サーフィンの魅力
サーファーに魅力は何かと聞くと、人それぞれにさまざまな答えが返ってきますが、共通しているのは波との(自然との)一体感という答えです。
サーフィンで波に乗っているのは数秒から十数秒で、実際にはパドリングや波待ちしている時間がほとんどです。波に乗る一瞬とも言える時のために、長い時間とさまざまな準備するのがサーフィンです。
波と一体化するその一瞬は、それまでの努力や準備の時間が長ければ長いほど、幸福感が高まります。波に乗ることだけを魅力とするなら、ほんの短い時間しか楽しみはないことになります。
サーフィンをライフスタイルとするのは、波に乗るための準備や環境、奮励や取り組みの全てを楽しもうとするためではないでしょうか。
何の動力も使わず、サーフボードと自らの肉体だけで波に乗る一瞬を、メイクするまでの過程すべてがサーフィンの魅力なのだと思います。
地球の美しさに触れる
サーフィンの虜になってしまうと、海がある環境に移住したいと願うはずです。海が目の前にあるライフスタイルはどんな生活でしょう。
朝、夜明けとともに、鳥の声と波の音で目を覚まします。まずは波チェック、天気予報の確認から朝が始まります。
まずは、朝日を浴びながら風の弱い朝一でワンラウンド。水温、気温に合わせてウェットやワックスを選び、季節の移り変わりを海で感じます。
朝の浜辺は、サーファーだけではなく、犬の散歩や釣り人の姿もあり、いつも顔を合わす人たちと自然にあいさつを交わすようになります。
ひとしきりその日の波を楽しんだら、家に戻ってシャワーを浴びますが、その水温でも季節を感じることができます。
行きつけのカフェで朝食。身体を動かした後のご飯は格別です。
カフェにはサーファーが集まり、今日の波やライディングの出来不出来をたわいもなく語り、聞いているうちにまた海に入りたくなります。
昼間は仕事や趣味に興じることになりますが、それもサーフィンや海に関連することをする人が多いようです。
そこに新たな文化や情報が生まれ、新たなカルチャーを作っていきます。風が良くなる夕方には、また波をチェックして、いい波が来ていればサーフボードを抱えて夕波をいただきに行きます。
上がった後のビールはまさに至福の時間。旬の料理とおいしいお酒、サーフィン談義を肴に夜を迎え、都会では見ることのできない星空と月の明かりの中、一日が終わります。
夢のような生活と思うかもしれませんが、実際にこんな生活をおくるローカルや移住組の人たちはたくさんいます。
サーフィンを生活の中心にすることは、自然の中で暮らすことになり、都会の飾られた明るさの中では、見ることのできない地球の美しさに触れることができるのです。
時間に縛られない幸福
現代人の最高の贅沢といえば、時間に縛られない自由ではないでしょうか。スピードと効率性を重要視する現代社会では、時間の使い方は重要なスキルのひとつとなっています。
では、人生において貴重な時間と労力を投資して、得られるものは何でしょうか。人より稼ぎたい、出世したいと思うキャピタリズム的な達成感ですか。
何をもって幸せと呼ぶかは、人それぞれの価値観の違いがあることでしょう。
サーフィンをライフスタイルとする人たちの幸福は、いたって単純で「いい波に楽しく乗る」ことです。いい波はいつ来るかわかりませんので、乗りたい時に海に行ける環境を作っておく必要があります。
時間的な束縛により、いい波を逃すことがないように、時間に縛られない生活を用意しているのがサーファーのライフスタイルです。
では、どのようにしてそんな環境を作っているかというと、例えば、何年間と決めてその間だけ、人の何倍も働いて経済力をつけてからスローライフを送る人もいれば、海に関わる仕事を探し自由な生活を見つけている人もいます。
Patagoniaのように、浜辺の町には、いつでも海に行ける職場もあるのです。
プロのフリーサーファーと呼ばれる人たちは、試合や競技として稼ぐのではなく、サーフィンをしている姿を商品化して売り出したり、スポンサーを付けたりしている人たちです。
海は入場料などのお金がかかりませんし、海辺の田舎町は住宅や物価も安く、経済的には暮らしやすい環境です。
地方治自体によっては、移住者や起業者に支援をしているところもあります。
自由なライフスタイルを確立することは、簡単ではありませんが、皆さまざまな工夫をして取り組み、時間に縛られない自由を手に入れているのです。
それは、経済至上主義とは異なる、ひとつの幸せの形なのではないでしょうか。
人間性がさらけ出される環境
海を暮らしの一部としているサーファーは、自然環境にも配慮するようになります。自分の部屋をきれいにしておきたいのと同じ理由が始まりなのかもしれません。
ゴミ問題やたばこの投げ捨てなど、環境を破壊する行為を嫌い、美しい自然を残すために最善の注意を払うようになります。
「ひとつの波には一人のサーファー」が国際的なルール、マナーですので、必然的に波をシェアするという協調性が必要になります。
同じポイントの海にいるサーファーはみんな仲間であり、同志です。身勝手な行動は、周りも迷惑しますし、危険が伴います。
サーフィンをライフスタイルにすることで、大自然の中であらためて人間の非力さに気づかされ、人間同士の協調性や博愛精神の大切さを痛感します。忘れかけていたヒューマニティーを持つこともサーフィンライフには不可欠です。
サーフカルチャー
サーフカルチャーとは、音楽、映画、アート、ファッション、飲食など、サーフィンに関わるすべての総称です。
サーフィンをライフスタイルとしていると、自ずと関わるもので、ハワイのノースショアやアメリカのカリフォルニア、オーストラリアのゴールドコーストなどから発信されることが多いようです。
最近、ファッションは再ブームとなっていて、浜辺はもちろん、街中でも使えるアイテムが人気です。
また近年のインターネットやスマホの普及により、SNSによる発信も多くみられるようになりました。
例えば貝殻でアクセサリーを作ってSNSで販売したり、流木を使ってアート作品を作ったりしていることなどが話題を呼んでいます。海の風景写真や絵画などもインスタグラムなどでは評判です。
未来へのリレーション
サーファーたちに将来の生活について希望を聞くと、子どもや家族と一緒にずっとサーフィンを続けたいという答えが返ってきます。
実際に親子でサーフィンをしている姿をよく見かけますし、60代以上の高齢夫婦で一緒にサーフィンをしている姿を見ると微笑ましく思えます。
小さな子どもがサーフボードに立った時は、周りの大人みんなが歓声をあげたこともありました。小さな頃から自然にふれあい、海を愛するライフスタイルの親を見ていることは、子どもの成長過程において、有意義なことは容易に想像できます。
自然を愛する、人を愛する、そんな当たり前なのに忘れてしまいがちの生き方を、次の世代が継承していくことは、将来の地球規模の未来においても重要な事なのではないでしょうか。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。