人口分布とサーフィン業界
サーフィンというと若者のスポーツかと思われますが、メジャーなサーフポイントに行くと、40代50代またはそれ以上の世代のサーファーが目立ちます。
サーフィン日本代表で、これからの活躍が注目される10代の若い選手も、親がサーファーで影響を受けて始めた人が多いようです。
そもそも日本国内の世代別の人口分布でも、40代以上の人口が多いことが要因と考えられます。
また、第一次サーフィンブームがあった頃の世代が、50代、60代になっており、その子供たちが影響を受けて、世界で活躍を期待されるゴールデン世代を形成しています。
五十嵐カノア選手や、大村奈央選手も、親がサーフィンをしていたことから、幼少の頃よりサーフィンに出会い、親しむことができる環境だったようです。
海で見かけるサーファー事情
年々サーフィンの競技人口が増えているようですが、それを増加の要因を支えているのは、女性や中高年が多いように見受けられます。
サーフィンを続けていこうと思うと、車も必要になりますし、道具をそろえたり、休みも確保したりと、それなりの環境がないとできません。
国税庁発表の平成26年民間給与実態統計調査結果によると、20代前半男性の平均年収は265万円、女性は231万円。
40代前半は男性564万円、女性290万円、50代前半は男性656万円、女性291万円となっており、平成9年をピークに20%近く減少しています。
こうした経済的な理由からも、若年層がレジャーにかける予算は少なくなってしまっていると思われます。特に東京都内に住んで車を所有しているのは、ごく一部の人に限られます。
一方、40代、50代はキャリアアップによる収入の増加と、近年の働き方改革による休日の増加により、趣味やレジャーにかける予算が増えていることが、実際に海に見られる世代分布を表しているのではないでしょうか。
40代、50代から始めるサーフィン
40代、50代からサーフィンを始めようと思うと、やはり若い人のように体力があるわけではありませんので、サーフィンの仕方が違います。
クリエイティブでトリッキーなターンやエアーを競うショートボードより、ゆったりとしたロングライドを目指す、ロングボードの方が向いているでしょう。
サーフィンは決して腕力や筋力だけで行うスポーツではありません。波の力を上手に利用することにより、体力がなくても十分楽しむことが可能です。
40代、50代向けに特化したサーフスクールを開催しているショップもありますので、参考にしてみてください。
海のある生活とは!
子育てや、仕事もひと段落して、若い頃できなかったサーフィンに挑戦しようとする中高年層が増えています。
特に50代以降で海の近くでスローライフを送りたいと思う人が増え、田舎暮らしをテーマにした不動産物件も人気を集めています。
水平線に昇る朝日、海に写る夕焼け、自然の美しさと寄り添って生きる生活は、人生に大切なものは何かを教えてくれます。
サーフィン業界のターゲット
バブル時代には、年収何億円も売上を上げるショップはめずらしくありませんでした。
バブル経済を支えた団塊世代が高齢化している現在、世代人口が次に多い団塊世代の子どもにあたる団塊ジュニア世代をどのように取り込むかは、どの業界でも課題となっています。
サーフィン業界においても、増加している団塊ジュニア世代を、いかに消費につなげるかは、未来のオリンピック選手を育てるために必要な経済効果となるはずです。
団塊ジュニアの消費習性としては、レアもの指向で趣味や自己的価値に対してお金を使う特色があります。
バブル崩壊やリーマンショックを経験していることから、堅実で情報収集力に長け、自らの将来よりも子どものための消費が多い傾向にあるとも言われています。
サーフィン業界は、過去の栄光から保守的な経営理論を持つケースが多いように見受けられます。
しかし、時代は確実に変わっており、ファッション分野においてもサーフブランドの価値は変化しています。
茶髪にサーファーヘアーの時代ではなくなっているのです。オリンピックも決まり、これからもさらに注目される業界ですので、今の時代のニーズを敏感に取り入れた業界の変革も必要なのかもしれません。
ライフスタイルとしてのサーフィン
サーフィンは、競技だけのプロスポーツでも経済力に重きを置くだけのものでもありません。海という自然と共存し、その美しさと偉大さに敬意を払い、波と一体化する楽しみを分け合うものだと思います。
昔から、サーフィンはライフスタイルであり生き方だというサーファーがいます。人は自然から学ぶものは多く、海の危険や脅威すらも学ぶべきものです。
20代、30代は周囲や過去を見る余裕もなく、人生を走り続ける人が多いことでしょう。40代、50代になり、ふと振り返り人生を見つめ直すのには、サーフィンを通した海は絶好のロケーションなのだと思います。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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