ワイルドライフマネジメントとは?
ワイルドライフマネジメントについて、その意味・目的・内容を説明します。
ワイルドライフマネジメントの意味
ワイルドライフマネジメントとは、日本では一般的に「野生動物(生物)保護管理」とされています。主に野生動物の個体数を操作したり、維持したりすることを意味しますよ。
ワイルドライフマネジメントの目的
ワイルドライフマネジメントの目的は、絶滅危惧種を守りながら、人間をふくむ生態系のバランスを維持することです。
日本は世界的にみても自然豊かな国。固有種が多いのも特徴で、ほ乳類の4割・爬虫類の6割・両生類の8割が日本にしか生息しません。しかし、その多くの種類が存続をおびやかされているのが現状です。
一方で、野生動物の生息範囲が広がり、農林業や住民への被害が多く確認されています。たとえば、ツキノワグマは絶滅の恐れがありますが、農家や生態系への被害を防ぐために数を減らす必要があるのです。
このような人間と動物の共存が難しい地域に対して、ワイルドライフマネジメントを採用した行政があります。ワイルドライフマネジメントは過剰な動物を減らすだけでなく、絶滅危惧種を保護する取り組みもおこなっているのです。
出典:環境省「なぜ、まもらなければいけないの?」
ワイルドライフマネジメントの内容
一言でワイルドライフマネジメントといっても、その活動内容は各自治体や団体によって異なるところがあります。ここでは広島県を例にあげて説明しますね。
広島県では、野生動物による農業や生活への被害が報告されています。野生動物とは、たとえばツキノワグマ・イノシシ・二ホンジカ・アライグマなどです。県内でのワイルドライフマネジメントでは以下の3つを重視しています。
- 個体数の管理
- 被害の管理
- 生息地の管理
それぞれどのような管理をしているのか、みていきましょう。
個体数の管理
対象となる野生動物の数を抑えて、急増を防ぐのが目的です。主に、わなや狩猟によって数を管理。また、誤った捕獲を防ぐために、わな禁止区域を設置し、正しいわなの設置方法を住民に呼びかけています。
被害の管理
農作物や人への被害を軽減することが目的です。人里のあたりでは、野生動物の習性をもとに、好物の果物・植物などを排除。さらに、住民に注意を呼びかける標識を設置したり、野生動物の出没情報を発信したりしています。
生息地の管理
野生動物が生きる環境を保つために、生息地の管理もおこなっています。主な活動は、山の河畔や森林の整備などです。こうした活動は野生動物にとって好適な環境をつくるだけでなく、生息地を人里から離れた山奥へ定着させることもできます。山の環境を整えるのは、地球にもやさしいですよね。
出典:広島県「ワイルドライフ・マネジメントの推進について」
ワイルドライフマネジメントに関わる2つの仕事例
ワイルドライフマネジメントが定着している欧米では、大学で専門分野を学べて、専門の仕事も存在します。
日本では、ワイルドライフマネジメントの仕事や学習の場が少ないのが現状。そのような状況でも、ワイルドライフマネジメントに関係する仕事には以下の2つがあげられます。
- 野生動物調査
- 野生動物学者
いずれの仕事も野生生物の保護・管理について、専門的な知識や技術が必要とされます。生態学や獣医学など、関連する分野について大学で学ぶのも方法です。また、野外調査の経験も重視されます。
2つの仕事内容を確認してみましょう。
①野生動物調査
野生生物の保護管理のエキスパートです。「ワイルドライフマネージャー」とも呼ばれます。日本でこの仕事に携わるためには、国・地方自治体・企業・NGO・NPOの職員として働くケースが多くなるでしょう。
野生動物調査では、地域の実情を把握するのも大切な仕事です。住民の合意を集めたうえで、適切な方法で問題を解決します。最近では、森林や農作物に被害を与える野生動物の生息を調査するのも仕事です。また、外来種による被害の調査や対策も増えています。
②野生動物学者
野生動物のデータを収集し、分析する仕事です。データの内容は、野生動物の習性・病気・生態・遺伝・生理学など多岐にわたります。さらに、その土地がどのように利用されているか、または環境の汚染状況はどうかなどのデータを集めることもありますよ。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。