古くから人々の暮らしに寄り添ってきたヘチマは、地球にやさしく、エコな生活にぴったりの天然素材です。キッチンやバスルーム、お掃除に加えて、最後はコンポストへ。そんな“ヘチマ暮らし”を日常に取り入れて3年以上になる筆者が日々の暮らしで実感した使い心地や活用法を紹介します。
サステナブルな天然素材!ヘチマたわしの魅力とは?
ヘチマはウリ科の植物で、若いうちは食用にもなりますが、しっかり熟したあとに乾燥させると、繊維だけが残り、まるで天然のスポンジのような姿に変わります。
乾いた状態ではやや硬めで、ごわつきがありますが、水に濡らすとやわらかくなり、手のひらにすっと馴染みます。使うほどに質感が変わっていく天然素材ならではの味わいも、ヘチマの魅力のひとつです。
市販品や自作のもの、いづれにせよ繊維の太さややわらかさには個体差がありますが、用途に応じて使い分けることで、台所でもバスルームでも、活躍の場を選びません。
キッチンでは食器洗いに、バスルームではボディスポンジに、さらには掃除道具としても。家中でヘチマたわしを活用できます。
また、ヘチマたわしは柔軟性があるため、洗いにくいところにもスッと入り込み、汚れをしっかり落としてくれます。洗い上がりはぬめりが少なく、気持ちよく短時間で家事を済ませられるのがうれしいところ。丈夫で長持ちするため、繰り返し使えるのも実用的です。
そして、使い終わったあとの行き先にも、ヘチマならではの魅力が詰まっています。燃やしても有害物質は出ず、土に埋めればそのまま自然に還っていく。使用中も、使い終えたあとも、マイクロプラスチックを一切出しません。
環境への負担を減らし、ひとにも地球にもやさしい。そんな唯一無二の天然素材なのです。
無理なく続けるための、ヘチマたわし活用のコツ
ヘチマたわしを使いこなすには、ちょっとしたコツがいります。使う前に一度熱湯で煮沸消毒をしておくと、清潔さを保ちやすくなり、ぬめり防止になります。
また、定期的に天日干しをすると、清潔感を保てて、長持ちするのでぜひ実践してみてください。一見、お手入れが難しそうなヘチマですが、一般的なスポンジと大差ありません。
さらに、ヘチマのサイズを使い道に合わせて変えるのもおすすめです。キッチン用は少し大きめ、掃除用は手のひらサイズ、バスルーム用は厚めに、など、分けてストックしておくと便利です。
自分の暮らしに合った使い方やお手入れの方法を身につけ、無理なく気持ちよく使い続けましょう。
家中使える万能アイテム!天然素材ヘチマたわしの使い方
天然素材のヘチマたわしは、キッチンや浴室、掃除まで幅広く使える万能アイテム。毎日の「洗う」がもっと楽しく、心地よく変わる、ヘチマたわしの使い方を紹介します。
【キッチン編】食器用スポンジの代用に
ヘチマは繊維がしっかりしていて、水を含むとやわらかく変化します。、市販のヘチマたわしには、薄く加工されたものや小さくカットされたものもありますが、少し厚みのあるタイプを選べば手にしっかり馴染み、食器洗い用に最適です。
油汚れは、あらかじめ拭き取ってから使うと、ほんの少しの洗剤で泡立ち、汚れもきれいに落ちます。一般的なスポンジと比べると、泡立ちが控えめなぶん、すすぎもラクで、結果的に水の節約にもなりますよ。
また、ヘチマの芯の部分は繊維が硬く、なべやフライパンのコゲ落としにも最適。芯だけを加工して作ったヘチマたわしも販売されていますが、自作でも簡単に作れます。
用途別に使い分ければ、使い勝手がさらによくなります。
【浴室編】肌に優しく、バスルームもすっきり
乾燥ヘチマは、肌あたりが少し硬めですが、水に濡らすとしっとりやわらかくなり、肌への刺激もマイルドになります。
お風呂で石けんをつけて、くるくる円を描くように洗えば、角質ケアに。使ったあともさっぱりします。泡切れ、水切れが良く、清潔感を保ちやすいのもうれしいポイントです。
さらに、身体を洗うだけでなく、浴室を掃除するスポンジとしても大活躍。水切れの良さを活かして、石けん置きとして使うことも可能です。あちこちで活用できる、頼もしい存在です。
私は、身体用のヘチマは薄くカットし、浴室掃除用には手に馴染んで洗いやすいよう、少し厚めにしています。それぞれに紐を通して吊るしておけば、乾きやすく、ぬめりやカビも防げます。
また、身体用は石けんのそば、掃除用は掃除道具のそばと、置き場所を分けておくと、間違えて使うこともなく快適ですよ。
【お掃除編】汚れ落ち抜群のエコ掃除
シンクのくすみや水回りの掃除にもヘチマは大活躍。しっかりとした繊維で、こびりついた汚れも気持ちよく落とせます。
水だけでも十分ですが、クレンザーをちょっと加えると、よりパワフルに使えます。サイズや形を自由にカットできるため、場所や目的に応じて使い分けやすいのも魅力です。
たとえば、小さめにカットしたものは、排水溝まわりや蛇口のすき間、キッチンの隅など、細かい部分の掃除に。大きめにカットすれば、シンク全体や浴室の壁、洗面ボウルなど、しっかり握ってゴシゴシ洗いたい場所に向いています。
【番外編】最後は堆肥として循環
使い古して繊維がちぎれてきたら、わが家ではコンポストへ。使用頻度にもよりますが、毎日使う食器洗い用のヘチマたわしは、3〜4ヶ月問題なく使用できます。
洗うという役目を終えた後も、ゴミにならず、完全に土に還るのが何よりの魅力です。
「使い終わったあとも、役割がある」そんな想いを抱きながら最後まで丁寧に使い続けられることが、暮らしの中に小さく、確かな満足感をもたらしてくれるように感じています。
ヘチマ生活、はじめの一歩。どこで手に入れて、どう選ぶ?
「ヘチマってどこで買えるの?」と思った人もいるかもしれません。地域の農産物の直売所や自然派の雑貨屋さん、エシカル系のオンラインショップなどでも手軽に購入できます。
よりエシカルな視点で買い物をしたい人は、国産・無漂白のものを選ぶのがおすすめです。また、繊維の粗さや形も商品によって違うので、いくつか試してみるのも楽しみのひとつです。
私は、ベランダでヘチマを育てています。初夏に苗を植えると、夏の終わりには立派な実をつけます。しっかり乾燥させたあと、皮をむいて種を取り出せば、たわしとして使えるように。まだ水分が残っている場合は、軽く煮出すとするっと皮がむけて、簡単に加工できます。
豊作であれば、1年分のストックも可能。自分で育て、加工する工程にも、手づくりならではの楽しさや発見があります。草木染めをすれば、また違った風合いも楽しめます。
ヘチマのある暮らしをどう始めるかは、人それぞれ。
自分はどのように使いたいのか、まずは試してみたいのか、それとも生活の一部にしたいのか、目的によっても変わってくるでしょう。
まずは、自分に無理のない選択をするのがおすすめ。手軽に試してみたい人や身近な店で手に入らない場合は、オンラインショップを有効活用しましょう。
ライター
AYA
静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。