アグロフォレストリーとは
アグロフォレストリーとは、農業と林業を並行して行う農法のこと。「アグリカルチャー(農業)」と「フォレストリー(林業)」を組み合わせて生まれた造語です。森をつくりながら農業も進めるため、「森林農業」とも呼ばれています。
この農法では樹木を植えて管理しつつ、同じ土地で複数の農作物の栽培にも携わるのが特徴です。森を破壊するような農地の開拓は行いません。豊かな森を育てるのと同時に、多品種の収穫物も得られるため、サステナブルな農法として世界中から注目を集めていますよ。
アグロフォレストリーの4つのメリット
アグロフォレストリーには多くのメリットがあります。具体的に見ていきましょう。
①環境にやさしい
前述のとおり、アグロフォレストリーのメリットは、森を育てながら農業ができることです。光合成をする樹木はCO2を吸収し、酸素を放出します。自然の力で温室効果ガスの排出を抑えられますね。
従来の農法では、自然や生態系に影響を与えて環境破壊へとつながる場合もあります。アグロフォレストリーなら、環境を保全・修復できるのが大きなメリットでしょう。
②豊かな土壌を育てられる
樹木には、土壌にある養分の流出を防ぐ効果があります。農地に養分を蓄え、微生物を作物と共有し、お互いの成長を支え合うのです。微生物に富んだ土壌は、価格が高騰している肥料の削減にもつながりますよ。
③自然災害から農地を守りやすい
災害のリスクを減らせるのも、アグロフォレストリーのメリットです。たとえば、農作物に深刻な影響を与える猛暑。森は農地に日陰をつくり、高温から保護する働きがあります。与える水の量も減らせますね。
また、「天然のダム」とも呼ばれる森があると、水害からも農地を守りやすくなります。山に流れる水を蓄えて調節できるため、洪水や土砂崩れを防ぐ防災林として効果的なのです。
④生産者の収入の安定につながる
長期的な視点に立ったとき、生産者が安定した収入を得やすいのも、アグロフォレストリーのメリットとして挙げられます。
アグロフォレストリーでは複数種の作物を育てるため、通年で収穫が可能です。単一栽培のように、収穫を終えるとオフシーズンになることがありません。1年を通して生産者は収入を得られます。
また、複数の農作物を収穫できれば、市場価格の変動にも対応できますね。1種類の野菜が豊作で安値でしか売れなくても、ほかの農作物で収入を補えるのもメリットです。
アグロフォレストリーの2つのデメリット
アグロフォレストリーにはデメリットもあります。アグロフォレストリーが成功するための課題ともいえますよ。
①確立するまでに時間とコストを要する
過去に事例がない地域では、アグロフォレストリーが軌道に乗るまでに、時間とコストがかかる可能性があります。
農地に植えた樹木が、収入源として成長するまでには年数が必要。その間は農地からの収穫のみに収入を頼る形になります。しかし、多品目を栽培するアグロフォレストリーでは、一度に大量の収穫は期待できません。
加えて、アグロフォレストリーでは、単一栽培とは異なるノウハウも必須。農法を学び、森と農地を包括的に管理しなくてはいけません。農作物を安定的に収穫するまでには、ある程度の歳月を要します。
長い目で考えれば、アグロフォレストリーは継続的に収入を得られる生産方法です。しかし、定着するまでには、技術や資金面での援助が期待されるところです。
②単一栽培に比べて人手がいる
単一栽培と比べると、アグロフォレストリーでは多くの人手が必要です。複数種の作物を栽培するため、植えつけや収穫の機械化が困難。農機が入れないような狭い林間では、農作業に人手を要するでしょう。
これは、地方での雇用を増やせるメリットにもなるかもしれません。しかし、高齢化で人手不足な日本の農村では、働き手を見つけるのは難しいことが予想されます。アグロフォレストリーが適合する土地か否か、見極めるのが成功のポイントになりそうですね。
アグロフォレストリーの事例
世界ではアグロフォレストリーに見事に成功した事例があります。たとえば、ブラジルのアマゾン流域にあるトメアス市の事業です。アグロフォレストリーの歴史に名をのこす事例として、注目を集めました。
1950年代頃、トメアス市は「黒いダイヤ」とも呼ばれたコショウの栽培で繁栄。しかし、1970年代、コショウに病害がまん延します。収入の激減で農民たちが市から出ていくなか、単一栽培に頼っていた反省から、「トメアス式アグロフォレストリー」の事業がスタートしました。
トメアス式アグロフォレストリーでは、作物と同時にバナナ・カカオ・アサイーなどの樹木も栽培しています。成長の早いバナナの葉が苗に日陰をつくり、需要の高いカカオで増収を実現。アマゾンの森は30年間で全体の約17%が伐採されてきましたが、その再生にも役立っています。
こうして育てられたアサイーは、日本でも「タリーズコーヒー」や「上島珈琲」のメニューとしても販売された実績がありますよ。
出典:フルッタフルッタ
「パートナーCAMTAとその町」
「ニュースリリース 2022/8/2」
「ニュースリリース 2022/8/29」