普段はECサイトGreenfield Storeの運営を担当している私ですが、釣り好きということもありパタゴニアの「ヘルシーウォーターズ」キャンペーンの一環として開催されたドキュメンタリー映画『サクラマスのラストワルツ』の上映&交流会に参加してきました。
「ヘルシーウォーターズ」キャンペーンの詳細はこちらからご覧ください。

自然のままの水を次世代へ パタゴニア「ヘルシー・ウォーターズ」始動
自然のままの水を次世代へ パタゴニア「ヘルシー・ウォーターズ」始動

サクラマスってどんな魚?『サクラマスのラストワルツ』とは

サクラマスとはサケ目サケ科の魚で、河川で生まれ1~2年ほど過ごした後に海へと下り、数年後大型化すると河川を遡上し、繁殖をして一生を終えます。驚くことにサクラマスは、淡水魚として知られるヤマメと同一種です。つまり同じ魚が、一生を淡水域で過ごす河川残留型の「ヤマメ」、成長と共に海へと下る降海型の「サクラマス」と呼び分けられているのです。

今回上映された『サクラマスのラストワルツ』は、サクラマスを取り囲む自然環境の変容というテーマを、息をのむほどの圧倒的な映像美で映し出した作品となっています。川から海へ。そしてまた川に戻ってくる森と海を繋ぐ魚であるサクラマスは、川の氾濫を防止するための河川改修や砂防ダムの建設などによって遡上が困難となり、その数を減らしています。

©Whole Universe Association

なんと、日本には砂防ダムが約9万基も存在しているのだそうです。私自身も渓流釣りの最中、砂防ダムに行く手を阻まれた経験があります。高さ10メートルほどの滝状になった垂直の壁を思い返してみると、魚がそれを突破して遡上することは不可能に近いだろうと容易に想像できます。そういった状況を改善するため、ダムのスリット化を進めている地域もあるそうです。

映画を通して、ダムの必要性とその存在によって損なわれる自然環境の重要性、という新たな問いが私の中に生まれました。まさにキャンペーンの趣旨通り、自然からのSOSに耳を傾け、健全な川と水について考えるきっかけとなる映画でした。

タイトルに込められた思いと坂本監督とのトークセッション

上映会のあとは坂本監督のトークショー及び参加者からの質疑応答タイムとなりました。その中で監督は、映画のタイトルに込められた思いを語ってくれました。撮影中産卵するサクラマスの群れに遭遇した際、バシャバシャと音を立てる姿が踊っているように見え、そのリズムが三拍子であったことから「ワルツ」を感じたそうです。

そしてサクラマスは工夫次第で早期的な回復が望める魚であり、環境保護の「最後」の希望になって欲しいという願いから『サクラマスのラストワルツ』というタイトルを着想したそうです。実は私は学生時代に生物系の学科を専攻していた生き物マニアでもあります。

そこで、以前から感じていたヤマメはどの時点で陸封型と降海型に分かれるのかという疑問を監督に質問させていただきました。

ヤマメがサクラマスとしての生き方を選ぶきっかけというのは、実は未だにはっきりとわかっていないそうです。生れてから一年ほどの餌量など、生息地ごとに異なる様々な自然環境の要因によって決定されるそうなのですが、専門家によっても見解が異なるのだとか。このように一生のうちで生活する環境を選択できるのは唯一無二の生態であり、この魚のおもしろいところだと監督は回答してくれました。

ビールを片手に歓談タイム。撮影クルーが語る、釣りだけではない魚との接し方

その後はおいしい軽食とパタゴニアプロビジョンズのビールに舌鼓を打ちながらの歓談タイムとなりました。アルコールも手伝って程良く緊張がほぐれ、坂本監督と撮影クルーの方々から色々なお話しを伺えました。

皆さん元々釣り好きで、釣りを通して魚と接してきましたが、撮影のためにカメラを片手に川に潜るようになり、水中での生き生きとした魚の姿に魅了されたと、口を揃えて教えてくれました。魚との関わり方は無限の可能性があり、リバーダイビングももっとメジャーなアクティビティになり得ると話す監督の姿が印象的でした。

ダムの建設や河川の開発工事などが魚に大きな影響を与えることはもちろんですが、個体数回復のために行う魚の放流も、川の環境次第ではエサや縄張りの奪い合いが発生し、元々いた個体と共倒れになり、結果的に悪影響となることがあるそうです。

自分の身近な自然に今何が起きていて、良くしていくために何をしていくべきなのか。一人一人が自分ごととして考えていくことが大切だと感じました。私も今後は、釣りやその他のアクティビティで訪れるフィールドに対してそのような目線で関わり、自分に何ができるのか考え続けていきたいと思います。

全国各地で新作からの短編作品が上映中!

ヘルシー・ウォーターズキャンペーンは、全国各地で『サクラマスのラストワルツ』の特別映像や、会場によってはさらにパタゴニア・フィルムズの上映と、ゲストのトークイベントを順次実施しています。詳しくはこちらをご覧ください。

そして、長編版のロードショーはサクラマスが遡上を始める季節に合わせて、2026年春を予定。皆さんぜひ劇場に足を運んでみてくださいね。

Greenfield編集部

ライター

Greenfield編集部

自然と向き合い、環境に配慮しながらアウトドアスポーツを楽しむ人に向け、自分や周囲のウェルビーイングの向上につながる情報をお届けします。