唐松岳について
唐松岳は、富山県黒部市と長野県北安曇郡白馬村をまたがる標高2,696mの日本で93番目に高い山です。
唐松岳には上犬ヶ嶽という別名があり、その北には後立山連峰を縦走するルートの最難関とされる不帰嶮(かえらずのけん)があります。
不帰嶮とは、なんとも不穏なネーミングですが、実際にとても危険な岩峰です。
日本三大キレットの1つ「不帰キレット」としても知られています。
唐松岳の東側には、長野オリンピックでアルペンスキーの競技が行われた八方尾根があり、南の鹿島槍ヶ岳へつづく後立山連峰にも日本三大キレットの一つ「八峰キレット」という難所があります。
登山初心者の方は、後立山連峰縦走ルートへの立ち入りを避けたほうが安全です。
また、東側には急峻な黒部峡谷が流れ、谷沿いに祖母谷温泉などの名湯が点在しており、黒部峡谷を挟んでその西側には剣岳や立山といった北アルプスの主峰がそびえています。
初級者も登りやすい登山ルートは?
八方尾根ルート
唐松岳登山でもっともポピュラーな登山ルートです。
白馬八方尾根スキー場から、ゴンドラやリフト(ゴンドラ1本、リフト2本)を乗り継いで、標高1,830mの八方池山荘までたどり着くことができます(所要時間は40分)。
八方池山荘から唐松岳の山頂までは約4時間半のコースタイムです。
往復が厳しい場合や、朝焼け、夕焼けの景色が見たい方は、八方池山荘か唐松頂上山荘で宿泊するとよいでしょう。
八方尾根ルートから唐松岳山頂に登り、唐松頂上山荘で一泊してから富山県側の祖母谷温泉へ降りるルートにも人気があります。
ただし、欅平ルートは難所が多く、危険な箇所があるので登山上級者向けです。
やや上級者向け
欅平ルート
富山県の宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗って欅平駅で下車し、少し歩いたところから登るコースが欅平ルートです。
欅平駅から30分ほど林道を歩いた祖母谷温泉が登山口となります。
祖母谷温泉から餓鬼山を経て大黒銅山跡、唐松岳山頂までのコースタイムは約7時間です。
時間的に往復ができないので唐松頂上山荘で宿泊しましょう。
欅平ルートは岩場や鎖場が多い比較的上級者向けの登山ルートです。
鎖や梯子は破損していることがあるので、100%信用しないようにして「三点支持」の原則を守って上り下りしてください。
特に岩場は滑りやすいため、足元に注意しましょう。
白馬岳から不帰嶮を経て唐松岳、鹿島槍ヶ岳へ向かう後立山連峰縦走ルートは上級者向け
日本三大キレットの「不帰キレット」と「八峰キレット」がある最難関ルート
白馬岳から不帰嶮(かえらずのけん)を経て唐松岳、鹿島槍ヶ岳へ向かう後立山縦走ルートは、登山上級者でも敬遠するとても難しいルートです。
垂直に近い岩壁や刃物の先端のような細い岩の尾根が続きます。
高所恐怖症の方や登山初心者はけっして近寄らないようにしましょう。
日本三大キレットというのは、日本でもっとも難しい登山ルートのことです。
キレット、なにやら外国語のような響ですが、長野の方言「切戸」からきた言葉で、「尾根が深く切り落ちている場所」という意味です。
富山県では同じような難所のことを「窓」と呼びます。
ちなみに、富山県の剣岳には「三ノ窓」や「小窓」といった難所があります。
日本三大キレットには、北アルプスの北穂高岳と南岳の間にある「大キレット」、後立山縦走ルートにある「不帰キレット」「八峰キレット」の3つがあります。
不帰キレットには、白馬岳から唐松岳を結ぶ尾根にあり、天狗ノ頭や天狗の大下りといった難所のほか、不帰嶮二峰と一峰の間は、垂直な岩壁を鎖だけをたよりにして登る難所があります。
八峰キレットは、五竜岳と鹿島槍ヶ岳の間にある八峰キレット小屋付近にある難所で、針の先端のような岩場を登り降りしながら進みます。
登山口までのアクセス
長野県側の八方尾根ルートの登山口「白馬八方尾根スキー場」へは、JR大糸線の白馬駅で下車して西へ2㎞ほどの距離です。
富山県側の欅平ルートの登山口へは、黒部峡谷鉄道の欅平駅で下車してください。
祖母谷温泉まで林道を30分ほど歩き、祖母谷温泉手前の橋を渡らずにまっすぐ進んだところに登山口があります。