クライミングのために筋トレをする方も多いと思いますが、成果が伴わない人が多いのも事実。筋力強化のみを行うせいかもしれません。クライミングのためには可動域を広げるトレーニングも必要。自宅でできるクライミングのためのトレーニングを紹介します。

始めたばかりの初心者に向いているトレーニング

初めてクライミングをした方は、前腕の筋肉の張りに驚くことと思います。人間は生活のなかで握力を使いますが、この時の運動としては物体をある地点からある地点まで移動することが挙げられます。

クライミングのように自分の体を重力に逆らって持ち上げる、と言う行為は非常に特殊で、生活の中ではほとんど、あるいは全く現れません。

クライミング トレーニング

クライミングを始めたばかりの方は、馴染みのない運動を突然行うことによって不自由さを感じ、自分自身に「握力が無い」と信じ込みます。

「信じ込む」と断言できる理由は、殆どの場合、登れない原因は握力の不足では無いからです。クライミング動作の目指すところは、無駄な力を省いて効率的な運動をすることです。

クライミング経験の少ない方ほど無駄な力が入っています。ですからクライミングを始めたばかりの初心者の方は、力みすぎている部分の力を抜く運動をしましょう。

これは力んでいない部分の運動を行う事で力みすぎている部分の負荷を減らすことができます。おすすめはスクワット運動です。

また、集中力を下半身へ移し、重心を低くすることでクライミング中に高いバランス感を得る事ができます。

 

少し慣れた頃に始めたいトレーニング

クライミング トレーニング

少し慣れたころになると、傾斜の強い壁のルートにも挑戦していくようになります。

傾斜のゆるいスラブや垂直、うっすらとした傾斜のある壁では使う事のなかった運動が、傾斜の強い壁のルートを登るために求められます。

こういった傾斜を登るために欠かせない部位が腹筋です。腹筋運動には様々な種類がありますが、どれが良いということは一概に言えません。

インターネットで検索すれば、容易に腹筋運動の様子を動画で見る事ができます。それらをいくつか試していき、自分の体に過度な負荷のかからないものを選びましょう。

トレーニング後に筋肉ではない部分、たとえば腰が痛くなってしまった、などの弊害がある場合は直ちにトレーニングを中止し、しばらく休んだあと別のメニューを探しましょう。

紹介されているもののどれもが厳しい、という方にはヨガの「赤ちゃんのポーズ」がおすすめです。

有酸素運動の効果も高く、ボルダリングなど初心者のうちはどうしても息をとめて登ってしまう方も多いですが、呼吸のトレーニングにも高い効果を発揮します。

 

中級者ルートを登れるようになるためのトレーニング

中級者になると強い傾斜の壁や、スラブでも持ちにくいホールドのルートが楽しくなってきます。クライミングの動作も複雑なものを好むようになります。

それにより、筋力だけではなく体全体を使った運動が求められます。

クライミング トレーニング

このレベルの方には肩甲骨の運動がおすすめです。クライミング初心者は下半身を意識することで、上半身の無駄な動きを軽減する事は先に書きました。

それらの運動を無理なく行えるようになると、次のステップへ進んでも体と頭がしっかり連動して身についてきます。

肩甲骨の運動もたくさんの種類があります。「肩甲骨・ストレッチ」或いは「肩甲骨はがし」などでインターネット検索して、お気に入りのトレーニング方法を探してみましょう。

トレーニングと聞くと筋力を増強するようなイメージを抱く方が多いと思いますが、肩甲骨や肩は細かい筋肉が複雑に重なっています。

使い方をよく理解していないうちに強い負荷をかけると、怪我の原因になりますので注意が必要です。

このトレーニングの目的は、肩甲骨を柔らかくして可動域を増やし、筋肉の連動を助けるストレッチ運動です。決して筋力増強運動ではないことを念頭にトレーニングを行ってください。

 

怪我予防のためのトレーニング

クライミング トレーニング

中級者ルートを登れるようになるためのトレーニングにも共通することですが、トレーニングには2種類あります。ひとつは筋肉の増強で、もう一つは可動範囲の拡張です。

そしてこの可動範囲の拡張のためには、筋肉の緊張をある程度ゆるめる必要があります。筋肉をゆるめて動く範囲を増やす、それによって筋肉の連動するパターンが増えます。

つまり、1ヶ所にダメージが集約しないので、結果的に怪我の予防になるという事です。もう一つ、拮抗筋を鍛える事により怪我を防止する方法もあります。

拮抗筋とは、拮抗作用をする筋肉を指します。拮抗作用とは、ひとつの運動の最中にその効果を打ち消し合う現象のことです。運動で言えば、屈伸運動の際の屈筋と伸筋や、内転と外転です。

部分で言えば、二頭筋と三頭筋などです。例えば、ものを握る動作を10回行ったあとは、手を開く動作を同じ負荷で10回行うと怪我のリスクは減ります。

しかし、クライミングのように手を閉じる運動ばかりを強い負荷で長期間行い続けると、拮抗作用を得る事ができずに必然的に怪我のリスクが高くなってしまいます。

ストレッチなどと合わせて拮抗筋の運動も行うようにしましょう。

 

サッカーのオフェンスとディフェンスのようにトレーニングにも攻めと守りがあります。攻めのトレーニングだけを行っていてもバランスのよい体を手に入れる事はできません。怪我を予防して、疲労を残さず、長くクライミングを楽しむためにも守りの部分を意識しましょう。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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