日本では昔から海苔やワカメとして親しまれてきた藻類。いま世界ではスーパーフードとして注目されています。保存しやすく栄養豊富で、次世代のタンパク源としてもホットな存在。日常の食卓をはじめアウトドアやレジャーに。非常食としても取り入れやすくしかも環境にやさしいので、気軽に試してみたいものです。おなじみの藻類がグローバルに再評価されている理由を探っていきましょう。
植物ではない?藻類とは

藻類は、光合成をする生物のうち、コケ植物・シダ植物・種子植物を除いたものの総称。藻類というと、植物だと思う人もいるかもしれません。じつは藻類は、植物とはちょっと違う「原生生物」に分類されます。
日本人にとっては、身近すぎてあまり意識することはないかもしれませんが、のりやワカメなどの海藻類も藻類のひとつ。ほかに、ミドリムシ・スピルリナ・ユーグレナといった微細藻類も、藻類の仲間です。
藻類がスーパーフードといわれるワケ

近年では、高い栄養価や環境負荷の少なさから、藻類はスーパーフードとして世界的に注目を集めています。藻類がなぜスーパーフードといわれるのか、その理由を紹介します。
栄養が豊富
藻類がスーパーフードと呼ばれる最大の理由は、栄養価の高さにあります。
とくにスピルリナやクロレラなどの微細藻類には、植物性タンパク質・ビタミンB群・鉄分・マグネシウムなど、体に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
たとえばスピルリナは、重さの半分以上がタンパク質とされています。将来、急激な世界的人口増加により、肉・魚が足りなくなるおそれがあるともいわれていますが、藻類は、食料不足を解決する未来のタンパク源となる可能性を秘めているのです。
CO₂(二酸化炭素)を吸収する
牛肉などの畜産物が多くのCO₂を出すのに対し、光合成をする藻類は、大気中のCO₂を吸収し、O₂(酸素)を生み出します。驚くべきことに、海中の藻類が取り込むCO₂の量は、森林よりも多いという研究結果も。
【参考:「ホンダワラ藻場の環境浄化機能」京都府立海洋センター 平成18年】
栄養価が高いだけでなく、地球にもやさしい—それが藻類の強みです。
水をきれいにする
藻類には、水をきれいにする力があります。たとえば、養殖場や田んぼから出る排水に含まれているのは、エサや肥料に含まれる栄養分。その栄養分が川や海に流れ込むと、水が汚れてしまいます。川や海にいる藻類は余分な栄養分を吸収して成長するので、水質浄化につながります。
ふだん当たり前のように食べているのりやワカメも、海の環境保全を担っているのです。
少資源で生産できる
藻類の育て方はとてもシンプル。基本的に必要なのは水と光だけです。広い農地、大量の肥料や農薬は必要ないので、ほかの作物に比べて少ない資源で育てられます。
屋内管理で、天候に左右されず安定して生産できるのも強みです。この特性をいかし、農業が難しいサハラ砂漠で藻類の養殖がおこなわれています。
「少ない資源で育てられる」という点で、藻類は食料問題だけでなく環境問題の解決策としても期待されています。
暮らしに便利!藻類の強み

「少量で栄養補給できる」「日持ちする」「軽い」といった特徴をもつ藻類は、暮らしのさまざまな場面で役立ちます。実際にどんな場面で役立つのかを紹介します。
手軽に栄養をとれる
プロテイン・ビタミン・ミネラルなど、たくさんの栄養が詰まっている藻類。「ちょっと足すだけで栄養をたくさんとれる」という便利さが、藻類をおすすめする理由のひとつです。
ご飯にふりかけとして乾燥ワカメを使えば、手軽に栄養をプラスできます。藻類をつかった出汁で、スープやみそ汁を作るのもおすすめ。また、スピルリナパウダーを飲み物に混ぜるだけで、不足しがちな栄養素を補う一杯になります。
日持ちする
藻類は乾燥やパウダー状に加工されているものが多く、長期間保存できます。常温で保存できる商品も多いため、常備食や非常食にぴったりです。
たとえば藻類を使ったプロテインバーやスナックは賞味期限が長く、なかには数年間保管できる商品も。袋を開ければすぐに食べられるので、火も水も使えない災害時でもすぐにエネルギー補給ができます。スポーツやレジャーの行動食にもGOODです。
軽量でコンパクト
藻類を使ったスナックやパウダーはとても軽く、小分けして持ち運ぶこともできます。
荷物をできるだけ軽くしたい登山やキャンプでは、軽くて栄養価が高いという藻類のバランスのよさがぴったり。リュックの隙間に入れておくだけで安心感があります。栄養バランスが気になる長期縦走やキャンプのおともにイチオシですよ。
おすすめの藻類フード4選

ここからは、藻類を気軽に試せる商品を紹介します。どれも日常の調味料やおやつ、アウトドアの行動食など、取り入れやすいものばかりですので、ぜひ試してみてください!
うま藻

出典:UMAMO
沖縄発、株式会社AlgaleXの「うま藻」は、オーランチオキトリウムという海藻を粉末状にした調味料です。
うま藻という名前のとおり、そのうまみ成分は、羅臼昆布の1.5倍。うまみに加えて、DHAがサバの13倍、GABAがトマトの10倍と、栄養も抜群です。調味料から栄養をプラスできるのは手軽ですね。
ふりかけ感覚でご飯にかけたり、スープに混ぜたりと使い道も豊富。筆者はキャンプで焼いた肉や野菜に振りかけてみました。磯の香りが広がり、塩やタレとはまた違った風味で、仲間からも好評でしたよ!
ROO BAR オーガニックプロテインバー(スピルリナ&レモン)

出典:brilliant-earth
ブリリアントアース株式会社(愛媛県松山市)の「ROO BAR オーガニックプロテインバー(スピルリナ&レモン)」は、微細藻類「スピルリナ」を配合しており、1本で約11 gのタンパク質がとれるすぐれもの。砂糖や保存料は使用せず、すべてオーガニックの原材料でつくられています。
登山やキャンプの途中でさっとかじれる手軽さが魅力。トレーニング後の栄養補給、普段のおやつとしてもおすすめです。
筆者もハイキングのおやつとしてよく食べますが、レモンの甘酸っぱさが疲れた体に染みわたり、しっかりエネルギーをチャージできます。
ROO BAR オーガニックプロテインバー(スピルリナ&レモン)/brilliant-earth
NutsKo(ナツコ)
能戸フーズ株式会社(北海道函館市)の「NutsKo(ナツコ)」は、北海道でしかとれない海藻「ダルス」と、ナッツ・昆布を組み合わせたスナックです。
素材の味を楽しむため、塩・砂糖・添加物は一切使われていません。ナッツの香ばしさに、昆布のうま味とダルスの塩味がプラスされていて、食べごたえがありながら体にやさしいのが魅力です。
ナッツの脂質、藻類のミネラル・タンパク質・食物繊維を同時にとれるため、エネルギーが必要な登山やハイキングのおともにもおすすめ。日常のおやつやおつまみとしても、手軽に栄養をとれる商品です。
NOW Foods オーガニック スピルリナパウダー
iHerb(アメリカ・カルフォルニア州)の「NOW Foods オーガニックスピルリナパウダー」は、スピルリナを含む粉末タイプの藻類食品です。容量は113 gと453 gの二種類あり、ライフスタイルによって選べます。
タンパク質・ビタミン・ミネラルを含み、日常の食事やお菓子作りのときにプラスするだけで、手軽に栄養バランスを整えられますよ。
水やジュースに溶かせば栄養ドリンクの完成!スムージーに足すのもおすすめです。朝食に、トレーニングに、アウトドアにと重宝します。
ライター
そらたね
農業職公務員・食品メーカー勤務の経験をもとに、農業や食の大切さ、美味しいレシピを発信します。趣味は旅とカメラ。日本の四季を撮ること、旅行先で綺麗な海を見ることが大好き。生息地は主に田んぼ、畑、ときどき果樹園。
