」ではなく「空気」。空気とは窒素が約78%、酸素21%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.03%の気体です。

ダイバーが背負っている金属製の容器を「酸素ボンベ」と呼ぶ人がいますが、酸素ボンベは酸素吸入器など医療用で使う黒いシリンダーに入ったもの。

ダイビング中に使用するものは「空気タンク」になるので間違えないようにしましょう。

ほかにも「シリンダー」「ボトル」「瓶」などと呼ばれることもありますが、一般的には「タンク」と呼ぶのがよいでしょう。

ダイビングタンクの中身は圧縮空気

ダイバーが水中で呼吸しているのは「空気」です。

最近では潜水病リスクを減らすために「ナイトロックス」や「エンリッチドエア」と呼ばれる、酸素が割合を高くした空気が使われることがありますが、基本的には私たちが日常的に呼吸しているものと同じ空気です。

この空気を、コンプレッサーを使っておよそ200気圧という高い圧力でタンクの中に詰めています。

この空気のことを一般的に「圧縮空気」と呼んでいます。 タンクのバルブを少し開けただけで、プシューと中の空気が勢いよく吹き出すのはこのためです。

よりも圧縮空気をそのまま呼吸することはできませんので、レギュレーターでダイバーが呼吸可能な圧力まで調整しています。レギュレーターを直訳すれば「調整器」 という意味になります。

 

タンクの中にはどれくらい空気が入っているの?

ダイビング タンク

空気タンクのサイズには、4L・8L・10L・12L・14Lと、さまざまな容量がありますが、最も多く使われているのが10Lタンクです。

この10Lタンクに200気圧の空気を充填した場合、1気圧が10Lですから2000Lもの空気が圧縮されていることになります。また、空気1Lの重さは約1.2gですから、重さにすると2.4㎏ほどになります。

よく「タンク1本でどれくらい潜っていられるの?」と聞かれることがありますが、大人の男性なら1分間に6400~8000mlの空気を呼吸すると言われていますで、単純に考えると約250分呼吸できる空気が1本のタンクに詰まっていることになります。

ただしこれは陸上での話。

水中で呼吸する空気は、陸上で呼吸する空気よりも気圧の高い空気、分かりやすく言えば圧縮された空気を呼吸しています。そのため空気の消費量が早くなります。

さらに、深く潜れば潜るほど空気の気圧も高くなるため、空気の消費量もさらに増えてくるのです。

また、タンク1本で潜っていられる時間は深度だけではありません。ダイバーの体型や運動量、水温などの環境の影響によっても空気の消費量は変わってきます。

空気の消費量についてもっと詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

初心者ダイバーの悩みを克服!ダイビング中のエア消費量を減らすコツ

スチールタンクとアルミタンクの違い

ダイビング タンク

ダイビングで使用するタンクには、スチール製とアルミ製のふたつの材質があります。

スチール製タンクは硬いためタンクの外側の衝撃に強く、外寸法が同じサイズのアルミ製タンクと比べてより多くの量の空気をためておけます。

一方、 アルミ製タンクはスチールに比べて柔らかいため、タンクの壁を厚くする必要があり相対的に内容積の小さくなってします。ただし、スチールに比べて錆びにくいという特徴があります。

いずれのタンクにも長所と短所がありますが、圧縮空気を充填するという基本的な用途に関しては変わりありません。

ただし、スチールとアルミという材質の違いがダイビングに影響を及ぼすということを知っておく必要があるでしょう。

タンクの材質の違いによる浮力の変化

ダイビングの後半になって体が浮きやすいと感じたことのあるダイバーも多いのではないでしょうか。もしかすると、それはアルミタンクの性質によるものなのかもしれません。

アルミタンクは、空気が減ってくるとプラス浮力になりタンクが浮いてきます。そのため、アルミタンクで潜るときは、ダイビング後半の浮力変化を考えてウエイトを調整する必要があります。

一方、スチールタンクは空気が減ってきてもマイナス浮力を保っています。そのためアルミタンクよりもウエイトを2kgほど軽くすることができます。

浮力の少ない薄手のウエットスーツで潜るなら、ウエイトなしでも潜ることも可能です。

タンクの材質の違いによる総重量の変化

最もポピュラーな10Lスチールタンクの重量は13kg。ここに200気圧の空気を充填してバルブも含めると総重量は約16kgになります。

一方、10Lアルミタンクの重量は14kg。空気を充填してバルブも含めた総重量は約17kgになります。

実は、陸上ではスチールタンクよりもアルミタンクの方が重たいのです。ではなぜ、水中ではスチールタンクの方がアルミタンクより軽くなるかというと、タンクの浮力が影響しているのです。

つまり、スチールタンクよりもアルミタンクの浮力が大きいので、陸上では重いのに水中では軽くなってしまうのです。

ダイビングで使用する空気タンクについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。ダイバーが背負っているのは酸素ボンベではなく空気タンク、そして、水中ではスチールタンクよりもアルミタンクの方が浮きやすい、ということはダイバーとして最低限知っておきましょう。

ライター

Greenfield編集部

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