自宅や会社で傷病者が出た場合は、数分で救急車が到着することがほとんどですが、山の中では数時間、もしくは数日間救助が来ないこともあるからです。
そこで受けておきたいのが、日本登山医学会が行っている「山岳ファーストエイド講習会」。
登山やクライミングのみならず、山スキーや高所を訪れる海外旅行でも活用できるファーストエイドの知識や技術を習得できます。
今回は主催の日本登山医学会と、講習会について詳しく紹介します。
日本登山医学会とは
日本登山医学会は、1981年に創立された、日本唯一の登山医学に関する専門家の団体です。
発足当初は医学研究者を中心とする小さな団体でしたが、現在は医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士などの医療関係者をはじめ、救命救急士や、登山ガイドなどの山岳関係者、一般の登山者や、旅行愛好家などが参加し、会員数は1400人を超えています。
野外での緊急外傷時に対する適切な対応、寒冷地での低体温症や凍傷、高所で起こる低酸素症への対応、運動生理学的な知見に基づいた登山処方などを広め、医学的知識の発展、向上、普及を通じて登山活動の安全に貢献し続けてきました。
日本の夏山シーズンに開かれる北アルプスや南アルプスの山小屋診療所のほとんどは、日本登山医学会の関係者が運営しています。
「国際認定山岳医制度講習会」を実施し、多くの認定山岳医を輩出しているほか、2013年からは、誰でも参加できる「山岳ファーストエイド講習会」を行っています。
一般の登山者やビギナーの方でも参加可能で、受講者は年々増えているそうですよ。
山岳ファーストエイドベーシック講習の内容
日本登山医学会が実施しているファーストエイド講習会は、「ベーシックコース」「アドバンスコース」「プレミアムコース」に分かれています。
最も基本的な「ベーシックコース」は、「夏コース」と「冬コース」分かれており、それぞれ内容が異なるため、2コース続けて受ける人も多いようです。
夏、冬ともに、基本の山岳ファーストエイドの内容は共通ですが、夏コースはさらに熱中症や高山病、落雷、熱傷など、冬コースは低体温症、雪崩埋没、凍傷などにフォーカスを当て学びます。
この講習は、登山などの野外活動において、予防医学の実践や、傷病者への初期対応技能を上げ、事故や遭難の減少、救命率の改善、後遺症の軽減を図る目的で、定期的に開催されているものです。
多摩スポーツセンターや、富山県の国立登山研究所などの施設に3日間泊まり込み、座学と実技合わせて全40時間のカリキュラムが組まれています。
基本的に、まずは座学で講義を聞き、その後屋内または屋外でのシナリオトレーニングという流れです。
受講が終わると、筆記試験、実技評価、技能評価が行われ、全ての基準を満たした方は修了認定を受けます。
不合格であっても、再試験を受けることができるので心配ありません。
3年以内に夏、冬コースそれぞれにおいて全ての評価基準を満たした方は、「basic provider」 の認定証が授与されます。
参加対象者や費用は?
山岳ファーストエイド講習会の参加対象者は、
山岳・野外活動に関わっている人、本講習に興味のある人
とあるので、誰でも参加できるということになります。
費用については以下の通りです。
・夏、冬コースを連続で受ける方(Aは夏冬共通カリキュラムのため全5日間)
社会人:55,000 円(資料代、傷害保険料含む)(宿泊費・食費含まず。別途清算となります。)
学生:35,000 円(資料代、傷害保険料含む)(宿泊費・食費含まず。別途清算となります。)
・3日間(A,B,C)コース受講時
社会人 33,000 円
学生 21,000 円
・2日間(B,C)コース受講時
社会人 22,000 円
学生 14,000 円
※ カリキュラム A は合格まで何回受講しても初回以外は無料
※ 不合格による追加受講 無料(合格まで責任もって指導致します)
※ 別途清算費用(宿泊費・食費):3日間コースの場合、国立登山研修所では 1 万円程度、 その他の会場では会場使用料が加わり 15,000 円程度。(会場により異なります。)
※ 通いでの受講不可
※ 学生料金の適用は受講年度に26歳以下とする
【問い合わせ先】 日本登山医学会事務局内 ファーストエイド委員会
e-mail: ffaoffice@jsmmed.org
HP: http://www.jsmmed.org/index.html
電話 03-6869-0510 FAX: 03-4243-3887
こちらのファーストエイド講習は、登山者だけでなく、アウトドアを愛する全ての方に受講して頂きたいプログラムです。
3日間の長い講習ですが、密度の濃い、非常に有意義な時間を過ごせることでしょう。
受講後は、大切な家族や仲間を助けられる自信が付き、今まで以上にアウトドアライフを楽しむことができるはずです。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。